第19話 かたつむり神様

 「俊広!この紅茶、とても甘くて美味しいよ!」

 身振り手振りでオーバーなリアクションをとる麻居。忙しいマイマイだ。……そんなに美味しいの?俺も試しに飲んでみる。

 「……。うおっ!美味しい!」

 「でしょ!?」

 なぜだ?昨日と同じなのに……。こんなに美味しいだなんて。マイマイは紅茶のパッケージをこと細かに見る。

 「マイ?普通の紅茶マイ」

 「う〰︎ん。角砂糖のおかげか?」

 「マイ!きっとかたつむり神様のおかげマイ!」

 かたつむり神?カルト教団にはしないでくれよ。

 「私が飼ってるかたつむりのおかげマイ」

 「どゆこと?」

 いわゆるてんてこマイマイだ。

 「デンデン。角砂糖を一つちょうだい」

 「いいよ。マイマイ」

 俺は角砂糖を一つ手渡す。

 「マーイ!」

 と、マイマイは虫かごの中に角砂糖を置く。

 「これが、かたつむり神様へのお礼マイ」

 虫かごの中にいるかたつむりは元気よくヌメっていた。かたつむり神様と言うのはこのかたつむりの事らしい。変な宗教じゃなくてよかった。マイマイは輝いた目でかたつむりを見ている。

 「で、改めて聞くけど。今日は何するんだ?」

 「……そうね」

 麻居は顎に手やり考える。

 「まさか何もないのか」

 「しょうがないでしょ?私、初めてなの。部長になるのは」

 「デーン」

 「あっ!今、逃げた!私が困っているのにデンデンになってまた逃げたわ!これで何回目なの!?」

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