第48話「響き合う星たち」
間宮の機器から放たれる波動が、制御を失って暴走している。空が歪み、街灯が不規則に明滅する中、星見凛と星川綺羅の手にあるカードが共鳴を始めていた。
「この光...!」
宮澤千春の目が見開かれる。
「北極星と、流転の星座が...」
二つの光は、混ざり合うことなく、しかし確かに響き合っていた。まるで異なる楽器が奏でる和音のように。
「不可能だ...」
間宮が狼狽える。
「星霊波動は、一つに統制されなければ...」
「違う」
星野昴が静かに、しかし力強く言う。
「世界は、決して一つの音色では奏でられない」
その時、間宮の機器がさらに大きな波動を放つ。現実が、ガラスが砕けるように割れていく。
「制御できない...!」
間宮の表情が歪む。
「だが、これこそが私の...私たちの研究の集大成だ!」
彼が機器の出力を最大にする。空間が軋むような音を立てる。
「みんな!」
織部翔が叫ぶ。
「この歪みは、12年前の実験を再現しようとしている!」
その瞬間、凛の体から漏れる光が変化する。それは半星の存在である彼女だからこそ感じ取れる何か。
「分かった...」
凛の声が震える。
「父さんが見ていたのは、これ」
彼女は流転の星座のカードを掲げる。その動きに呼応するように、綺羅の北極星も輝きを増す。
「世界は...」
綺羅が言葉を継ぐ。
「私たちに語りかけている」
二つのカードから放たれる光が、間宮の波動と交錯する。しかしそれは、打ち消し合うのではなく...
「まるで...対話しているみたい」
千春が気付く。
「そう」
昴が頷く。
「これこそが、星霊術の本質」
間宮の機器が、徐々にその力を失っていく。代わりに、空間に新たな波動が満ちていく。
「なぜだ...」
間宮の声が震える。
「私たちの研究は、間違っていなかったはず...」
「間違っていたのは」
凛が静かに言う。
「世界を支配しようとした、その思い上がり」
北極星と流転の星座の光が重なり、不思議な風景を映し出す。そこには、無数の可能性が交錯する世界。決して一つに定まらない、しかし確かな在り方を示す光景。
「見えますか?」
綺羅が間宮に問いかける。
「これが、星たちの本当の姿」
間宮の機器が、ついに力を失う。彼の表情から、これまでの昂りが消えていく。
「私は...」
間宮が膝をつく。
「何を間違えた...?」
その時、新たな気配が漂う。夜空に、見たことのない星座が浮かび上がり始めた。
「始まったわ」
千春が告げる。
「世界との、本当の対話が」
街に満ちていた歪みが、ゆっくりと収束していく。しかし、それは元通りになったのではない。わずかに、しかし確かに変化している。
「この波動...」
昴が空を見上げる。
「まるで、世界が安堵のため息をついたよう」
凛と綺羅の手の中で、カードたちが静かな輝きを放っていた。それは、新たな時代の始まりを告げる光だった。
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