第26話「受け継がれる意志」



「させません。この場所の秘密、私たちが守ります!」


綺羅の声が地下空間に響き渡る。彼女の手にした北極星のカードが、白く輝きを増していく。


完星会のメンバーたちは、黒い装束に身を包んだまま静かに円陣を組んでいた。その中心にいる背の高い男性が一歩前に出る。


「星川綺羅。北極星の導きを受けし者よ。我々は争うつもりはない」


その声は、不思議と落ち着いていて、敵意は感じられない。しかし、それだけに違和感があった。


「あなたたち...12年前の事件に関わっていたの?」

みらいが震える声で問いかける。


「ああ、その通りだ。だが、あの時とは違う。我々は完璧な調和をこの世界にもたらすために...」


その言葉を遮るように、星見凛が叫ぶ。

「違う!その波動は危険よ。完璧な調和なんて...」


「黙りなさい、半端な存在よ」


完星会の男が冷たく言い放つ。その瞬間、星見凛の体が大きく揺らぐ。まるで、彼女の半星化した存在そのものが否定されたかのように。


「凛さん!」

綺羅が駆け寄ろうとした時、空間全体が青く明滅し始めた。


「装置が起動している...!」

翔が中央の星霊波動増幅装置を指さす。古代の機械が、何百年もの眠りから目覚めようとしているかのようだ。


「やはり、北極星の波動に反応したか」

完星会の男が満足げに微笑む。


その時、天井から奇妙な音が響いてきた。カズマが慌てて叫ぶ。

「上で観測会が始まってる!このままじゃ...」


綺羅は即座に決断した。

「みんな、力を貸して!」


オリオン座の翔、双子座の双葉と柊、蠍座のアカネ、射手座のカズマ。全員のカードが一斉に輝きを放つ。


「無駄な抵抗だ。古の術士たちが追い求めた完璧な調和を、邪魔させはしない」


完星会のメンバーたちも、次々とカードを取り出す。それは綺羅たちの知らない、古い型式の星霊カードだった。


「これは...原初の星霊カード?」

みらいが驚きの声を上げる。


空間に満ちる相反する波動。現代の星霊術と、古代から伝わる原初の力が激突する。


「みんな、波動を合わせて!でも...無理に揃えようとしないで」

綺羅の指示に、全員が頷く。


これまでの戦いで培った絆。時には不協和音を奏でながらも、互いを認め合い、補い合ってきた仲間たち。その繋がりが、今ここで試されている。


「なぜ分かり合えないのだ。完璧な調和こそが、この世界を救う唯一の道なのに!」

完星会の男の声が苛立ちを帯びる。


その時、星見凛が静かに立ち上がった。

「間違ってる...完璧を求めることは、きっと間違ってる...」


彼女の体から淡い光が漏れ出す。半星の存在である彼女は、不完全でありながら、確かにそこに在る。


「私たちの絆は、完璧じゃないかもしれない。でも...」

綺羅は仲間たちを見渡す。


「だからこそ、強いんです!」


北極星の光が、仲間たちの波動と共鳴する。それは決して一つに溶け合うことはない。しかし、それぞれの個性を保ちながら、美しい調べを奏でていた。


古代の装置が、その波動に反応する。しかし、完星会が期待したものとは違う反応だった。


「これは...」

装置の表面に、新たな文字が浮かび上がり始める。


そこには、古代の術士たちが残した、真実の言葉が刻まれていた。


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