第4話 解説担当カドちゃん⑴

20 解説担当カドちゃん ⑴

 決闘で、おしおき!?

 ここは説明が欲しいところだ。

 でもまずは、こっちから。


「カドちゃん。前に聞いた注意は凄く役に立った。ありがとう」


 カドちゃんにアドバイスを貰っていなかったら、紺音への攻撃を避けられなかった。

 ここはきちんと感謝しておくべきだろう。


「どういたしまして、なのですよ。あの時の注意が抽象的だったのは、未来を変えないために仕方なかったのです。とりあえず万事OKという感じなので、まずは良かったのです」


 頭を下げて、そして今度こそ質問だ。


「それで決闘でおしおきというのはわかったけれど、そこに至るまでの経緯をもう少しわかるように教えて欲しい。あと決闘がお仕置きとして適当かどうか、適当だとすればどんな効果があるかについても」


「了解なのですよ。ちょうど此処に資料のパワポが入ったパソコンがあるので、画像付きで解説させて貰うのです。

 それではその辺の椅子に適当に座ってなのです。パワポは前のモニタに表示するので、適当に座っても問題ないのです」


 そんな資料、ちょうどパソコンに入っているものなのだろうか。

 そしてモニターに映るように調整されているものなのだろうか。


 そういえば前に、カドちゃんは言っていた。


『これでもイス人なので、多少の時間軸は無視できるのですよ。何日後とか何年後とかに紺音ちゃんに聞いて知った事を、現時点で把握するなんてのは簡単なのです』

 

 だからきっと、事前に知っていて準備をしていたのだろう。

 そう考えると割とまめだし親切だとは思う。

  

「それではまずこの事案の背景、第二生徒会の実態からなのです」


 50インチくらいの大きさがあるモニターに、『第二生徒会の概要』と題がついた画面が表示される。

 内容は、

  ○ 会長を筆頭とする役員5名の名前と学年、学級

  ○ 所属団体名と団体数、所属団体に属している総生徒数

といった情報だ。


「第二生徒会はいわゆる『旧神』カテゴリの神の力を使える生徒メインなのです。ただ旧神のうちノーデンスは学園管理の為に第一生徒会に属しているので、それ以外の旧神の力を持つ生徒が、主に役員をやっているのです」


 表示されているうち、所属団体数と総生徒数に赤線が引かれ、更に青文字と黄色文字で括弧書きの数字が表示された。


「今出た青字に括弧書きの数値は、第一生徒会所属の団体数と生徒数、黄色文字は第三生徒会所属の数値なのです。このように第二生徒会は、第一生徒会の三割以下の勢力で、第三生徒会に並ばれかけている状態なのです」


 数値に疑問を感じたので聞いてみる。


「生徒数、三つの生徒会の数を足したら、中高の総生徒数を超えている気がするけれど、気のせいか?」


「重複して入っている生徒がいるので、これで正しいのですよ。例えば私は第五生徒会の役員ですけれど、第一生徒会傘下の漫画研究会第一にも属しているのです。また囲碁部は第一から第三まであってそれぞれの生徒会の傘下にあるのですが、実際は全部同じ部で構成員も同じなのです。宗教絡み以外の団体はだいたいこんな感じで、実質的に複数の生徒会に所属しているのです」


 なるほど。

 なかなかいい加減だけれど、これがこの学園島の現実なのだろう。


「あと第二生徒会の勢力がそう強くないのは、旧神というものの位置づけ上仕方ないのです。元々外なる神、旧支配者、旧神というカテゴリ訳は人間の都合と思い込みでついているだけなのです。

 この辺、地球上に流布しているクトゥルー神話には大分誤解がみられるのです。ですのでここで補足説明させて貰うのです」


 画面が切り替わった。

 今度のタイトルは『いわゆるクトゥルー神話の間違いについて』とある。


 カドちゃんがマウスをクリックすると、タイトルの下に文字が浮かんだ。


『ダーレス神話による悪影響』


「クトゥルー神話とは、元々ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが、宇宙的恐怖コズミック・ホラーという概念のもと書いた小説が元なのです。

 本人は気付いていないのですが、ラブクラフトは外なる神の一柱から啓示を受けていたようなのです。なのでこの時点では、神についての記述はそこそこ正しいものが多かったのです」


 俺はSFや怪奇小説などは、ほとんど読まない。だからどんな誤解があるかも知らない。

 カドちゃんの説明は続く。

 

「ですがこの宇宙的恐怖コズミック・ホラー、一般にはわかりにくい、あるいは物語的に面白くない設定だったのです。そこでオーガスト・ダーレスが、この神話世界に通俗的だけれどわかりやすい概念を持ち込んだのです。具体的には正義と悪との対立。それに四大霊(火、水、大地、大気)による派閥。

 このせいで、善である旧神、悪である旧支配者や外なる神なんて概念が出来てしまったのです。また悪である神が栄えていない理由は、旧神により封印されたからという、力関係を考えれば笑止としか言えない設定も、生まれてしまったのです」


『ダーレス神話による悪影響』の下に、

 ○ 善である旧神と、悪である旧支配者や外なる神の対立構造

 ○ 旧支配者や外なる神が封印されたという設定

 ○ 四大霊(火、水、大地、大気)による派閥

という表示が出て、その上に大きく×印が描かれる。


「これは全て実情にそぐわない設定なのです。外なる神も旧支配者も旧神も、実情はほとんど差がないのです。他にもアザトースが白痴に見えるのは、実際は知性が違いすぎてこちらが理解出来ないのが理由なのです。

 このように世間一般に流布されている情報と実情の違いは、かなり多いのです。ですがここでは、旧神というカテゴリわけが実情と異なるものだとわかってもらえばいいです」

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