天蚕の臨終
真緑だった湿原が
幻であったかのように
銀色に光っている
あそこに棲んでいた
生き物たちは
どこへ行ったのか
遠い旅に出かけたのか
旅はどこで終わるのか
どこまで行っても
銀色だとすれば
わたしの町の
秋の青空は
まだ美しい
小川の水は
まだ清らかだ
その川に架かる
白い橋の真ん中に
大きな
落ちていた
踏まれないように
落葉に乗せて
隅っこに寄せたら
少し動いた
この口のない蛾は
絶食のまま
交尾だけして
死んでゆく
儚い生き物だ
あれは
天蚕の臨終
だったのかもしれない
侵食されつつある
この地球と同じように
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