LOOP-SCHOOL

沼津平成@空想≒執筆

第1話

――皆さんは、ニートライフを満喫しているだろうか。


 突如脳裏に響いたその声は、自分が発したものだと気づくまでに数秒かかった。

 さっきから気づかないうちに何度もカレンダーを見ている。いたってシンプルなカレンダーで、正面には【十一月】という文字がこれでもかというくらい誇張されていて、その下に【十一月】という文字を慕うように1から三十一までの文字が整列している。

 それにかすれがひどい赤いマーカーでスラッシュを引いているだけの代物だ。当然夜にならないと今は何日かわからない。

 パソコンを落とすと、秋の夜とは思えないほどの真っ黒い空が浮かんだ。絶対冬だろ。スマホを立ち上げると右上に「6:30」と表示されている。

 左上には「圏外」の文字ではなく3分の2が塗られたWIーFIのマークが見えた。つい最近引っ越してきたばかりだ。引っ越す前住んでいたアパートは、圏外の表示。

 引っ越しのことを、両親には話していない。結局両親の家と自分の住処とは、電車一本で通えるのだからいいだろう。距離が少しばかり遠くなっただけである。

 特に長いあいだ家を空け、帰ってきたあとなど、「今何日だ?」と思うことが多い。

 一刻も早く今は何日か知らないのなら、パソコンかスマホを使うのが手っ取り早い。


――僕は満喫している。


 スマホのアプリを落としていき、新しいアプリを立ち上げる。何にしようか、と迷ううち、ある一件のアプリを見つけた。歩数計アプリである。

 意味もなく昨日の歩数を見ていた。83歩であった。週間表示にしてみると、昨日の83歩が今週の最高歩数のようである。


――今って便利だな。


 そう思っているうちに寝落ちた。

 ほどなくしてスマホも充電が切れた。

 

 次の朝。

 僕は起きると20分ほど充電したスマホを立ち上げた。充電は35%である。検索履歴から最新のリンクを開く。


「某市南学園 新入生募集」のお知らせだった。

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