第27話 百合が展開されていた

 「おはよう、〈さっちん〉」


 「おはよう、〈よっしー〉。 今日もカフェだから、お昼ご飯は自分で食べてね」


 「わかった。 だけど、休日なのに、バイトなんだ」


 「ははっ、休日の方がカフェは忙しいんだよ。 この辺はオフィス街じゃないからね」


 そんなもんかも知れないな、それはそうと、異界にでも行くか。


 鋭い刃物で空間を裂こうとしたら、いつもと違っていた、オレンジの線が二本走っていたんだ、十字の形になっている。


 「あれ、昨日まではこんなの無かったよな」


 俺は試しに垂直のオレンジに添って、切り裂いてみた、隙間が開いて異界が現れた。

 入ってみると、神像の形から、〈マサア国〉の神殿だと分かった。


 一度隙間から出て、今度は横のオレンジに添って切り裂いてみた、隙間の中は〈イヨセカ国〉の神殿だった。


 ふーん、これらの事から導かれる答えは、〈マサア国〉の使徒である〈ミミちゃん〉こと〈ミミハイル〉を俺の巫女にしたからだろう。


 だけどそれがどうした、どうもしないよな、それよりも〈ミミちゃん〉と〈ハッチ〉の下着を脱がしたいんだ。

 所長に出来なかった事を、思い切りやってやるぞ。


 「こん、こん。 いますか」


 俺は〈マサア国〉の神殿の小部屋を訪問している、ノックの音はエチケットだからだ。


 「ふぅん、使徒様、いらっしゃい。 中に入って良いですよ」


 どうして〈ハッチ〉は、鼻にかかった声をしているのだろう、嫌な予感がするぞ。

 小部屋に入ったら、そこには百合が展開されていた、もうビチョビチョだ。


 下着をいやらしく脱がすはずだったのに、すでに全裸になってやがる、悲しいけど興奮するな。


 「あぁん、〈よっしー〉様、ちょうど良かった。 一緒に愛し合いましょう。 もう準備は出来ています」


 準備が出来ているどころか、〈ミミちゃん〉の顔は情欲まみれで、液体まみれになっている。


 「くぅん、僕もいつでも出来ます。 ほら、足を開いて待っていますよ」


 俺はしょうがないので、二人が重なっている後ろの方から、お邪魔させてもらった。

 交互に二人の間を往復するのは、難しいものだ、これは修行する必要があるな。


 ことが終わった後に、おおっぱいとちっぱいをチュウチュウと吸って、俺は一杯甘える事が出来た。

 四つもあると、満足な甘えが可能だ、母性に囲まれているって気持ちになれる。


 「ふふっ、使徒様はお子ちゃまですね。 僕の胸が気に入りましたか。 もっと吸っても良いですよ」


 「〈よっしー〉様は、私の胸に夢中なんだな。 愛しくなる。 母乳が飲みたいのなら、私を孕ませてみせろ。 あははっ」


 そうか生だから、妊娠しても不思議じゃない、でも異界の女性とは出来ないような気がするな、勘だけど。


 おっぱいを充分に吸えたからだろう、急に俺は、この国の住民の事が気になってきた。

 奴隷なんかにされていたら、ちょっと可哀そうだよ、俺はもうこの国の使徒でもあるからな。

 使徒の役割は良く分かっていないが、国に何らかの奉仕をするんだろう。


 「そうだ。 国の住民は大丈夫なのか」


 「〈よっしー〉様、それは心配ない。 先の戦争で多くの戦士が亡くなったが、〈イヨセカ国〉の戦士に子種をもらい、子供が沢山生まれているんだ」


 「えっ、生まれているって、どういう事だ」


 「〈イヨセカ国〉に併合され、魔鋳造で生み出された文明の利器で、戦前より繁栄しています。 ですから、私達も安心して楽しむ事が出来るのです。 使徒様は、しょぼんとしていますけど、お口で元気にしましょうか」


 「えっ、今は良いよ。 明日でお願い」


 〈ハッチ〉は何を言っているんだ、意味不明だ、俺は一発出して気分は最高だろう。


 「そうですか。 残念ですけど、明日に期待します」


 「そうしよう。 〈よっしー〉様は、案外淡泊なんだな」


 蛋白質の液体を出したから、タンパクではあるな、亭主関白ではない、はて俺は亭主と言えるのだろうか。


 そんな事よりも。


 「昨日戦いがあったばかりだぞ。 どうして子供が生まれるんだ。 おかしいよ」


 「それは、使徒様の神秘術のせいですよ。 使徒様の〈時はなし〉と〈ミミハイル〉様の〈時はなし〉がかけ合わされて、〈超時はなし〉となったのです」


 「えぇ、それで、神殿の外では長い時間が経ったと言うのかい」


 「少し違います。 結果は同じですが、神殿の中の時の流れが、十分の一なんです」


 「うそぉー、外はもう十年経ったのか」


 「同じことを繰り返しますね。 しつこいのは、愛撫だけにしてください」


 「そうだ、〈よっしー〉様は、もっとねちっこくなりなさい」


 〈ミミちゃん〉はそう言って、ドデカイおっぱいを押し付けてくるが、俺は負けないぞ。

 断腸の思いで、大腸ガン手術の前のような勇気を持って、俺はそれをモミモミしながら、押しのけた。


 〈アッコ〉に会い、確かめなくてはならないからだ、与えられた情報は常に疑ってかかる必要がある。

 〈アッコ〉のおっぱいの張りも、増えたか確かめておく必要がある、ハリーアップだ、急げ。


 「もう、〈よっしー〉様のいけず。 明日はもっとねちっこくしてよ」


 ふぅー、〈ミミちゃん〉は底なしの体力だし、京都弁は時に可愛い、そして時に傲慢だ。


 「ちぃ、この意気地なし、玉なし、甲斐性なし。 だけど、お待ちしていますので、必ず来てください。 くすん」


 〈ハッチ〉は情緒不安定だな、罵倒からの懇願、そして泣き落とし、万華鏡のようだ。

 もしかして、メンヘラ気質なのか、そうなら大変だぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る