参拝してたら美少女に兄の生まれ変わりと言われました

@inotinosato

第1話プロローグ

「お兄ちゃん!!会いたかった!!」


 突然ホワイトブロンド色のロングヘアーをもつ知らない女の子が懐に入ってきた




「え!?!?!?!?!?」


 俺は鳴かず飛ばずの漫画家志望25歳、至ってどこにでもいる普通の一般人、実は最近漫画家はもう無理かなと諦めだしているけど諸事情により諦めきれてなくて、身内の会社へ勤めながらちびちびと描いては出してをやっている、仕事はちゃんと真面目にやっているので世間では真面目と評判を受けている、そんな俺は占い好きの親から参拝を勧められ京都市街北東にある祟道神社の参道を両親と歩いていたところで、参道横の茂みから急に出てきた女の子に驚き、訳のわからない状況でマトモな反応が出来るはずも無く戸惑うだけの中、同行していたお母さんがお父さんに




「あなた!どういうことよ!?」


 どういう事かと責め立てる




「し、知らん!!お前一筋の私が不貞な行為をする訳無いだろ!!」


 お母さんから責め立てられるお父さんはあたふたしている




「じゃあこの子は何?」




「分からん、しかしもし私の子だとするなら、まず『お父さん』っと言って私の方へ来るべきであろう?なぜ龍雄たつおの方へに行く?」




「お兄ちゃんが欲しかっただけかもしれないでしょ?」




「冤罪だ!!」




「本当かしら?あの事件に関しても怪しくなってくるわね」




「お前はあれに関して疑うのか!?」




「一つ疑うと全て疑ってしまうのが人と言うものでしょ、まずこの子の疑惑から考えましょ」


 何か二人が言い合ってるが俺はそれどころではない懐で泣いている女の子に戸惑うばかりで言葉が出ないそれに自分から触る訳もいかずただじっとオロオロするだけ


 しばらくそうしていると




「龍雄様の御母堂、龍雄様の御尊父と此方のみこと様の間に血縁関係はございませんので御安心下さいませ」


 女の子が出てきた参道横の茂みから七福神でいそうな長い白髭と長い白眉毛を生やした老人が出てきてお母さんを宥めだした




「誰ですか貴方は!?」


 突然の部外者に驚きながら怒りをぶつけるお母さん




「ほら言っただろ私は無実だ!!」


 お父さんは知らない老人の援護に胸を張る




「私は龍雄様に抱きついておりますみこと様に仕える式神の玄武げんぶっと申します」


 そう言って長くて白い髭と眉毛を生やした老人は手を前に組ながら腰を深々と折る


 老人は平安時代の貴族が着ていたような古風な服装をしている、こんな格好で普通外出する人なんて今時いないだろう




みこと様、感極まるのも分かりますが龍雄様が戸惑っておられますので早くお話を」


 浴衣を着崩した妖艶な女性が、いつの間にか横にいて、命様と呼ばれた女の子に話しかける




「うん、ごめんねお兄ちゃん」


 そう言って涙を拭い顔を上げてこちらを見つめる女の子




 女の子の顔をちゃんと見る事ができたその時俺は『可愛い!この子を守ってあげないと!!』っと何故かそんな想いが込み上げた


 強い庇護欲が女の子の頭を撫でようと手を無意識に動かす、そこでふと気付く女の子の頭には動物の耳が付いているこれは…キツネ耳?




「お兄ちゃん耳が見えてる?お兄ちゃんの力が戻ってきてるはずだよ、耳が見えると言うことは、やっぱりお兄ちゃんは私のお兄ちゃんの生まれ変わりだよ!!」



 うん、まず落ち着こう俺は漫画家志望でライトオタク




 最近話題の転生ものには慣れている動揺する話ではない




 だがしかし転生って異世界で魔法じゃね?前世の記憶継承は?チート無いの??生まれ変わり、転生という言葉にワクワクしたけど、なんだかちょっとガッカリ感…別にこの子が悪い訳でも無いんだけどね、期待しちゃうじゃん?だって男だもの




「そっ、そうか…でも俺は何も覚えてないな」




「それは当然だよ、記憶は忘れるようになってるからね、でも魂で繋がった兄妹だから、なんとなく気になってるはずだよ?」




「そりゃあ突然電波な事を言う人がいれば気になるだろ」


 こんな子普通はいないよ、すごく気になる




「ん~そういう知識的な気になるじゃなくて、無意識に求めてしまう感じ」




「むぅ…」




 確かにこの子を見た時強烈な庇護欲が溢れ出てきた不思議な感覚が今言っている事かな?女の子に抱き付かれ男としてドキドキするよりもなぜか庇護欲の方が勝っていた




 女の子が言っている事の一つはまぁ何となく納得出来た、




 しかし新手の詐欺の可能性は?でも、この子を疑う事を心の底で拒否する自分がいる




 この感覚もそうなのか?しかし聞いておかねば気になる事がありすぎる




「その耳は一体何?よく見れば尻尾が九尾?」


 九尾狐と言えば金色九尾狐を思い出す、でも金色ではなくホワイトブロンドぐらいで色が薄い




「私は稲荷神の眷属見習いの狐だから耳があるの、でも他の人だとこの耳は見えないよ、今のお兄ちゃんは前世のお兄ちゃんから預かってた力をさっき返したからお兄ちゃんは見えるようになったの」




「その力って何?チート!?」




 どうかチートであって欲しいが故に喋り方に力が入ってしまう




「ん~最近言われてるチートほどではないよ…霊能力と言えば良いかな~」




 くっ、霊能力も異能ではあるが世間一般に認知されていて、ある程度そういった力を持つ人がいると思うと『違う、そうじゃない感…』




「期待に添えなくてごめんね」




 少し申し訳なさそうに謝ってくる女の子にキュンっとくる




「君は悪くないよ!強欲な俺が悪いだけだから!!」

 この子をしょんぼりさせた事にとても罪悪感が溢れる




「えっと、君の正体はお稲荷様の眷属の狐で、俺の前世で妹だった?そうなると俺は狐だったのか?」




 ばつの悪さを誤魔化すために話題を逸らす

 



「お兄ちゃんは普通に人だったけど、魂の契りで兄妹になったの」




「前世の俺漫画の主人公みたいな事してんじゃん、ウラヤマケシカラン!!」




「実はお兄ちゃんが転生してたのは把握してたんだけど、約束でこっちに来てくれる事になってたから、眷属の先輩にここへ来るよう誘導してもらったの」




「え?ここには占い師に行くべきだと言われてきたんだけど···」




「それ先輩が一時的に憑依してたから」




「じゃあ、待っている人がいる、その人に会えば良いことがあるって言うのは?」




「それ私だよ!お兄ちゃんを幸せにする事が私の幸せだからまかせて」




「そうなんだ、ありがとうそういえば君の名前は···」




みことだよ!よろしくねお兄ちゃん、まずはお兄ちゃんのお父さんの問題から解決しようか」




「そんな事まで把握してんの!?」




「うん、色々先輩からいっぱい聞いてたから現世のお兄ちゃんについてよく知ってるよ」




「え?何だか恥ずかしいな…」




「あとお兄ちゃんの前世がここの祟道すどう神社に祭られている祟道天皇である早良親王さわらしんのうと縁があって力を貸してくれる事になってるの」




「え?そんな関係が!?」

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