第17話

男は顔を上げると唖然とする兄を尻目にそのまま入り口へと向かって行った。



何か声を掛けようにも、言葉が見つからない。



そんな心を見透かしたように男は扉の前で立ち止まった。



「お前がいなかったら連れて行こうと思ってた」



「えっ?」



「一緒に燃やせないようだったら捨ててくれ」



「?」



兄には意味がよく分からなかったが、男は気にも留めずそのまま去っていった。

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