第15話 かき氷と澪とリンゴ

 漆奈たちの夏も終わり頃になっていたが、未だに猛暑日は続いていた。

「あ~~~~~。シナあ。最近くっっっそ暑くない?」

「最近というか今年の夏が来て以来ずっとだね。道長の田舎も暑かったの?」

「ああ。まあ、こっちはまだマシだったけどな」


 リビングで3人は床に突っ伏していた。姫色の家ではエアコンを点検に出している期間で使えなくなっており、その影響で扇風機を使っていたのだが、それでもこの熱波を防ぐことはできず、もろに喰らったことで、夏バテを起こしていた。

「あ~~~~~。夏バテのせいかな。鼻づまりを起こしてさ。こんな時にこそ。かき氷食べたいよ。シロップかけてさ」

「無理だよ。この辺りにかき氷屋はないし。それに鼻づまり起こしてて美味しく食べられるの?」

「嗅覚で感じられなくても味覚で感じるの!!!」

「なんじゃそら」

 澪の返答に漆奈は呆れながら言った。


「かき氷機とかないのか?姫色さんの冷蔵庫に氷があるし、それで作れるだろ」

「そうだ!!!確か姫色さんの倉庫にかき氷機があったよ!!」

 澪はそう言うと、姫色の倉庫に向かっていき、しばらくすると、かき氷機を持って、戻ってきた。


「あったよーーーーーー!!!かき氷!!!」

「かき氷機な。でも、これでいけるな」

「でも、かき氷ってシロップあるけど、シロップどうする?」

「確かに、こんな暑さに徒歩で外に出たくはないし、冷蔵庫の中に何かないかな?」

 漆奈がそう言って冷蔵庫を開けて中を覗いてみると、牛乳やお茶にオレンジジュースにリンゴジュース、リンゴ酢にマヨネーズやケチャップなどの基本的な飲料や調味料に、チョコやアイスなどの冷凍が必要な菓子類などがあった。


「おい、澪。一応聞くが、アイス食うじゃ駄目なんだよな?」

「駄目駄目。今はかき氷を食べたい気分なの」

「はいはい。我儘なやつだな」

 道長が呆れながら言うと、冷蔵庫の氷を保存しているケースを開けて氷を取り出した。


「これをかき氷機で砕いて、かき氷にするとして、シロップはどうするんだ?」

 道長が疑問を投げかけたとき、澪は悪だくみを考えるような顔で答えた。

「ふふふ。冷蔵庫にはチョコとかアイスがあったでしょ?そういうのを溶かしてシロップ代わりにかけるの。オレンジジュースを使ってもいいし」

(オレンジジュースとかはともかく、アイスやチョコ溶かすの結構手間じゃね?)

 澪の提案に道長と漆奈は驚愕と困惑が入り混じった顔で疑問を浮かべた。

「,,,,,,,,まあいいや。それならおいしいかき氷ができそうだね」

 漆奈がそう言うと、3人はかき氷の準備をした。




「うーーーん!!!美味しい!!何これ結構いける!!!」

「これは美味いね。お店でもこういうのやったら売れそう」

「ああ、俺のとこではなかった味だな」

 3人はチョコアイスかき氷、オレンジジュースかき氷、リンゴジュースかき氷など様々なかき氷を堪能していた。


「そういえばさ、うちの台所に料理酒があったでしょ?あれかき氷にかけると面白そうじゃない?料理でも使うし、普通のお酒とはまた違うってことで」

「へえ、それもよさそうだね。まあ、程々にしようね」

 漆奈がそう言うと、澪は台所から料理酒を取り出し、かき氷にかけてみた。


「折角だしさ。シナが食べてみてよ」

「ええ?まあ、1回だけだよ?」

 そう言うと、漆奈は料理酒かき氷を1口食べた。すると、

「う~ん。しょっぱい!!まあ、最後まで食べるけど」

 漆奈はそう言うと、完食した。その後、


「ちょっとトイレしたくなってきたな。かき氷1つ作ったら、片付けよう」

「そうだな。俺が片づけるわ」

「シナあ。好きな味付けにしてもいいよ。あ、でもケチャップとかマヨネーズとかゲテモノ系はやめてね!?」

「あー、わかったよ。料理酒入ったから、ちょっと頭がくらくらしてね」

 最後のかき氷を作った後、澪がトイレへ、道長が倉庫へ行って、漆奈は1人になった。


「さあ、最後のかき氷か。何にするか。,,,,,,,あ!,,,,,,,ふっふっふ。」

 漆奈が考え1つの考えがよぎると、冷蔵庫から材料を取り出し、かき氷にかける。

すると、澪が戻ってきた。

「あーあ、澪ちゃん。リンゴかき氷を作ったよ~~~。」

「おお!りんごかき氷!?ありがとう!!じゃあ、いただきます」

そして、澪ちゃんがかき氷を口に含んだ,,,,,,,,,,直後に澪の絶叫が周辺に響いた。





「,,,,,,,で、あんたたちは何をしてたの?」

「すいません。俺の2人の管理不足です」

姫色は酔いつぶれて倒れた漆奈と悶絶したまま気絶した澪と反省の表情を浮かべている道長を見て困惑の表情を浮かべていた。

「えー、何故かかき氷機に氷にチョコとアイスとジュース類に料理酒に,,,,,,,,,,何の用があって、リンゴ酢なんて使ったの?ダイエット目的?」

「いや、単純に悪ふざけかと」

ーその後、3人は姫色から勝手に材料を消費したこと、悪ふざけをしたこと、自分がいないときにやったことで姫色から説教を喰らい、掃除もとい後始末をした。(本人曰く、自分も混ぜてほしかったとのこと)








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