第38話


『ほっ、ほっ、ほっ、こんにちは〜〜、なのじゃ』


アグ坊に似た、でもアグ坊では無い人物が目の前に立っていた。

・・・横にはいつの間にかサウロが居て、ぎゅっと手を握ってくれている。


え・・・どう言う状況!?

それにここは、何処なんだろう?


一面真っ白な世界に私とサウロと・・・アグ坊似の誰かが居る。


『ふむ。ワシの事はソウちゃんと呼んでくれたらええぞい』


見た目からは想像出来ないおじいちゃん喋りがすんごい違和感しか無いし、意外とフレンドリーだけど何か良いしれぬ圧を感じるわね。


『と言ってもワシと会うのはこれが最初で最後だろうがのぅ』


ほのほの笑うソウちゃん?の要望を只一方的に聞かされるだけの時間だったけど、これが本当なら私達、スムーズに国を出て旅立てるかもしれないって言う内容だったから内心は凄く興奮してたんだ。

生憎、不思議パワーで身動きドコロか声もこちらからは出ない仕様だったけど。


『このベルは・・・お前さんの方に渡しとこうかのう。こやつは直ぐに無くしそうじゃしのぅ』


ソウちゃんの言葉に従ってベルが私の前までフワフワと飛んで来るけど・・・身動き出来ないから受け取れないんですけど!?

と焦る。


『そなたらがやる気満々でワシも嬉しく思う。時間はゆっくりとあるのじゃ。旅もゆっくりと進めて行けば良かろう』


と言い終えるとそのままぬるっと空気に溶けて姿が消える。



『うちの息子に良くしてくれて感謝しておるぞい、太陽の民らよ』



———最後にそう、耳元で声がしたかと思うと視界は暗転。


・・・私はいつの間にか自分のベッドの上で眠っていたらしい・・・父さんか母さんが運んでくれたのかな、と身体を起こすと


———カランッ、と音がして私の胸の上から夢で見たのと同じ“ベル”が転がり落ちた・・・


「へ?」







———ピッポーーーンッ♪



「えっ!?」


久々の電子音に思わずビクッと肩が揺れた。


え、ちょっと———??

私特に何もしてないんですけど!?

と動揺してる最中にも関係ねぇ!とばかりに容赦なく怒涛に機械的アナウンスが流れてですね・・・本当っ、何事っ!!?な状態でござるよ。

・・・大人しく、聞くしか出来無いんだけどね。無情。




【主神の“夢渡”を観測】


【主神の“神の手”が発動】


【対象者“クロエ”並びに“サウロ”を土地神の使徒に任命しました】


【クロエに“認定のベル”が譲渡されます】





ええーーーーーーっっっ!!??


いやいやいや、説明がマジで切実に欲しいんですけど!??

神様ぁっ??


私の認知外の所で、何かが確実に動いた気配ぃぃ〜〜〜!!!!









〜日本の神サイド〜



「・・・・・・」



———渡すタイミングをもうちょっと考えれば良かったかもしれん、と思う俺が居る。



視線の先には先日頼まれていたVRを早速被って大喜びで遊ぶじじいが1人。


こいつ、ゲームでがっつり遊びたいからって手短に用事終わらせて最速で帰って来やがったからな・・・。


最近はなぁ・・・。

お供物の数も減って来ちまって、鰻は本当に久々に食べたんだよなぁ・・・。

悔しい事に超絶、旨かったよ・・・何か凄い敗北感を味わったわ。

あれ、親父の手作りって言うのがまた虚しいだろ・・・はぁ・・・。

逆輸入感がさぁ・・・。

元々俺んトコのやぞっ!って言うやるせなさよ。



———それで、面倒だったけど頼まれてたゲーム機をわざわざ地球に顕著してまで購入して来た訳だが。



いや、マ〜ジで大変だったからな。

最近のゲームって本人確認がどうとか生体認識がーとか手続きが盛り盛りな上、下手な所でお焚き上げとかすると即通報案件だろ?


捕まったら怪しい人間違いなし過ぎて、神業連発して何とか逃げて・・・上手くトラブル回避して戻って来たって訳よ。ふぃーーっ。


昔の方が色々ザルで良かったと思う瞬間である。

星的には発展しているから何とも言えんが・・・神的には圧倒的不便。



———ああ、そうそう、脱線したわ。


で、話を戻すけど、それで手に入れたからには早々に引き取って欲しくて連絡したのは良いけれど、連絡してからそう言えば今例の星にテコ入れ中じゃ無かったっけって思い出して。


イヤ、一応言ったんだぜ?

全部終わらせてからゆっくりやれって。

そしたら最速で用の方を終わらせて来やがったのよなぁ、こいつ。

最低限は説明したからって嬉々としてゲーム始めちまった時は頭抱えたわ。


・・・こうなったらもうテコでも動かないだろうから、後はあっちで頑張って貰うしかないな。


俺は生憎、星を跨いでの移動は未だ出来ないからどうする事も出来ないんだよなぁ・・・アガラの嫁がめっちゃ必死に説明を〜〜って祈ってるけど、ゲームに集中してる親父は誰にも止められないんだぜ。


まあ、いつかは飽きるんだろうけど・・・神って疲れ知らずだからなぁ。


アガラと2人で何とか頑張って乗り越えて欲しいぞ、うん。諦め。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る