第6話


〜プレイヤー平Side〜



「じ、実はっ!多分私も巻き込まれで・・・」


あたふたと身振り手振りで迎えに来たお役人の人に説明する女性プレイヤーに俺ともう1人の男性プレイヤーも便乗して嘘八百並べて勇者召喚に巻き込まれた普通の冒険者認定して貰ったのは・・・果たして行幸だったのか、下手こいたのか・・・。


「えーっと・・・私は・・・プレイヤー名チセです。本名は言わないほうが良いんですよね?こういう場合」


「ああ、そうしよう。俺はダイゴ、一応あっちでは竜騎士をやってたんだがスキルを確認したら条件を満たしていないため使用不可って出てて相棒の竜が呼べない状況だ。因みに竜騎士以外のスキルは使えるみたいだな」


他のキャピってた女2人はいつの間にか消えてて役人説得組の俺らは一先ず借りてる部屋の1つに集まって自己紹介中、兼今後の相談だ。


「俺は平(たいら)、魔法剣士。取り敢えずスキルに使用不可は無かったけどあっちでは普通のサラリーマンだったから戦える気しなさすぎて勇者が必要ないって言い切ってるあの人達に付いていきたかったんだよなぁ〜・・・」


付いて行く条件厳しくて迷っている間にあっちはさっさと行っちゃったけど。


「わ、私はテイマーなんですけど・・・私も召喚が使用不可で・・・生身で戦うとか絶対無理だし・・・」


あー・・・テイマーで召喚獣呼べないならそりゃあ無理だわな。

だから初心者冒険者名乗ってたのか。

装備は姉から貰ったものでって誤魔化しも上手い言い訳だったし俺らも真似させて貰ったんだよな。

俺が兄貴に貰ったって言って、ダイゴは親父のお下がりって話を押し通したんだよな、はは。


「この条件ってのが何なのかさっぱりだよな」


これが使えればかなり良い足になってくれたんだが、とぼやくダイゴにチセもうんうんと激しく同意している。


「ってか、あいつらちゃんと解ってんのかねー?ゲームと現実はやっぱり全然違うじゃん。俺ゲーム歴はまあまあそこそこでレベルもそこそこ高めだけどあの移動手段に使う2足歩行のプテラノドンみたいな奴見てガチ足竦んじゃったんだけど。殺し合いで対峙してたら1歩も動けず終わってたと思う」


「・・・そうだな。まあ無理だと思ったから動いたんだが結局道中戦わないとな条件だったから詰んだって思ったわ」


「ですねー。・・・まあ巻き込まれ宣言したら明らかに引き止めたの後悔されましたし此処に残るのも他国に勇者としてついて行く話も回避出来そうではありますけど・・・全選択肢希望無しって感じですです」


そうなんだよなー。だから今はプレイヤー歓迎パーティー中でもこの3人は抜けてても放置されている状況だ。


「取り敢えず、お互い何が出来るかわかんないけどこの3人で組んでやっていくって事でオッケー?」


「わわっ、良いんですかっ!?」


「ああ、俺もそうしてくれると助かる」


まあ3人寄れば何とやらっていうしな。

此処でソロ活動はキツすぎる。

同じ様な価値観の人が側に居るのって意外と大事だと思うしちょっとは不安が和らぐ気がするからさ。


パーティーは何と7日間位続くらしい・・・その間に各国への振り分けが決まるんだと・・・だからその間にコッチの常識とか色々学んで追い出される前にこの城から自主的に出ていけたらと思っている。


コッチのお金は無いので出ていく時に交渉は試みるけど多分ちょっとくらいは出してくれる・・・と良いなぁ・・・って感じかな。


まあ最悪俺らのインベントリに入っているあっちの素材とか冒険者ギルドか商業ギルドで売れば多少なりともお金には変わってくれるんじゃないかと思っている。

お金はあるに越したこと無いからな。


―――パーティー終了2日前にこの前の役人見つけて3人で出ていく旨を伝えると明らかホッとされて期待通りに選別くれた。有り難い。


因みに1人3金貨ずつ。日本円にして30万位かな?

金額渋く無いか、と内心思いはしたけどまあ貰えない想定もしてたからな・・・。


それぞれインベントリにポイして冒険者ギルドで登録、異世界勇者に巻き込まれで召喚されて来た話をして素材買取出来るかって話をしたら興味持ってくれて見てもらえた。


似たような素材で使えそうなのを売ってお金に変えて残りの未知素材は商業ギルドでも、冒険者ギルドでもやった異世界召喚云々の話をして買ってもらって来た。


意外とお金になって3人でこっそりホッと胸を撫で下ろしたわ。


その中でも一番買い値が高かったのがポーション。

初級2つに中級1つだけ出したんだけど、もっと無いかって結構食い下がられて結局なけなしの中級1本と初級3本って事で追加で提出・・・いや、インベントリには各自それぞれまだまだ入ってるんだけど、これ俺らの虎の子だからな。


お城で調べてて発覚したんだけど、この世界のポーションって結構しょぼい・・・って言うか、ゲーム世界の道具がレベチだっただけみたいだけど。

この世界のはただのポーションが1つ。

で、効果は軽度の風邪を治したりちょっとした傷なら治る程度な。

まあ日本の風邪薬とかよりは性能良いのかも位。

俺らが提出した初級ポーションでさえ、こっちのポーションよりは性能高くて職員さんマジホクホクだったからな。

中級ポーションに至ってはかなりの大騒ぎで秘薬か何かの様な扱いだった・・・因みに中級の効果は骨折や怪我が瞬時に治ったり風邪にも良いけど異常状態にも瞬時に対応してくれる効果がある。

鑑定した人、目ぇキラキラさせてたからな。


いや、本当は1つも出したくなかったんだけどさぁ・・・今後追加なんて期待出来ない訳だし。

でもでも元日本人、外国の土剥き出し雑魚寝宿とか絶対無理じゃん。

話し合いの末、3人のお金を合わせて思い切って家は購入するって事に当然なるじゃんか。

それはもう満場一致で決定事項だった。

勿論中古物件。

贅沢は言わないですって言う俺らの話を聞いた冒険者ギルドのおっちゃんに経緯とか諸々で同情されてボロ屋で良インなら、と売って貰ったんだ――・・・勿論、すんごく高かった・・・。


でもローンは組まずに何とかいけた。

異世界魔物と素材に感謝だな・・・ポーションの貢献度が8割だったけど。

後、売らずに取ってた、って言うかズボラで放置してただけな過去の俺と後で何かに使えるんじゃ精神で溜めてた模様の2人にも感謝!


ほぼポーション料金とは言え、家購入にはギリギリの金額だったからな、マジで。


・・・チセは一応召喚獣の進化媒体に使えるかも?という理由もあったそう。

今は喚べ無いからって大量放出にも協力的で助かったぜ。

ありがとう、ありがとう。


ボロ家に到着。

うん、本当にボロい。

でもまあ雨風凌げる拠点が出来たのは純粋に嬉しいよな。


ゲーム内の拠点は持って来れなかったけど・・・まあ俺だけの物じゃなかったからかな・・・ギルドの自分の部屋の物は何故かインベントリにインされていたのだ・・・大変助かります。


この小さな家だと精々各々のベッドと衝立位しか置けないだろうけど、城のベッドは薄くて固かったし、冒険者ギルド内に併設された新人の為の集合宿泊部屋の虫入り藁ベッドとか論外なんで・・・インベントリ内にあるの発見した時はマジで涙出たからな、俺。

因みに2人も素材売る時に発見して大感激してた。うん、わかるわかる。


・・・引き取りでその場に居たギルド職員にはドン引きされたけども。

そこは勿論気づかないふりしたよな。


「さ、中に入るか」


と敷地内に足を踏み入れた所、チセが


「わわっ!?スキルの使用条件がクリアされましたっ!」


と喜んでピョンピョンはしゃぎ


「俺も呼べるようだ・・・開放条件は・・・自分の拠点入手、だそうだ」


と言っていた。


・・・条件、厳しくね?と内心思ったけどまあ開放されたんだから良いかとひとりごちた。


解放された、と言ってもどちらも一部だけだったみたいだけどな。

何か、拠点の大きさが足りないとか・・・いや、これ以上は正直難しいからな!?


チセは小さい従魔3匹なら呼び出せる様になったらしい。

ダイゴは竜騎士のスキルの一部が解放、広い場所でなら竜も呼べる様になったけど拠点で飼えない時点で飼う気無しと見做されて竜に契約解除されちゃうみたいで喚んで無い・・・まあ、それなら俺でも喚ば無いわ。

喚ぼうとして警告文が出たから諦めたらしい。

・・・条件わかったけどそりゃ当分無理だわ、ごめんな。


拠点を手に入れたは良いけど、中々冒険には踏み切れなかった・・・嫌、だって痛み100%だよ?


戦闘終了後素材そのまんまとか何てグロなのとか吐かない自信全く無かったしな。

自動解体システムはゲームの世界だけだった。


どうやって試したのかって言うと、肉屋の横に宣伝の為に吊るされてたオークちゃんを見ても何のシステムも発動しなかったからな。

3人で熱心に見てるからオーク肉のバラはこっちにあるぜって店長に突っ込まれたからな・・・俺ら。

罪悪感もあってなけなしのお金でバラちょろっとを購入した・・・憐れんだ店長が結構オマケして肉量かさ増ししてくれるって言う情けないエピソードが増えた・・・いや、美味しかったけども!


ゲームなら自分が倒した物でなくても放置されたり何らかで落ちてる魔物に近づけば“解体しますか“アナウンス流れてたんだけどそれが出なかったんだよな。

このアナウンス無いとさあ、本当に死んだかの判定って難しく無い?

インベントリに入れるにはそいつに触ってなきゃいけないんだけど死んだ振りされてたらって思うとさあ・・・はぁ・・・。

因みに2人も無理でした。


まあ日々食べて生きていくのにお金は必須なんで最初は冒険初心の薬草採取から地道にコツコツやったさ・・・チセの召喚獣大活躍!


魔物の気配とか俺らに分かるわけないじゃん!

突然現れて襲ってくるから最初の頃はマジで硬直してたしビビってたからな、俺もダイゴも、勿論チセも。


ポーションはインベントリに入ってるけど怪我した時に取り出す余裕とか無いからな!?


お互い無駄にぶっかけあったのは良い思い出・・・かも?


途中、チセが


「私が2人をテイム出来たら専用の回復術が使えるんですけどね・・・」


まあそんなの無理ですよねー、とか苦笑してたけど笑えない俺らが居ます。


なんせ目の前に


”テイムされますか?”


という文字が出ていましてですね?


ダイゴが何か操作する動きをして


「えっ!?」


チセがめっちゃびっくりした顔をこちらに向ける。


・・・え、ダイゴさん・・・どっち選択したんすか・・・?


「え、何か、テイム成功アナウンスが??」


「――おいっ、」


「いや、回復マジ大事だろ。それに欠損みたいな事態になった時にテイムされてた方が希望持てるし」


本当のところはどうなるかはわからんけど、というダイゴの言に納得。


上級ポーションはあるけど、それもいつまで保つのかとか周りへの説明も困るしな。


俺もポチッと操作してテイムモンスター化したわ。

・・・言うて別にどっかに還ったりとか人間辞めたりとかのイベントは無かったけど。

―――・・・それは良かったよ、うん。


チセは何かすげー叫んでたけど。

まあ自分が彼女の立場だったら俺も叫んでたな、ははははは。

わかるわかる。


そんなこんなで俺らは意外と何とか3人で日々楽しく?生きていけてる。

おっかなびっくり慎重に、貧乏だけど無理せずをモットーにな。


・・・後の勇者様たちについては知らんけど・・・噂も特に聞かないし・・・ってか、他を気に出来るほど余裕はまだ無い。

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