可愛い弟子(トピー)を育てていたつもりだったのに?狼男だったなんて聞いてない!
とぷこまいん
第1話 アンヌ来訪(1)
「マリィ!これなんだか分かる?」
魔法都市のはずれにある、小さな古びた小屋のドアが勢いよくバタンと開く。ここは、駆け出しの魔法使いマリィの営む「ホラン堂」だ。
「出たわね!アンヌ」
手元の魔法書を閉じながら、大きな目を細め、マリィは心底迷惑そうな顔をした。主人とはいいつつも、その姿はまだあどけなさが残る。父が残した魔法処「ホラン堂」は、腕の良いと評判だった父の代では繁盛した時期もあったようだが、いまは風前の灯火だ。
ここ魔法都市マジョリカでは、魔法使いが、それぞれの属性と魔力によってランク付けされ、それぞれ得意な魔法を使い生業としている。
当然、マリィも魔法を生業としたかった。したかったのだが、出来ることといえば鑑定魔法が少しできることくらい。大きな炎を操ったり、凍てつく氷をつくりだすことはできなかった。
鑑定魔法とは、分からないものに、名前を与え価値を見つけるものだ。たとえば、地下遺跡のアイテム、たとえば、もらった御守りの腕輪が持ち込まれ、持ち主は代金を払い、鑑定を受けて一喜一憂する。
「アンヌ!こんどこそ本物でしょうね!?」
「なっ!!あんた数少ないお客に向かってなんて言い草よ」
口をとがらせながら眉を跳ね上げる彼女は、マリィの店の数少ない常連であり、友人であり、幼なじみ。街の商店で働いているが、個人的に面白いものを見つけてきては、こうやって鑑定を受け、店に並べている。
偽物、贋作も多く出回る怪しげな市に出入りしては、見る目を養っているらしいのだが、アタリに出会う確率はいまのところ、2割というところだ。
こんなことで、商店でやっていけるのかと不安になるが、本人いわく、笑顔と気さくな人柄で人気の看板娘らしい。
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