KAC20243 “箱”
☆――― ソラノ箱 ―――
村じゃ みんなに 嫌われた
強すぎる思い 誰もが逆らえない
意見のぶつかり合いが
いつしか マウントの取り合いになっていた
幼なじみが 遠い街に嫁ぐと知って
泣いた あの夜
渡せなかった 箱を握りしめ
生まれた場所を 呪ったよ
いちばん 大切なモノが 家族から
君へと 変わってしまって
今さら 過去には 戻れない
どんなに あの日を 悔やんでも
土地を捨てる 勇気もない
飛ぼうとしたって 羽根なんか 無い
去りゆく君の うしろ姿を
ただ うつむいて 見送った
涙が 枯れるまで
この村と 共に生きていく
過去 の 風習が...
どんなに ちっぽけな事のか
みんなに 教えてやる
独りぼっちは 怖くない
いつか君が 帰ってこれるように
この大地を
思い出 という草木で埋め尽くそう
さぁ 唄おう
この
詰め込めるだけ 詰め込んで
あの日の景色が 色あせぬように
君の中から
思い出を 消してしまわないように
さぁ ごらん ぼくらの村を
ダムに沈んだ村
人柱が 沈んでいる村だ
いまでも
去りゆく君の うしろ姿を
ただ うつむいて 見送った
涙が 枯れるまで
この村と 共に生きていく
独りぼっちは 怖くない
いつか君が 帰ってくると 信じているから
鬼籍は おこる
きっと どこかで...
◇ 了
※フィクションです
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