第4話 メーデー

母の介護からくるストレスで家庭内の雰囲気が殺伐とすることはあったが、インテリ志向の父に嫌気が差した兄に大型の反抗期が到来するなどしたが、僕は家庭内で呑気に過ごすことができていた。


一方学校ではクラスメイトから邪険にされていた。

自覚はなかったが、僕は人に不快感を抱かせるのが得意だったらしい。

スクールカーストに入ってもいなかった。

僕におもしろフラッシュ倉庫を教えた同級生とは唯一無二の親友で、漫画の貸し借りをしたり公園で野球をしたりしたが、その彼ともどういう訳か仲違いをした。

教室に話し相手がいなかった。

ほぼ誰とも写真を撮らない卒業式を体験した。


人望が無いくせに委員長気質であったため、中学時代には生徒会選挙に乗り出すが、クラス内で不信任決議をされ立候補すらできない状況になった。

僕を可愛がってくれていた学年主任がそれはいかんと投票のやり直しを命じ、何とか立候補、当選を果たす。


が、生徒会役員になった僕に、誰もついてきてくれない。

公約達成のためのロードマップを他の生徒達に示すが、誰も僕の指示を聞かない。

1年間の任期で、自分には人を引っ張る才能が無いのだとこれでもかと痛感させられた。


なお、僕が所属していた野球部は地区大会の1回戦で早々に敗退し、僕は部活を引退した。

すると、これまで部単位でつるんでいた仲間がクラス内のグループで固まるようになる。

部活を引退した僕にはクラスでつるむ友達がいない事に気付き、孤独で憂鬱な下半期を過ごした。



その頃姉は遠方の大学の薬学部に進学、登山部に入り、仲間と楽しくやっていたらしい。

帰省するたびに海遊館に遊びに行き、グッズを買って来た。

ジンベエザメの形をしたペンケースを嬉しそうに眺める姿を覚えている。


兄は近場の大学に合格し当初は実家から通っていたが、すぐに友達を見つけ、彼らの家を転々として自宅にあまり帰らなくなる。

その頃まだ日本語を話せていた母は、兄をして「住所不定学生や」と笑った。



兄も姉も、友達に恵まれている。

何故僕だけが、孤独なんだろう。

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