第13話 拾得物の謝礼
終業のホームルームが終わり岡村先生が
「お前ら気を付けて帰れよ!
途中でトラックに轢かれて異世界に行くんじゃないぞ!……」
「……」
これはネタなんだろうか?
しかし誰も反応して無い岡村先生が寂しそうな顔をしている。先生には個人的に協力して貰っているから僕が笑ってあげないと……いけない!
ウワッハハハハ!!受ける受けるお腹が
痛い痛いお腹が痛いよ!
お腹が捩れすぎて異次元のゲートが開くわ!ブッワハハハハ!!!
静かな教室で一人だけ手を叩き爆笑する黒宮。クラスの連中も岡村先生も唖然としている。貴様ら笑え!!
「ありがとうな黒宮、先生は嬉しいぞ!」
何で涙ぐむ?岡村先生よ!
パチパチと誰かが拍手をしたそれに応えるように皆んなが拍手をしてくれた。
泣いている奴もいる何だよ!この感動的なラストシーンはネタに応えてやっただけなのに……
「大丈夫かこのクラス……不安しかない」
今だ!僕は鞄を手に取り席をたとうとすると左右から手が伸び僕の両腕が掴まれた更に両肩も押さえつけられている。
やられた!伊勢さんの下僕達だ!
普段話もしないのに何と言う連携だ!
本当に恐ろしいのは言葉一つで三人ものモブを戦士に格上げした事。
伊勢さんの能力だ異能持ちなのか?
ファハハハ!
「現れたか!女王様、いや、女神様、
違うコイツは魔王だ!」
「なんか伊勢さんに酷い事言ってますよ」
「ふふふ構わん今の私は機嫌が良い!
お前達の活躍しかとこの目に焼けつけた
報酬を授けようじゃないか」
「「「至極恐悦で御座います!」」」
取り出したるは三つの普通の飴ちゃん。
「ホントただの飴だな」
「この飴ちゃんは今日一日中私のスカートのポケットに入っていたものだ!」
「えっ何と申されました」
「お前らいつの間に伊勢さんの前に跪ついたんだ騎士か!」
「スカートのポケットだ!
この意味理解出来るよな?」
なんか短いなスカート、パンツ気にしないのか?はっ!もしや短パンを履いているのか!
「「「はっはぁー!有難き幸せ一生の家宝と致します」」」
「飴だろ喰よ早く!」
「下郎!口を慎め!伊勢様の御前だ控えおろう!」
「今だ!ダッシュ!」
「逃すか貴幸!」
伊勢さんが僕をブロックをしようと立ちはだかる。
不味い伊勢さんを吹っ飛ばしてしまうかくなる上は優しく包み込むようにハグ!
「ひゃあ〜!」
可愛い悲鳴があがった。
「伊勢さんっていい匂いがします
身体も柔らかく抱き心地が素晴らしいです。ずうっとこのままでいたいですね」
何なのよコイツ私を口説いているの?
「は、離して下さい……」
「あっ!すみませんこのままでは伊勢さんを吹っ飛ばしてしまうので苦渋の選択でした」
イヤ、コイツ狙って居たんじゃないか
クラスの殆どがそう思ったようだ。
「それじゃ参りましょうか貴幸君」
「えっ?」
ガッツリと腕を組まれ教室をでていく
僕と伊勢さんクラスの連中は唖然としている。
僕は思ったオッパイデカい!
僕達は付き合って居ないからね声を大にして伝えたい。
しかし伊勢さんを見るとそこまでは言えなかった……イヤ言えるけど。
廊下に出るとすれ違う人達がギョッとした表情でわきに避ける。
この光景は……入試の時かデジャヴか!結末も同じ事になるんだろうな……
まあ、今回は拾得物のお礼だから何も気にする事は無い!はず!
僕達は駅前通りまで来てる勿論腕を組んでだ途中すれ違う人達は伊勢さんを見て余りの綺麗さに目を見開き僕を見て目を細めてる当然だ僕はモブなのだから。
「何処に行くのですか?」
「ん、あそこよ」
「カラオケ、地獄突き?マジか……
ブッチャーがいるのか?」
入り口で会員カードをスキャンをして空き部屋をタッチパネルで選択して時間と人数を決めてる。
時代は進化してると思った。
「ほ〜行った事ないけどラブホ見たいですね伊勢さん」
「わ、私だって言った事無いわよ」
「見栄張らなくてもいいですよ」
「ホントだって馬鹿!」
「痛ってーー!!スネ蹴られたー!」
エレベーターで二階にあがる。
「何か分からないけど緊張しますね?」
「えっ?」
この馬鹿意識してしまったじゃ無いの
なんかドキドキするわ。
「わー!いい部屋ですね伊勢さん!
あれ、回るベッドもガラス張りのお風呂も無いですね」
「当たり前ジャン!!カラオケよ!!
カラオケだからねー!!」
ハァハァハァ……
「歌う前からシャフトしたら喉が潰れますよ伊勢さん」
「痛ったーー!さっきと同じ所をトウキックなんて只者では有りませんね」
私、おちょくられている?
冷静になれ伊勢あゆみ私はカリスマモデルよモブじゃないんだから。
あら落ち着いちゃったね。
「タブレットでドリンクと食べ物注文して私は曲を入れるわ」
「伊勢さん何飲みます僕はコーラです」
「そう、私は緑茶ね」
「了解ですピザとポテトも頼みます」
「おつけ!」
ポップな曲を軽快に歌う伊勢さんはテレビのカラオケ番組にも出場出来るくらいに歌が上手かった。
美人で歌も上手いこれでモテなかったら後は性格だな。
ウンウンと一人納得してる貴幸だ。
「アンタ失礼な事考えていないよね」
「えっ?テンプレキタ〜!何ちゃってね」
僕は無難なアニメソングを一曲だけ歌った可も無く不可も無い出来だ盛り上がりはしなかったが。
ピンポ〜ン!
「あ、誰か来ましたよ」
「あー貴幸開けてあげて」
「ほ〜い!」
ドアを開けると其処には伊勢さん並みの美少女が立って居た。イヤギャルだ!
「イヤッホー!!アユッチきたよ」
「待ってましたサユサユさっさ座って
何飲むノンアル?」
「それでいいわタカッチ注文よろ!」
「はい!喜んで!サユサユ?タカッチ?」
アユッチさんが僕の右隣サユサユさんが僕の左隣タカッチの僕は接待された
しゃちょさんね今だけ限定だよ。
「ねぇねぇタカッチの元カノ安倍屋さんだよね」
「おーグイグイくるねーサユサユさんは
あの女は家の隣で古くからの知り合いなだけ」
「ウンウン今はでしょう全て吐きなさいよ吐いてスッキリしなよ」
「僕は二日酔いのオヤジか!
分かりました終わった話ですけどつまらないですよ」
二人とも期待に満ちた瞳がキラキラして居た。人の不幸は蜜の味、甘くて美味しいのか?
「ハァ……あの女と同じ高校に入る為僕は去年の夏から一日も欠かさず勉強したんです。成績もヤバかったもんで必死になって勉強した結果多良田に合格出来ました。そこまでは自分でも良く頑張ったと思いますよ。
で入学後一週間で正式に付き合う事になったんですけどあの女生徒会の書記見習いの役職を受けて生徒会に入ったんです明らかに可笑しいでしょ最初から目をつけられて居たんですそれも伝えてやったんですけど有頂天になっていて僕の話も聞き入れなかった。
そんでそのボンクラ副会長と二股交際を始めやがったんだ!
僕が入学して二週間でですよ
まあ、その辺から変でしたけどゴールデンウィークの初めに他の街で嬉しそうにに腕を組んでラブホに入るのを見たんです!そこから全てがどうでも良くなりました担任に退学して大検を受けると言ったんですけど三年分の勉強を一人でやるのは辛いと言うので学校行事を全てパスして最低限の単位で卒業する事にしたんです今はそれを調べて貰っています。
そんでその女を無視していたらボンクラと二人で僕の前に現れたので全てをぶちまけてやった!多少はスッキリしたけど……あっその日かあの女がヤンキーどもにレイプされたの……僕の所為……
イヤ、あのクズ会長の指示だ奴は飽きれば同じ事をしていたんだろうな早く知れてあの女も良かったんじやない。
今頃警察で調書をかかれているんだろ」
「喋り過ぎた」
一気にコーラを飲み干すとゲッフと特大ゲップが出たすみません。
「何か余計なこと聞いちゃったね」
「いいえ、警察沙汰以外には学校で言ってた事ですからそれと生徒会も学校もこれから大変だと思いますよ」
「アンタなんかやったのね」
「さあ、どうでしょうねサユサユさんも歌って下さいピザも半分有りますから食べ下さい」
「ねぇタカッチはサユサユを知っている」
「いえ、全然知りません」
「だよねアンタそう言うとこあるもんね」
「僕だって少し前では普通に関心を持ってましたけど今は全てが面倒で仕方が無いんですよ人間なんて盛りの付いた猿にしか見えません。だから何も信頼しない、猿だから裏切っても仕方が無いんです最初から信じていませんから」
「わたしらも、かい」
「うん、どうだろう分からないや」
「そっか」
「だって今日だけの謝礼でしょう」
「今日だけね……まだまだ時間があるから歌いまくるよ」
「「おーー!」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます