受け身の恋

つばめいろ

第1話

 「玲為れいのことが好きなの。付き合ってください!」


 ある日の放課後だっただろう。何もない、普通の日。日が消えかけている、他に人が残っていない教室。僕は、同じクラスの友達の芽依めいから告白を受けた。別に嫌いでは無かったし、断る理由も別にないからOKの返事をした。好きかと問われたら、すぐに肯定ができないかもしれない。それでも、芽依と付き合うことにした。

 その答えを聞いた芽依の顔には、笑顔が広がっていた。相手の気を悪くしなかったようだからよかった。

 そうして僕の恋人ができた。





 始めこそは少しぎこちない感じだったけれど、時間がたてば慣れるものですっかりらぶらぶのカップルへとなった。芽依の意見により、付き合ったことを周りの人達に言わないことになった。あくまで、この二人の秘密の関係。このときも、僕は反対する理由もなかったため同意した。

 だから僕達が付き合っているなんてみんな知らない。元々仲良かったこともあって、僕がずっと芽依と話していても何も気づかない。でも、前より仲良くなった? って感じてる人も少なからずいるようだ。なので、たまに付き合っているのか聞かれる。

 鬱陶しく感じていたが、芽依がこの関係に飽きるまでの辛抱だろう。どうせそんな長く続かないはず。



 それから僕達はカップルらしいことをするようになった。始めは手を繋ぐことから。芽依がキスしたいって言うからキスもした。キスは案外悪いものじゃない。そして、そのさらに先まで。

 芽依がお家デートがしたいと言って、芽依の家にお邪魔することになった。

 「今日は親が帰って来るの遅いから」

 芽依はそう言って、僕にせまってきた。別に芽依とそういうことをするのを悪く思わなかったから、受け入れた。

 芽依がどう思っていたのかは知らない。




 それからしばらく経った頃。芽依が付き合っていることがクラスに広まっていた。男友達経由で知ったことだ。相手は僕ではなかった。隣のクラスの奴だ。そいつが芽依と付き合っているらしい。


 芽依は一応僕と付き合っていたと思うんだけどなあ。いつの間にか振られてたっけなあ。


 記憶を探る。……いやあ。記憶の中には見つからないなあ。だとしたら二股ってことかな。まあいいや。後で芽依に聞こ。










ここまで読んでくれてありがとうございます

これからも頑張ってほしい、作品が面白いと思ってくれたら

☆、フォローよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る