暗殺された国王の娘に転生した俺は【万能テント】で異世界の山々を踏破する!
@yamatosumi
第1話 出会い
ふと気が付いたら見たことのない場所?
例えるなら宇宙にポツンと弾き出されたような不思議な空間に長い白い髭を生やした。
お爺さんと向かい合って立っていた。
「貴方はどなたなのでしょうか?」
「儂か、儂は命を司る神じゃ。」
「私はどうして神さまとこうして向かい合って此処に居るんでしょうか?」
「お主は登山中、事故で死んだんじゃ。」
「そうですか。私死んだんですね。」
俺は最後まで人間関係上手くできず、友達一人も出来なかった。
親にも散々心配掛けて来た。それなのにお礼の一言も言えずに死んだ。
「ごめん父さん、母さん今までありがとう。」
「すまん。今までお主には辛く苦しい日々ばかりの人生を過ごさせてしまった。それでじゃ、もう1度人生のやり直しをしてもらいたい。」
「もう一度ですか?私はこれから何処で人生のやり直しをするんでしょうか?」
「お主達の言う異世界じゃ」
「異世界ではどんな場所で暮らすんですか。」
「「死の森」と言う魔物の住む森じゃ。」
「なぜ「死の森」?」
「今この森の奥に5歳の少女の身体が捨てられた。この身体がお主の身体になるからじゃ。」
「よりによって何故そんな所ある身体に、町の中とかもう少しましな所の身体はないのですか?」
「お主の魂が障害なく融合出来る新鮮身体がこれだけなのじゃ。」
「そ・う・な・んですね。分かりました。」
「では、何か欲しい物はあるか?」
「これから向かう「死の森」に安心して暮らせる場所は有りますか?」
「魔物が多く住む森じゃ。家や安心して暮らせる場所など無いのう。」
「では雨風が凌げ、簡単に泊まれ、魔物から襲われても壊れないテントが欲しいです。」
「それだけでいいのか。」
「ハイ。魔物から隠れ、移動しながら暮らせば生き延びられるかな?と思うし。それに五歳の身体だと色々頂いても持てないと思うから。」
「そうか、欲がないのう。では、儂からの餞別じゃ。テントを万能にして、身体の一部から出せるようにして授けよう」
「ありがとうございます。」
「それでは、お主はこれから「死の森」で5歳の少女として生きる事になる。この少女はさる王国の第一王女で、王位継承を持っており、玉座欲しさの逆賊から闇討ちされた身体、名前をフェリズ・サルマトリア。通称リズと言う。魔力も持っているぞ。」
「魔力?もしかして魔法使えるんですか?俺、魔法使いに少し憧れがあります。」
「魔法は使えるが、魔力はまだそう多くない。使ってしまえば命を落とす危険がある。気を付けるのじゃ。あまり期待するな。」
「分かりました。」
「そろそろ時間じゃ。頑張って生きるのじゃ。」
「ハイ。神さま色々ありがとうございました。」
こうして村上佑輝20歳は異世界転生し5歳の少女、名をフェリズ・サルマトリア。通称リズとして生きる事になった。
◇ ~ ◇ ~ ◇
とりあえず現状の確認。
此処が「死の森」なのだな、後で少し見て回ろう。
次は服装、これは普段着なのかパンツスタイルだ。
でも凄く高そうなのは俺でもわかる。
御伽噺に出てきそうなドレスで無くて良かった、そんなドレス姿だったら魔物のカッコウの餌だからね。
力もそれほど無いみたいだし。
持ち物はナイフと、何か穂鞘に綺麗な装飾があり、柄に宝石が埋め込まれた短剣を持っている。
「この穂鞘の装飾は紋章だろうか?」
紋章も宝石も無縁な生活をしていたから分からないが、この身体は何処の国の王女様だったのだ?
そして私が憧れた、魔法が少しだが使えるらしい。
「後で少し試してみよう。楽しみだ。」
次はテントだね。神さまが身体の何処からでも出せるって言っていたな?
やってみよう。
「テント出て来い。」
と思いながら手を叩いたらテントが組立たったままの状態で出てきた。
今度は、テント直れとまた思いながら手を叩いたら、目の前からテントが消えた。
神さま最高です。この身体だとテント組立てる間に魔物に襲われる。ありがとうございます。
でも今はただのテントだね。
神さまが万能テントにしてくれたから、何が付与出来るかやって見よう。
「生きて行くためにはどんな機能が必要だろう。」
この身体は一般人と違って、みんなに凄く大事にされて来たたと思う、それで怪我や病気・疲労に弱いと思うから、テントで休んで居るうちに怪我や病気、それに疲労と少ないらしい魔力も回復出来ると助かる。
やってみるか。
まずテントのなかに入って。
「怪我や病気・疲労と魔力の回復・怪我や病気・疲労と魔力の回復~~~~~~!出来たー。」
次は、生き延びるためにまず必要なもの。衣・食・住。
住はテントがあるので大丈夫。
衣は今着ているものは上等すぎて動きにくい。
もっと汚れを気にしないで動き易い前世のこんなパンツタイプの物、出せないかテントの中でやってみよう。
「パンツタイプの洋服・パンツタイプの洋服ん~~~~~!出来たー。」
動きやすそう早速着替えよう。
やはり動き易い、それに洋服が汚れても心配がなくなった。
何か凄く疲れた。
ちょっと休憩。
早速テントで休んでみた。凄いさっき感じた疲労感がなくなったし魔力も回復したみたい。
今でもそうだけど、これから益々持ち物も増えて来るだろう。
でもこの身体だと力が無さすぎて、殆んど持てない。
ならばテントの壁から出し・入れ出来るようにならないかな、出来れば外側と内側から。
それに長期間生物も傷まないよう保管できると便利だけど、出来るかなーやってみよう。
「内部・外部の全ての壁から出し入れ、内部・外部の全ての壁から出し入れ~~~!出来た」
「生物の時間停止長期間保管、生物の時間停止長期間保管~~~~~~!出来たー」
「空間拡張・空間拡張~~~~~~~~~~~!出来たー」
これで荷物が増えても大丈夫だね。安心、安心。
次は食だね。俺が前世で最後に担いでいたリュックと中身もそのままある。
数日分の食料はあるが、コレに手をつければ食べるものはもうないので、これは備蓄分として取って置きたい。
これから生きるためには、食料・火・水が必要になる。
テントで食料出せるかな?
やってみよう
「お肉・お肉・お肉~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~がっかりダメだった。当然だよねー。」
「水・水・水~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~やっぱりダメかー。」
近くに川があるかな。耳を澄まして見ると川の流れる音がする。
では食料はまず川の魚。
いるかな?
「いる、いる。」
魚を獲るには、虫取り網に似た魚とり網か釣り竿~、この身体で釣り竿は無理。
なら魚とり網だね。
まずテント魚とり網出せるかな?
服が出せたから大丈夫かな?
「魚とり網・魚とり網~~~~~~~~~~~~~~~~!出来た。」
ならば今有るナイフで、木の葉が沢山付いた枝を切り、川の流れで枝がバラバラにながれて行かないよう束にして下流の川幅に沿って並べ敷詰める。
この時網も軽く一緒に固定しておく。その後上流から魚が下って来た所を木の枝で川面を叩き網に追い込んでいく。
魚が意外と沢山取れた。これで暫く食料は大丈夫。
火はリュックの中にライターがあったので大丈夫、でも使う回数に限度があるので大事に使おう。
ライターは今後も必要なので、テントで出せるか試してみよう。成功、ライター出せた。
これで安心だし今後の生活が格段と楽になる。
次、飲水は川の水があるから大丈夫。
強い魔物が多そうだからテントに潜水艦にあるような丸い探知出来ると安心だけど?
テントの中でやってみようか。
「丸井探知機・丸井探知機~~~~~~~~~~ん・・・・・!出来たー。」
探知機があるので安心だが、体力が付くまでは生活の拠点をこの川の近くでしたい。
傍に洞窟があればそこに隠れて暫く生活したいがあるかな?
それにこの身体は隠れて生きたほうがいいのかもしれない。
王女がホントに死んだか、逆賊らが確認しに来ないとも限らない。
その後川に沿って上流に行くと滝があった、そしてその裏が洞窟になっていた。
湿度が高そうだが大丈夫だろうか?
でもテントあるから入ってみようか。
意外と奥が深い。それに滝のせいか魔物や動物の気配がしない。
奥のほうは湿度も大丈夫そう、何より少しだけだけど外からの明かりが漏れてくる。
此処なら火を焚いても大丈夫そうだし隠れられる。これで安心して眠れそうだ。
と思った時には火を熾し、さっき獲って来た魚を焼いていた。
空腹と疲れで早くゆっくりしたかった。
テントは組み立てる必要ないのでそのまま使える。だからすごく助かる。
食事の後は朝までぐっすり寝た。テントのおかげで凄く元気だ。
翌朝顔を洗おうとして重大な事に気づいたシャンプー、洗顔やボディー石鹸、ブラシに鏡と洗剤が無いテントで出せるか?
魚とり網やライターが出せたから大丈夫と思う、やってみよう。
テントで環境に優しい石鹸類と日用品を想像し手を入れたら出てきた。
助かった。
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