第14話 Aランク冒険者「レイヴ・ファウスト」
「———不誠実な対応をとってしまったこと、
どうか謝罪させてください。ですが、こちらとしても。事情と立場がございます。それだけはどうかご理解頂きたい。人前に姿を現せれない理由は私の姿を見て、ご理解いただけたでしょう?」
「成程なぁ。そりゃ姿を隠すわけだぜ」
「それと。す、すみません。ふ、フードを被っても。よろしいですか・・・」
「・・・あぁ。好きにしな」
モゾモゾと顔を背けるように背中を向け、フードを被り顔を隠すブラック。どうやら、私達に隙を見せないように気丈に振る舞っていただけで、人前に顔を晒すと途端に気弱な性格に変わってしまうらしい。
これが裏社会の首領と思えない姿に。緊張して張り詰めた空気がほぐれていくのを感じた。
「ふぅ、緊張した」
「———あんたの覚悟。確かに見せて貰った。俺も文句はねぇよ」
「それは良かった、こちらとしても情報は惜しまないつもりです」
敵のアジト、その洞窟内で兵士が最後まで記していた"マッピング"それが私の手元にあります。全体構造がある程度把握できる地図ですね、きっと役に立つと思います。それと街から洞窟の場所までの案内図も。ここから北東に2時間ほど歩いた場所になります。
私達は貰った地図を広げて、書き込まれた内容を確認する。
「ふぅん…?かなり広いな」
「ですね・・・」
かなり詳細に書き込まれている。この洞窟内、厄介な事に全体が蟻の巣の様にあちこち枝分かれしていて、入ってきた物を迷い込ませる様に作られているらしい。これはマップが無かったら捜索は随分難航していただろう事が容易に想像できる。
私が地図と睨めっこしていると…。何か、重要な情報を語ろうとしているのか。ブラットが意を決したように、重たく重厚な雰囲気を纏う。そして、閉ざしていた口を、開いた。
『今から、私の知っている範囲の「"敵の情報"」について。お話ししましょう。
敵の正体は、依然として不明。何が潜んでいて、そこに何匹いるのか、種類、数、敵の攻撃能力が何一つ分からない。
私の情報網をフル活用し、独自に探りを入れた結果。とある「"物"」を発見しました。今から見せるものは少し衝撃が強いかもしれませんが…、見せておいてほうが良いと思いまして
———それが・・・コレです。
何処の空間からか突然取り出した謎の物体。緑色の粘液で
ドロドロに溶けた黒いナニカ。察しがいいですね、そうです。私もコレが「人間の肉だろうと推測しています」つまり、敵は人間を食べ物として認識し、殺した後に捕食し体をドロドロに溶かして「"喰った"」この残骸は街の兵士達が死んだ後の成れの果てではないか。
私はそう推測しています。おそらく、敵は人を丸々飲み込めるだけの大きさを持っている筈。どこに潜んでいるか分かりません予め用心した方がいいかと、何が何処に潜んでいるか分からない』
「———そうだ。お二人に私のペットを一匹。側に付けておきます。きっとお役に立てるかと。」
「ほら、おいで」
「・・・フォゥ」
ブラックの服の中からモゾモゾと出てきた一匹の生命体。
よほど珍しい物なのだろう、アルトも驚いた表情で見つめている。雪の様に白い狐の様な姿をした、動物か。あくびをしながら退屈そうに背伸びをしている。その後ブラットの頬に顔をグリグリと擦り付け、彼女に甘えている様だ。優しく撫でられている。大きさは普通の狐サイズだが、どこか神々しさを感じる姿。
「・・・なんだコイツ。見たことねぇな」
「そうでしょうね。コレは私が呼んだ『"式神"』ですから」
「式神・・・か」
「・・・。あの、触っても良いですか」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
リゼットは恐る恐る、手を近づけてそっと触れる。毛並みがふわふわとしてくすぐったい。手が少しひんやりとして、冷たくて気持ちいい感触。枝分かれして生えた尻尾に誘われるように顔を埋める。なるほど・・・これはたまらんですね、温かさに包まれています。心がポカポカして参りました。天国とはまさに…。
「・・・リゼットさん、帰ってきてください」
「・・・はぅ」
この式神は近くに置いておくだけで護衛してくれる機能付きですが、式神は一定のダメージを受けると自動的に消滅します。いえ、死ぬことはありませんよ、消えて私の元に戻ってくるだけです。洞窟内で予想外の状況に陥る可能性は否定できませんから念の為に側に連れておいでください。
もし式神が消滅した場合。私の脳内に直接情報が届きます。緊急辞退が発生した場合すぐに駆けつけられるようにしておきますので。
「これは私の存在を探知した手腕を見込んで、お二人にしか頼めません。」
「オーケー、受けてやるよ。サクッと終わらせてくるか。次は俺たちの番な」
「・・・えぇ、分かっています。
本当は自ら赴きたいのですが…、すみません。頼りにしています。」
「そうと決まれば早速行くぞ」
「———はい。片付けましょう」
どうか、気をつけてくださいね。
無事を祈っています。
◇◆◇◆◇◆
雑貨屋でポーションを買い早々に準備を済ませ
街を出てから、北東方向へ歩いて向かう二人。
「で、どう思うよ」
「・・・、どうとは…?」
きょとんと不思議そうに見つめてくるリゼット。何を聞かれているかさっぱり分からないといった感じだ。これから死地に赴くって言うのに…、なかなかいい根性していると思う。
「何って「"情報屋ブラック"」の事だよ。んだよ。キョトンとした顔しやがって。
仕方ねぇだろ?俺、今までパーティー組んだことねぇしずっとソロでやってきてんだ。別に俺一人で特攻する分には問題ないだろうけど、仲間を危険に晒すかもしれねぇんだ。どうしても慎重になっちまう」
「・・・らしく無いですね。シャキッとしてくださいよ。いつもの調子は何処にいったんですか?まったく。・・・ブラットさん、嘘はついてないみたいですよ?むしろ、私たちのことを過剰なぐらいに心配してましたね」
「———そうか、お前がそういうなら。いい」
「さてと。難しい顔してる人は放っておきまして・・・、フーくん。貴方はなんていい子なんしょうか」
「・・・フォウ?」
(・・・くぅっ、上目遣いなんて卑怯だぞ。この抱きしめたくなる愛くるしさ、何も考えてないような表情が最高にいい。やはり人間より動物。動物はいい、悩みや不安を可愛さで粉砕してくれる。・・・あぁ、アニマルテラピー。
わぷっ!顔に飛び込んできた。このこの。
・・・そうだ、おやつ食べる?いるの?そうかそうか、いっぱいあげる。ほら、お食べ?)
「・・・よしよし、いい子いい子です」
リゼットが式神を可愛がっている内に。
やがて目的地である洞窟らしきものが見えてきた。入り口の周りが苔むしていて、かなり年月が経っているであろう事が伺える。ぱっと見は、何の変哲もない普通の洞窟のように見えるが、不思議と引き込まれてじっと魅入ってしまう奇妙な魅力を発しているような。思わず入ってしまいたくなるような引力を発している。これは…、誘われているのか。遠目から眺めていると、人がいるはずのないそんな場所に、なぜか人影が見えた。それも一人じゃなく複数人の団体である。妙だ…。フォウが、服の中に隠れて身を潜めた。
「んあ?なんだ。様子が変だ、誰かいるぞ。」
「・・・ですね。」
「———おや、君たちも討伐にきたのかい?」
複数でパーティーを組んでいるらしい。総勢20名近くの人員が集結しており、その中で鎧を着たパーティーリーダーらしき人物がこちらと接触を測るため近づいてきた。
「———失礼、紹介が先だった。私達はAランク冒険者グループ「"レヴス・ファウスト"」そのリーダーである「"レヴンス"」だ。リーダーというのは形だけだがな、主に前線でタンクを担っている、よろしく頼む」その男は右眼に一本。縦にざっくりと引っかかれた傷を負っている。銀髪のいかつい顔をした男性。数々の修羅場を潜り抜けてきた風格を感じられる。
「・・・私は「"ローズ"」だ。主に団長の補佐役を務めている。
あまり団長に気安く近づいてくれるなよ」
ブラウンヘアーで長髪の女性。両手剣を地面に突き刺した。ローブと籠手を着用しており身長はかなり高め。プライドが高かく気の強そうな女性だ。
「失礼。少々気が立っている様だ。彼女の無礼を許してほしい」
「ああ、後ろの二人随分似て居るだろう。
『ルーク』と『シュナ』彼らは義兄妹の関係で、常日ごろから行動を共にしている。ルークが兄でシュナは妹だ。
プラチナブロンドの髪色、服の隙間から除く肌はとても白く眩しくかがやいている。こうして遠目で見ると、確かに見分けが難しい。似た顔立ちをした二人に
困惑して居ると。
団長であるレヴンスから手が差し伸べられる。
「———二人の判別方法は表情と雰囲気だ」
「ルーク」の方は表情が豊かに動く、精神的にも成熟していて比較的穏やかな雰囲気を感じる。「シュナ」は表情筋がぴくりとも動かない。完全に無表情だが、何処となくムスッといた表情をしている。あとは、少し背が高い方がルーク。小さい方がシュナだ。そのうち一緒にいればすぐに判断つく。
「あはは、よろしくね。後方支援は僕に任せてよ」
「ん。弓がとくい」
「———俺はアルト。んで。こいつがリゼット」
「・・・よろしくです」
「それで…?あんた達はこの場所に何しに来たわけ?」
「何、依頼を請け負ってな。ちょうどマルタ街に滞在していた時に街の長が我らの元に直説状況を説明して来たんだ。こちらとしては儲け話が転がり込んできてな。丁度いいから肩慣らしに請け負ったまでのこと」
「・・・なるほどな」
『あの、アルトさん。こんな時に何ですけど… 冒険者って?』
『なんだしらねぇのか?・・・、この世界には冒険者っていうのが存在する。ギルドと言われる物は街に行けばどこでも存在している。行けば普通に登録できるぞ?
俺たちは極秘の任で動いているから不必要だが。仲間が欲しい奴とかは積極的にギルドでパーティー勧誘なんかしていたりするな。スタートはFランクから最大Sランクまでの階級によってそれぞれ区別されていて、奴らはその中で上位に位置するAランク。「レイヴ・ファウスト」近頃名乗りを上げた新生グループ。そいつらが俺たちと同じマルタ街に滞在していたみたいだな』
「———ちなみに、俺も興味が湧いて来たのさ、この洞窟に。
俺は臨時で入ったパーティーメンバーの『"ラーズトン"』だ。索敵とか、主にサポート担当。トラップ回避や支援は俺に任せてくれやい」
ソロで潜り込んだという無精髭を生やし、清潔感が欠如した黒髪パーマの少し気取った男性。ラーズトン。元盗賊らしい。
他にも癖のある面々が顔を揃えている、総勢20名超えの軍勢で今から洞窟に潜り込もうとしていた。
『・・・あの、勝手にパーティーに入れられちゃいましたけど 大丈夫なんですかこれ…。
「・・・いや、想定外だが悪い話じゃねぇ。
心配すんな。はなからお互いに信用しちゃいねぇよ。———いざとなったら切り捨てる』
「・・・まぁ、それならいいんですけど」
さて、あらかた自己紹介も済んだ。
新しく入った方の為にも、今から改めて我らの目標を確認する。状況を説明すると、昨晩。この洞窟に挑んだ先進隊の面々が行方不明に陥った。先進隊メンバーの安否の確認、捜索と洞窟内部の制圧が目標となる。
我ら以外で、3.4組チームを組んでくれたまえ。メンバーを見て配置を決めさせてもらう。
「さぁ、チームを組んでくれたまえ!」
『なぁ、俺たちとどうだ?』
『ああ、よろしくな』
『———あの、私と一緒に組みませんか』
『・・・いいぜ、あんたは何ができる』
『私は支援係担当で回復ができます』
『オッケー俺は前線メインだ、よろしく頼むぜ』
『あの、余りそうなので誰か組んでくれませんかぁー?!』
『そこのあんたぁ!こっちに入ってこいよ!歓迎するぜ』
そんなこんなで。周りで続々とグループが決まっていく中、誰にも声をかけられることもなく。無事に余り物となった私達。何故だ、
解せぬ。
「・・・見事に余りました。」
「いや、いいけどな。邪魔なだけだし」
「なら俺と組もうぜ、足は引っ張らねぇ」
「あんたは"ラーズトン"だったか。わざわざソロで来たっていう」
「おう、入りたいグループが無くてよ。あんた達の所に入れてくれねぇか。サポートはしっかりするからさ。コレでも俺ぁ、元Aランクだったんだぜ。冒険者経験はたんまりある、役に立つぜ?
あんさん」
「あんた自由にやりてぇだけだろ。好きに動きな」
「こりゃ話が早ぇ、恩に切るぜ。」
「———よし。決まったようだな」
先方は我がチーム「レイヴ・ファウスト」が請け負う、後の配置はそれぞれ決めさせてもらった。各自確認しておいてくれ。
さて。出発する前にあらかじめ、コレだけは行っておかねばならんな。・・・「"逃げることは恥などではない"」、立派な戦略だ。此度の作戦、死者は一人として出すつもりはない。全員、生き延び地上に返す、誰一人欠けることなく。
「いくぞ、我ら「レイヴ・ファウスト」に続け!!」
◇◆◇◆◇◆
レイヴ・ファウストを先頭に、ゾロゾロと洞窟内に潜入していく面々、最後列に追いやられていた、遅れながらも共に潜入していく。
全員が中に入り奥へ進んでから数分後。
密かに洞窟の入口が突然うにょうにょと蠢き、外の世界への退路が塞ぐ。。
次にこの場所にたどり着いたものが見た時、洞窟など。まるで存在していなかったかのようにその姿が変容していることに、気付いたものは誰もいない。
洞窟の中はジメジメとした湿気で気持ちが悪く、どことなく空気が重苦しく感じる。
他のパーティーとは違い、人数の少ない3人パーティーの私達は後方からの潜入となっており、前線からは少し遠く離れた場所に位置している。
チームメンバーと言っていいのか、共に同行させてくれと言ってきた
「盗賊ラーズトン」。
彼は自身の持ち前の探索力をフルで使い、他パーティーよりも早くお宝の位置を見つけ出し一人で手に入れるために動いているようだ。
想定通り彼は一人で動き出した様だ、多分一人でも大丈夫だろう。後で合流すると言っていたし。パーティーの後ろをついて行きながらも、私達は暗躍して動く彼のことは放って洞窟の内部を捜索していく。
「やっぱおかしいな、間違いなく」
「はい」
グループの後を辿り、湧いてくる雑魚敵を手早く切り伏せ、二人は洞窟内を進んでいた。
しかし、洞窟内部から出てくるのは棍棒を手に隙を曝け出しながら、血走った目で無謀にも突撃してくる「ゴブリン、コボルト」等の雑魚に、頭蓋骨にでっかな一つ目を生やし、空中を飛びながら襲いかかってくる飛行型のモンスタ「ボーンバット」
集団で洞窟に住み着き、入ってきた獲物の喉元を噛み砕き骨ごと喰らいつく「ケイブウルフ」
コレら一体は洞窟の中で見かける通常モンスターだ。正直あまり強くはない。普通の雑魚モンスターでしかないのだが、このダンジョンにおいては何か様子がおかしい。全てのモンスターに共通して言えるのが
「おそらく、痛覚を感じていない」という事。
奴らは。急所を貫こうが、手足を切り落とそうが、お構いなしに襲いかかってくる。普通であれば多少なりとも怯むなり反応を示すはずが、まるで痛みを感じていないかのように。
死ぬことなど怖くない。お構いなしにただ相手を殺す為に突き進む、心臓を貫かれようが首を落とすまで死ぬことがない。
これでは、まるでゾンビのようだ。
「・・・団長、やはり奥で何かが起きて居るのは間違いないかと・・・」
「やはり、ローズ君もそう思うか。
うむ。だが、進んでみるしかあるまい…、この洞窟の問題は我らに託されている。その信頼を裏切るわけにはいかん、せっかく上がってきた「レイヴ・ファウスト」の名に傷がついてしまうやもしれん」
「———よし諸君、奴らは首を落とせば機能が停止する!クビだ、首を狙いたまえ!」
『しゃーっ!首が弱点だ、首を狙え!野郎ども!!
『おっしゃ、まかせろ!』
『うっ、気持ち悪いんだよコイツら!』
『さっさと消えろ!』
『奴ら、集団でくるぞ。油断せずに一匹ずつ減らしていけよ』
うえ、くっそ。帰り血浴びた、最悪・・・。
『もうっ、コイツ・・・っ、チョロチョロ飛び回って気持ち悪いわね。観念して成仏しなさい!』
「そこの。邪魔、下がって。撃ち落とす」
「あはは…、あー、やりすぎないでね?あんまり他の人の仕事奪っちゃだめだよ?」
「もう、うるさい」
前線メンバーのうちの一人、「シュナ」彼女の持つ異能は「弓術向上」である。
こんな場所に来るなんてリーダーの指示だろうか?どうやら前線から後方に援助にきたようである。そんな彼女が一度弓をいると、空中で縦横無尽に飛び回るボーンバットの群れ達が、一瞬にして撃ち落とされていく。何十回と敵に向かって打ちまくり、されど一度として外れはない。飛び回る敵に対してホーミングするように縦横無尽に追いまわす。そうして戦う姿はさながら星降る流星の如く。
そして。
ついた異名が「"(彗星)のシュナ"」無口で気怠げな雰囲気も相まって、パーティーのでもコアなファンクラブがあるなんとか。
「———おっと、邪魔しないでくれよ」
『ルーク』
レイヴ・ファウストのメンバーの一人。
「才能はプリースト」
常に妹シュナと行動を共にしているが、前線で戦いに参加する妹とは違い、自ら戦場に赴き刀を振るって戦うタイプではない。彼の役割は主にサポート役だ。
タンク役の防御力をあげるバフと唱え、前線の火力をあげるバッファーとしての役割を持ちつつ。仲間の回復もこなす万能的な役割をこなす。
レイヴ・ファウストというチームは、彼なしでは語れないと言ってもいい。
そんなA級である彼らの相手になる筈もなく、雑魚を蹴散らして順調に洞窟内部を進んでいた一行。
やがて。潜入してから3時間ほどが経過していた。精神的にも肉体的にも、メンバー達に疲労の色が見え始めていた。それでも、前に進み続けること数刻。遂に、魔物が入り込めないような空洞のある場所。休憩ポイントに到達していた。
「———よし、ご苦労!
疲れただろう諸君。ひとまず休憩を取ることにする。ここまでで、怪我を負ったものはルークの元へ案内して差し上げてくれ。彼が傷を手当てしてくれる。腹の空いたものには簡易的な食事を用意しよう。
ーしばし休憩だ。各々、自由な時間を過ごしてくれ」
「・・・団長、後のことは全部僕に押し付けんるんだもんなぁ。困ったもんだよ全く」
———ありぁ、腕が折れてる。肉を噛みちぎられて骨まで到達しちゃっているね。
、痛そうだね。少し我慢していてねごめんけど、団長の指示で回復は使っちゃダメなんだ。余計な消耗は控えてくれって。
だから荒治療になるけど…、コレを口に咥えて思いっきり噛んで。傷口に水をぶっかけるから、キツイだろうけど死ぬ気で我慢してくれ。もしかしたら意識が飛ぶくらいの衝撃が走るけど…覚悟はいいかい?』
———いくよ?
『"ゔうつうう、ぁぁ"』
「よし。包帯を巻いて、治療完了っと。早く済ませたつもりだけど、辛い目に遭わせてしまったみたいだ。くそっ、人手が欲しいな。一人じゃ回しきれないぞコレ…、誰かいないかな」
「・・・あの。ルークさん。よければ手伝いましょうか?私、暇で」
「君は…リゼットさん、だったかな。良かった。丁度人手が欲しかったんだ」
「・・・フォウ?」
「おっとっと、可愛いねっ、よしよし。」
「それでなんだけど。君にお願いしたいのは、重症度の高い人を優先して選別して欲しいんだ。僕は治療に専念してるから、そこまで手が回らないんだ…。頼めるかな」
「はい。了解です」
そこからはリゼットが患者の選別を行い、ルークが患者の治療にあたる。
そんな作業を繰り返す内に、リゼットはどうしても気になっていた事が一つだけあり。我慢できずにルークに尋ねることにした。
「すみません。聞いていいのかわからないのですが、どうしても聞きたいことがあります。不躾な質問かもしれさんが…、妹さんとは・・・・?」
「あー、やっぱり気になる?」
「・・・はい」
いいよ、気にしてない。興味があるんだね、話してあげるよ。
そうだなぁ・・・、何処から話そうか。
◇◆◇◆
パーティーから一人離れて単独行動をしていたラーズトン。
実は彼。既に一人で最深部近くまで到達する事に成功していたのである。盗賊という職業柄。彼は魔物達の意識を逸らす術を熟知していた。持ち前のスキルで危険を回避してこの深さまで潜り込む事に成功していたのである。
「———へへっ、最高だぜ。
俺一人で宝を独占できるなんて…!たまんねぇ。この溢れんばかりの宝の山!雑魚狩りしてる間に奪ってきた財宝の山々だ。金の匂いがプンプン漂ってきたんだ、ついてきて正解だったぜ。しかし奴らも馬鹿だねぇ…おとりに使われてるとも知らねえで。くひひひ」
さてさて、悪いがヤバくなる前にトンズラかこせてもらおうかね。
先に脱出させてもらう。重てぇ、バックがパンパンに膨れ上がってやがる。これなら、当分の間は盗賊家業も休業できるな。帰ったら、たらふく酒を飲んで酔い散らかすか。餓鬼どもにたらふく飯を
盗賊家業もここ最近はめっきり稼げなくなってきていた。
今日で得た魚はデカい。
———あ?んだここ。壁があるが暗いな…、最深部か?よしついでだ。最後にここのお宝でも漁っていくか。もしかしたら一攫千金のお宝が眠ってるかもしれんからな。そうだっ・・・たいまつ。たいまつ何処にやったっけ。バックから松明を取り出すため壁を手で支えてなんとか取り出す。
んだよこの壁、ネトネトして気持ち悪りぃな、それに床も。
クソ。気味が悪いぜ。
「・・・よしよし。あった」
ラーズトンは持って来ていた
松明で洞窟の周りを灯りで照らし、扉を慎重に開けた。ぐるりと見渡してみるがしかし、特には目立った代物は見当たらず。
「・・・なんだよ期待はずれじゃねえか、何にもねぇ。」
落胆のため息をついて、ラーズトンは今度こそこの洞窟から抜け出すために出口に向かって踵を返そうとした時
突如、ドロドロとした何かが彼の頬を伝う。
「・・・あん?何だコレ・・・?、何、が、っ!?」
ーグチュッ・・・。
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