第29話

“春の会”は無事に終了した。


それからしばらくして、望月は役員を辞任した。

もう少ししたら、輝一会を退会するつもりらしい。





俺たちは、相変わらずつるんでいる。

立場は教祖と側近だけど、今やこの4人は心から信頼できる友人同士だ。


直『ねぇ、今度の“秋の会”でさ、俺ら4人で演奏とかしちゃわない?』

増「おお」

升「いいんじゃん」

藤「…うん、いいな」

直『おし決まり!やろ!』

増「曲は?何やんの」

直『それを今から決めるんでしょ』





宗教は悪くない。

悪くなるのは、そこに悪い人間が介在するからだ。


俺は、輝一会のために頑張ろうと思う。

4人で過ごす時間を大事にするために。

ここに居場所を求める、すべての人たちのために。


シンボルマークが俺たちを見つめている。

あの笑顔のニコルは、幸せの象徴だ。





自分を大切に。

仲間を大切に。

自分は人と人との関係性によって生かされていると、素直に思えること。

それが、人生というもの。


それは、人を愛するということ。










【了】

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