第8話 運命の決定

動物福祉法案の採決の日、国会の雰囲気は緊張感に包まれていた。カニ味噌は壇上に立ち、議員たちの視線を感じながら、心の中で自分の使命を再確認していた。彼は、動物たちのために戦うことを決意し、愛する十郎のことを思い出していた。


「これが国民と動物たちのための第一歩だ」と自分に言い聞かせ、カニ味噌は議員たちに向けて力強く語り始めた。「私たちの社会には、動物たちが幸せに生きる権利があります。私たちの手で、彼らを守り、支える新しい法律を作りましょう!」


彼の言葉は、会場にいる人々の心に響いた。カニ味噌の情熱が伝わり、少しずつ議員たちの態度も変わっていくのを感じた。彼は、ミケやNNN、ポチ、勘九郎の力を借りて、動物たちのために戦う決意を新たにした。

投票が始まり、カニ味噌は緊張しながらも、心の中で希望を抱いていた。彼は、これまでの努力が実を結ぶことを信じていた。しかし、串田やその仲間たちの妨害が続いていることも忘れてはいなかった。


「石橋君、君の法案は国民の支持を得られない。現実を見ろ」と串田が再び立ち上がり、冷ややかな声で反論した。その言葉の根拠は、総裁選の時やったように、旧派閥の人間に圧力をかけると言うやり方だった。

カニ味噌は、「絶対に負けない」と帰って闘志を燃え上がらせた。


投票が進み、支持者を増やしていた事を実感した確かに手ごたえはあった。そして、ついに投票結果が発表される時が来た。


「動物福祉法案、賛成多数で可決されました!」

議長の声が響き渡った瞬間、カニ味噌は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。彼の努力が実を結んだのだ。周囲からは拍手が沸き起こり、彼はその瞬間を心から楽しんだ。

「やった!私たちの勝利だ!」カニ味噌は心の中で叫んだ。彼は、ミケやNNN、ポチ、勘九郎の存在を思い出し、彼らの支えがあったからこそ、この瞬間を迎えられたことを実感した。また串田の蛇のような目が眼鏡の奥から冷徹な光を放っているのが感じられた。「チッ」と醜く顔を歪め舌打ちをした口元からは品のない金歯がギラギラとした光を放っていた。」

しかし、喜びの瞬間は長くは続かなかった。串田は、法案の可決を受けて、カニ味噌に向かって冷ややかな笑みを浮かべた。「石橋君、これで終わりだと思うなよ。私たちは、君の動きを監視し続ける。次はもっと厳しい戦いになるだろう。」


カニ味噌は、その言葉に緊張を覚えたが、心の中で決意を新たにした。「私は、みんなのために戦い続ける。どんな試練が待ち受けていても、絶対に負けない」と自分に言い聞かせた。

法案が可決されたことで、カニ味噌は新たな責任を背負うことになった。彼は、動物たちの権利を守るために、さらなる政策を進める必要があった。彼の心には、動物たちのために戦うという強い意志が宿っていた。


その夜、カニ味噌は自宅に戻ると、十郎の姿を思い出した。彼は、十郎に会いたい気持ちが高まり、どうにかして彼に自分の正体を伝えたいと思った。しかし、今はその時ではない。カニ味噌は、石橋としての責任を果たさなければならないと自分に言い聞かせた。


「いつか、十郎に会える日が来る。その時には、必ず自分の正体を伝えよう」とカニ味噌は心に誓った。

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