第24話 『お天気スタンプセットと未来日記 』 10101298さん

(まず、お断りしておく。わたしは、10101298さんの大ファンである)


おじいちゃんとおばあちゃんに手帳とお天気スタンプセットもらったら、その日から日記つけようかなって思わない人は別の使い方アイデア教えて。ちなみに親にはスイッチ買ってもらった。(p.196)


もう、この語り口大好き。



バイト初日からずっと好きなので。可愛過ぎる高橋くん可愛過ぎて可愛いで殴ってくるのほんと好き。(p.196)


感想が、好きしか出てこない。けれど多分、この少し前に出てきた、お天気とは無関係っぽいハートのスタンプは重要だろう。



事件がどこから始まっていたのか、(p.196)


なんて、自然な導入。



女子高(p.196)


わたしもいつか、女子高が舞台の小説を書いてみたい。



ゴムグラウンドの対角線(だいぶ遠い)を全裸ヘッドスライディング1発で滑り切るチャレンジをしていた。(p.197)


情報量多すぎな文は、現代詩に近づいていくのか。



次の日、雪が降った。(p.197)


突如、この純文学的余韻に満ちたセンテンス。ハートがキーかと思わせておいて、実は、日記とスタンプの全てがマジックアイテムだったという、してやられた感。プラス、いよいよハートが登場するぞの期待感。しかしこの語り口の主は、ひじょうに冷静で知的で醒めている。



付き合いました。(p.198)


この、端的な無駄のない展開提示の一文が、ここでは丁寧語が用いられて、ひじょうによいテンポ感を与えてくれる。緩急、メリハリ、緊張と緩和、閑話休題、青天の霹靂。とにかく心地よい。そのうえ、ハートを押すと、偶然出会うことができる、というこの控えめな効力バランスに、作者の品の良い人柄がにじみ出ている。



無言でクルクルニヨニヨクルクル踊ってて、(p.198)


この段落、白眉でした。あきらかにおかしい。なのに、これまでにちょこちょこ挿入されていた、おかしい描写に順応してしまっていたことによって、これが全然おかしくなく、むしろ当然の反応だと感じてしまうくらい、読むほうもおかしくなっている。ちょくちょく言及される宮本生徒会長の存在が生きてくる。文章と作品が完全に一体化している。



これ、明日の日付け書いたらどーなっちゃうの?(p.199)


ここまで狂っているにもかかわらず、スタンプ+日記の発動条件が「日付」である点は外さない。ここを外さない冷静さを保ったままで、狂っている。これは戦慄すべき状況なのだが、そもそも読み手であるわたしも、すでにここに巻き込まれているので、「どーなっちゃうの?」にわくわくするばかりだ。



上下逆さだった。(p.199)


確認の癖が強い。いちいち愛らしい。そして、ま、いいよね。感に完全に説得させられる。



 ──以上、現場から私の走馬灯をお伝えしました。(p.199)


分かる。多分悲劇。ラブラブハートが逆位置で、タロットならばもちろん逆の意味になるのだが、当然、そんな結末であるはずはない、と推測できるくらいに醒めたままで、「で、で、で、どーなっちゃったの?」と前のめり待機のままで、ページをめくる。



ゲリの豪ウン(p.200)


ていねいなダジャレである。はともかく、♡が逆さまだからなぁ~ そっか~ 辻褄はあってるよなぁ~ って、オイッ という、ノリツッコミなんて、ノアの箱舟の再来となるであろうゲリの豪ウンに押し流されながらじゃ無意味無意味。開いたのは「地獄の門」だ。そういえば考える人って、そういう姿勢だったものね。にしても、「光らない雷みたいな音」という秀逸な喩えは、わたしのバイブルともいえる「マカロニほうれん荘」の、きんどーさんの下痢を避雷針で止めたかおりちゃんの話を彷彿させ、思わず第一巻から「マカロニ2」まで読んでしまった。この混乱と混沌と糞便の状況にあってなお、醒めているのはある種のドラッグ体験に似ているのではないかと、想像ではあるが、思うのだ。

 とはいえ、このエンドにいたってもなお、下品にならず愛くるしいままなのは、わたしが作者のファンであるから、という贔屓目ではなく、文体のすばらしさにあると思う。さすがすぎる。

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