報酬エルフとハッピーエンドを目指すたび
くじらのはら
『報酬』,遭遇:1
「ちょっと!なによこのダンジョン!!」
そう文句を言いながらダンジョンの中を駆ける2人
「俺だってこんなに敵がいるなんて聞いてねぇ!!」
2人は冒険者。冒険者ギルドでダンジョンの攻略、お宝の回収の依頼を受けた2人は洞窟のようなダンジョンに来ていた。
「こんなに大量のスライムが出てくるならこんな依頼受けたくなかったんだけど!?!!」
「騒いでないでスライム倒すぞ!!」
「わかってるわよ!」
やんややんや騒ぎつつ敵を倒す、倒す、倒す。
彼らは平凡な冒険者、故にスライムなどはお手の物。
ドタバタと騒がしくも焦ることはなく。
切る、斬る、斬る。斬っても斬っても切れぬことのないスライムの軍勢に息を荒らげつつ着実に数を減らしていく。
そして
「はぁ…はぁ…やっと終わったかしら……。」
「ぜぇ…ぜぇ…疲れた……。」
ようやく終わったスライムの襲撃。2人は息を切らしてその場に座り込んだ。
「そもそも、あんたが宝箱に気を取られすぎて簡単なトラップに気づかなかったのが悪いんでしょ!」
女が噛み付く。勢いに身を任せ動く冒険者など
一歩間違えれば普通に死ぬ。命の危機に晒されて怒らない者などいないに等しい。
「だってお宝だぞお宝!冒険者たるものお宝は回収しないと…」
「でも今回の依頼には必要ないでしょ?中身もガラクタだったし」
冷静に女が諭す。
「はい、すみません。とりあえず今のスライムのことも記録しておくか」
「えぇ、そうしましょう。でも、依頼の文書にはあの大量のスライムに関する記載はなかった気がするけど。」
「冒険なんてそんなもん!イレギュラーの方が燃えるだろ!」
会話しつつ奥へ奥へと歩みを進めていく2人
階段を登り、坂道をくだり、ハシゴを登り、坂道をのぼり、川を渡る………
そしてたどり着いた先、そこにあったものは
「お、これが今回の攻略のお宝か?」
「にしては…大きすぎない?」
─お宝
そこに佇むは、1つの木箱。
人1人入れそうな大きさの立方体。華美な装飾があるワケでもない至って普通の箱。
なぜここにあるのか、どのようにして運ばれたのかすらも検討がつかない。
「ねぇ、これを持って帰るってどうするの?」
「この箱ぶっ壊して中身取り出してみるか?」
「そんなことして中のものが壊れたらどうするのよ。」
「たしかに…。てか、これ中になんか入ってんのか?」
無機質な木箱、生命の温もりはひとつも感じられない。
「蓋も扉もないし、なにか入れようと思っても難しいわよね…」
「「うーーーん…。」」
頭をひねるがどうも答えは出てこない。
どうなってんだ、と考えながら男は箱の側面をノックしてみる。
中で音がくぐもっている。
「お、中になんか入ってるっぽいぞ」
「中身自体はあるのね。そしたら箱を丸ごと破壊するわけにもいかないし…」
「じゃあ箱の板の角の部分に空間作ってこの剣で1箇所斬ってみるか?」
「それだ!じゃあよろしくね」
「おう。危ないかもしれないから一応離れとけよ」
立方体の箱の角に傷をつけ、慎重に剣を差し込み、少しずつ切っていく。丁寧に、中のモノに傷をつけないように刃を下へ進めていく。
1面切り終え、木の板が開いた先で待っていたのは長い髪の少女だった。
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