015
3日間バンシーの叫びを聞き続け、ようやく銀を20個集めることが出来た。3日で金貨2枚分だ、これを売ればテミルの借金も大幅に減らせるけど、装備が優先と言う事で必要な分以外を売り払った。
稼げる狩場でもっと貯金を増やしたい所だけど、3人共バンシーの叫びはもう聞きたくないと言う事で先へ進む事にした。あの層に人がいないのは強さの問題だけじゃ無いかも知れない…
ただ先へ進む前に、失敗しても購入出来るだけの資金が出来たので、装備を強化してしまいたい。
上鱗を集めたもののお金が無いから失敗が怖くて挑戦出来なかったんだ。
冒険者ギルドで錬金術に必要な石炭を防具の個数分購入し、父さんに頼み込む。
まずは一番重要なテミルの盾を作ってくれるように頼み、最初の1つは無事に成功した。
「あ、すまん失敗した」
素材から作られた黒い渦が消え、素材も残さずすべて綺麗に消滅した。
「大丈夫、盾はまだ僕の分があるし、そこまで成功率は低くないからきっと残りは成功するよ」
無事に2つ目の盾が完成し、続けてテミルの防具も一式すべて成功で終わってとりあえず一呼吸つく。
最悪なのは兜だけ3個全部失敗するとかだったからね。上鱗の兜を3個買ったらそれだけで予算が吹っ飛ぶ。
しかし続けて
まぁ僕は盾なんて使っていなかったし、被害が2箇所ですんだと思えば上出来だろう。
装備の購入費はパーティ資金からなどと言っていたのに、今回の予算は持ち寄りだし資金管理はグチャグチャだ。本当に一度お金を貯めて予算を作ったほうが良いかも知れない。
装備屋でなくなってしまった部位とエジ用の大盾を1つ買い、残った銀貨を3分割する。ここからちゃんと管理していこう、借金がある人に借金をしているパーティはまずい気がする。
決意を新たに来た魔物の領域の奥地では、大きな両手剣を肩に担ぎテミルの3倍はありそうな横幅の太った鎧が目の前の地面を歩いている。
「こいつは集めるのは3体まで、それ以上は後ろに流れて行くだろうから気を付けて。
目的はここを通り抜ける事だから無理に集めなくていいし、1体づつ確実に倒して行こう」
ミズナが指揮を取って注意を飛ばしてくる。何でも、いいアイテムは落とすけど硬くて面倒くさいんだそうだ。
兜が無いというのにテミルよりも背が高く、両手を使って勢い良く振り下ろされる剣からは風を切る音が聞こえて来る。
一瞬盾で受けようとしたテミルだけど、慌てて後ろに下がって剣を
地面を叩いた剣が大きな音を立てて、風に乗って砂がこちらまで飛んで来る。
「これ盾で受けて大丈夫なんですか!?盾ごと斬られそうなんですけど!」
「大丈夫じゃ〜インパクトというスキルを使っておるだけだから、見た目は派手だがその盾なら受けられるぞ。
何なら受け流しの練習だと思って剣の横でも叩いてやればいいんじゃ」
巨体から繰り出される剣撃はとても重そうで、僕も盾で受けたいとは思わない。
デボボに言われた通りに剣の横っ腹を殴り付けたテミルだけど、さすがに横振りの剣撃は殴れずに盾で受け止めると、少しだけ身体が浮かび上がって数歩歩かされた。
あれだけ強力な一撃だと皮の盾なんてへし折れて消滅してたかもしれないな。やっぱり装備は更新しておいて良かったかも知れない。
大成功品だろうとカードが挿さっていようと壊れてしまえば消え去ってしまうので、テミルの装備は優先して良い物に変えていこう。
「うーむ、やはりテミルは体重が軽すぎるか。腰に重りでも付けたほうが良いかも知れんのう」
「でも重りなんか付けたら動きにくくなるんじゃ?」
「そうなんじゃよ、かといって軽ければ意味が無いしのう。
のうテミル、やはり精霊術師を止めて魔導騎士にならんか?その方がもっと強くなれるはずなんじゃが」
試しに1対1で長めに戦っていたテミルが、ミズナに魔物を倒されて丁度こちらに戻って来た。
「何度も断っているでしょう?それならスキルを使っていない大神官から転職したらいいじゃない」
「最後まで生き残るであろうテミルが復活魔法を持っている事が重要なんじゃよ。後はカードでヒールを使える様になれば完璧なんじゃ」
「とにかく嫌です。それに私が死ぬまで一緒にいてくれるのが、デボボの指示通りにすると決めた時の約束だったじゃない。契約違反です。」
突然ケンカを始めた2人を
「まぁまぁ、とりあえずは大神官もレベル99になったんだから、その魔導騎士っていうののレベルを上げておけば良いんじゃないかな?
復活魔法は必要になったらその場で転職して使えばいいんだし」
「いや、戦闘中に転職など出来んぞ。精霊が伝えるとはいえきちんと祈らねば神々が聞き入れてくれんからな。それが出来るのは英雄の中でも余程神に好かれている者くらいじゃ」
いつでも転職出来て便利だと思っていたけどきちんと条件はあったらしい。確かに神々も片手間で使われるのは良い気分じゃないだろう。
「じゃが、仕方あるまい確かに約束はしたからの、これ以上は口にせん事にしよう。すまんかったなテミルよ」
「いえ、私のわがままでデボボを縛ってしまってごめんなさい。クルトさんもすみませんでした」
2人のケンカがすぐに収まり、胸を撫で下ろす。
精霊とケンカというと父さんの話を思い出すので少しヒヤリとしたね。
「2人が落ち着いてくれて良かったよ。ミズナが倒してくれてたけどこんな所で長話するものじゃなかったね」
ミズナが魔物を倒してくれていたのはいいけど消費魔力が凄まじい。ランスが何本撃てるんだ?という量の魔力を使い一撃で魔物を消し去っていたんだ。
数が少なかったからいいけど、ずっとこの量を使って倒し続けていたら魔力が尽きてしまうだろう。
だけれど、僕にはこいつに有効な新しい魔法があるんだ。
魔導師がレベル50になった事で新しく大魔導師と賢者に転職して、氷と雷のエリア魔法と光と闇属性のランス魔法が撃てるようになった。
光属性のホーリーランスを使う事で、この魔物の領域にいるすべての魔物に弱点属性を突いて大きなダメージを与えられるんだ。
第5職業まで取ってね。と、ミズナに言われた時は軽く絶望したけど、賢者のジョブのおかげで巨体の鎧騎士もホーリーランス3発で倒せる。
「って、あれ?弱点を突いているのに3発もかかるなんてこいつ強すぎない?」
「うん、デュラハンって光属性が弱点なのに光属性に少し耐性があるんだよね。でも他の属性のランスよりは強いから。
こいつ頑丈だけじゃなくて生命力も高いからやたら丈夫なんだよね。
アイテムも良い物は落とすけどドロップ率悪すぎだし、今欲しいアイテムじゃないからさっさと進んじゃおう」
デュラハン、噂は聞いた事がある。確か1日倒し続けてもアイテムが出なくて、さらに数日倒してようやく龍鱗という金貨数枚で売れるアイテムを落としたものの。
さらに1週間倒し続けても2個目のアイテムを落とす事はなくて、そのパーティはそこで諦めたとある意味この街の伝説になっていた。
僕達も1週間も無収入になる気はないので一匹ずつ倒して先を急ぐ。
1度3体同時に襲われたので仕方なくウォーターエリアを使ったんだけど、エリアが消える寸前になってようやく倒す事ができた。
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主人公015話終了時点ステータス
J1.精霊術師Lv57→67
J2.大魔法使いLv33→50→52
J2.魔導師Lv33→50→52
J3.大魔道士Lv0→25
J3.賢者Lv0→25
B.生命力倍化Lv4→10 new
B.魔力量倍化Lv10
B.魔力倍化Lv10
B.筋力倍化Lv1
B.体力倍化Lv1
B.経験値倍化Lv10
B.経験値分配
B.第3職業→第5職業 new
B.アイテムボックス
B.鑑定
B.モンスター忌避
B.スキル強化Lv10
B.状態異常耐性Lv1→7 new
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