愚者一徳~BETTER OFF DEAD~
儚之シーシャ
プロローグ 生きながら腐る愚者
一体自分の何がいけなかったのか…。金欠が祟って、度重なる借金に完全に首が回らなくなり、安易に『闇バイト』なんかに応募してしまった事なのか…或いはそんな状況になるまですべての事実から目を逸らし、先延ばしし続ける自分の『悪い癖』そのものなのか…。
去年の丁度今頃、自分はごくごく普通の平均的なダメ大学生であった。そこそこの容姿にそこそこの学力。自分で言うのもなんだが、これでも幼少期は地元(中学まで住んでいた狭い学区)で『神童』と呼ばれていたのだが、多くの人がそうであるように、順当に歳を重ねる事で環境が変わり、己の世界が広がる度に自身が存外『大したことない存在』だと思い知らされた。
そんな『無垢な凡人』は、片手間の努力で行ける範囲の大学を選ぶことで自身の人生に対し早々に手を打ち、これなら死んだほうがマシだと不満顔で『人生のB席』に座りながらモラトリウムなんていう甘い毒にどっぷり浸かる事で、その傷ついた小さな自尊心を慰めたのだ。
貴重な実家から贈られる仕送りやバイト代は、覚えたての酒やギャンブル、風俗で飛沫の様に消え去り、下宿先の大家に追いだされないよう無人の消費者金融で無計画に金を引き出しそれをまた…。
本来輝くべきはずの若者の魂は早々に腐り果て、さながら生きる意味を失い目的もなく彷徨う『
…この程度ならよくある話。ただ自分の場合は『闇バイト』に応募するという最後のラインをも容易に踏み越え、犯罪に加担する事で今現在取返しのつかない大変な状況になってしまったのだ。
…俺の名前は『黒谷 オクル』。…少しでいい、この『愚かな半端者』の話をどうか聞いて欲しい。
普通に生きれば経験しないであろう…奇妙な体験を…。
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