第52話 メテオ使っても良いよね?
「又、彗星が落ちる?それは確かな情報?」
「学者達が、そう言って騒いでいるらしいわ……
カンスタークの災害以来、観測を強化して、軌道予測の計算も進んだらしいわよ」
「まじか……アリエルとの結婚式が終わったばかりだぞ?
この事か?急げって世界樹の精霊が言ってたのは?」
「具体的には、何が起こるのか聞いてないのよね?」
「前も言ったけど……世界樹の精霊にも、
何が起こるかまでは、分からないらしい。
時代の流れみたいなものを感じる事が出来るらしい……
直近になると、ある程度未来が見えてくるみたいだけど、
それを話す事は、出来ないんだって……
それで、未来が変わってしまったら、
自然の摂理に逆らう事だからって……
この前の、アリエルとの事は、例外だって言ってた」
「例えばだけど、レオが右に行くか左に行くかで、
この先の未来が、大きく変わるかもしれないものね」
「それで、どんな弊害が起きるか分からないからな……」
夜になり、辺りが暗くなり星が見える様になると、
レオナルド達は、バルコニーに出て、空を見上げた。
「肉眼じゃ、何も分からないわね?
「ああ、北の方に、他の星より10倍位大きな星が、尾を引いてるのが見えるな。
災害の後、ばあちゃんがこれを改良したらしいけど、本当良く見えるよ」
「本当?私にも見せて……あ……これ?凄く明るいのね?
こんなに綺麗なのに、大災害を起こすなんて……」
「彗星が落ちるなんて、普通、何千何万年に一度の、
大災害なんじゃないのか?なんかおかしいよな?
まさか神が何かに怒ってるのか?
カンスタークの災害は、神の天罰だって、言ってた人がいたよな」
「天罰じゃないよ?レオ。女神の祝福を受けた聖女……
あんたの母さんが、国から居なくなり、
それ迄の国や国民の、エリカに対する行いに、嫌気がさした女神……
神がカンスタークを祝福する理由が、なくなっただけなのさ」
「ばあちゃん、つまりそれまでは、女神に守られていたってこと?
じゃあ、この彗星も、神の罰とかじゃないんだ……
たまたま?それとも神に匹敵する力を持った何者かの仕業?」
「どうだろね?自然の事だとは思うけどね?」
「そうだとしたら、災害が多すぎる気がするけど……」
「軌道を計算した学者達は、
最北のホワイトランド共和国辺りに、落ちると見ているよ?」
「ふ〜ん……この辺じゃないんだ」
「〝ふ〜ん〟って緊張感がないね?
今度の彗星は、直径6km位あるらしいよ?
カンスタークに落ちたのとは、訳が違う。
たとえ最北の地に落ちたとしても、
この星の全ての生き物が、絶滅するかもしれないんだよ?」
「ほ〜」
「何が〝ほ〜〟だい。にやけた顔をして……
おおかた、神級魔法を放つチャンスとか思ってるんだろ?」
「人の心を読むとは……お前は誰だ?ばあちゃんに化けた悪魔か?」
「こんな時にバカ言ってんじゃないよ!で、どうするんだい?」
「やるしかないんじゃない?
「……それしかないだろうね……」
「じゃあ、やってみるよ」
「えっ?今からかい?」
「彗星が見える、夜しか出来なくない?」
「だめだよ。今は未だ、標的が小さ過ぎる。
変に当たって、バラバラになって降ってきたら、
それはそれで、大惨事……被害甚大だよ?
数えきれない隕石になったら、いくらレオでも、
それ全てを対処する事は出来ないだろ?
もっと近くなれば、昼間でも見える様になるよ。
確実に当てられる距離になったら、
最大魔力で、完全に消滅させるしかないよ」
「あれが彗星?本当にあれが落ちてくるのか?
止まってる様にしか見えんな?
直径6kmか……月よりずいぶん小さいはずから、多分楽勝だな……」
月より大きく見える様になった彗星を見上げながら、
ゆっくりと、空に浮かび上がるレオナルド。
〝メテオカタストロフィー!〟
〝ドドドガーン!〟
「うん、完璧。跡形なく……」
そう思った瞬間、爆発した彗星の煙の中から、別の彗星が顔を出してきた。
「あれ?何だ?3つ4つ、彗星がまだ5つもある」
〝メテオカタストロフィー!メテオカタストロフィー!メテオカタストロフィー!……〟
「ふぅ〜なんとかなったな……少し慌てたから、
雑になっちゃったけど、破片とか落ちてこないよな?」
〝ピリリリリィ〜〜ピリリリリィ〜〜〟
その時、唐突に手首の通信機が鳴った。
「心配ないぞ〜彗星は破壊し……えっ?魔族が?」
慌てた声で、ティアナから連絡が入った。
「違う!魔族じゃないわよ!仲良くなった魔族の訳ないでしょ?悪魔よ悪魔!」
「悪魔?何でオースティン連合国へ?
もしかして、彗星の、どさくさに紛れて?
まさか……彗星も、悪魔の仕業?それはないか……
この星が、ダメージを負えば、奴らだって……」
「とにかく直ぐ戻って!レオッ!」
「うん、戻るよ。でもテイラーの軍が向かったんだろ?
あいつらだって強いぞ?慌てず行動してくれ」
「悪魔族と言っただろ。他とは比較にならんぞ?
ここ2000年現れていなかったが、
奴らの幹部は、それこそ神に近いと言われている。
めったに現れる様なものではない」
「その声はロベルトおじさん?分かったよ。今すぐ戻るから」
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