孤影の旅路
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1.旅の始まり【1】
濃密な朝霧が山道を覆い隠す中、レッドは一人静かに歩いていた。
足元の湿った土を踏みしめる感覚はあるものの、心はぼんやりとして現実感を欠いている。
この孤独を初めて感じたのは、いつのことだったろうか?
オルビスの町で
町の人々の好意で催された、ささやかだが心温まる婚礼の式。
祝われていたのは、
「あんなに小さい子供だったのになぁ」
美しい花嫁衣装を身にまとったアリスを眺めて、ラトゥフがしみじみと呟いた言葉が脳裏に蘇る。
式の間中「まさかあの二人がなぁ」と感慨深げに言い続けていたラトゥフが、メンラットに抱き上げられたアリスの姿を見て、最後にそう漏らしたのだ。
"あんなに小さい子供" が、美しいドレスを纏い、バージンロードを歩くに相応しい女性になった……その事実に気付いたとき、レッドは初めて、
グランヴィーナの
別の "器" を選べば、再びグランヴィーナと共に過ごせたかもしれない……そんな思いもある。
だが、自分がラトゥフに抱いていた思慕の念を尊重し、「今後の人生を幸せに生きろ」と背を押してくれたグランヴィーナに感謝して、精一杯生きることこそが
そう考え、自分にできること……すなわち
日々を忙しく過ごす中、ある奇妙な感覚が芽生えていることに気付いたのは、彼ら初心者たちを指導している時だった。
ふと、彼らの中に、姿が "ブレて" 見える
「乱視……か?」
転生前、レッドは眼鏡を使っていたことを思い出し、苦笑する。
だが注意深く観察を続けると、ブレて見えるのは一部の
「まさか……
この
もし
その可能性に思い至ったレッドは、すぐにもそれを確信に変えた。
ブレて見えたのは、擬態をしている
動物的な特徴を持つヒトガタ種族、例えば猫の耳や犬の尻尾などを備えた
彼らは奴隷として扱われてきたために、、再び捕縛されることを避けるため、
「転生前に見た漫画やアニメみたいに、
などと、その時のレッドは呑気にそんなことを考えていた。
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