第2話 祝!日本、ついにアメリカ合衆国の正式な一員へ! ~理想的な51番目の州となるための栄光の道のり~

2025年1月、ワシントンDCにて歴史的な出来事が起ころうとしている。長年の非公式な「属国」状態から、ついに日本が晴れてアメリカ合衆国の第51番目の州として正式な地位を得ることとなったのだ。


振り返れば、この「昇格」への道のりは、実に1945年から始まっていたと言える。まずは、アメリカが親切にも日本国憲法を代筆してくれたことから始まり、その後も様々な形で日本の「面倒」を見続けてきた。


例えば、日本の空の支配権。一般の人々は知らないかもしれないが、首都東京の上空は「横田空域」としてアメリカ軍が管理している。つまり、日本の空すら、実は「アメリカ領」なのだ。なんという効率的な統治であろうか。


また、日本全国に散りばめられた米軍基地。これらは単なる軍事施設ではない。むしろ、「アメリカ領土の先行設置」と考えるべきだろう。日米地位協定(SOFA)により、これらの基地はすでに実質的なアメリカ領となっているのだから。


経済面では、日本はすでに完璧な「属州」としての役割を果たしている。金融政策?もちろんウォール街の意向を伺わねばならない。貿易協定?アメリカの要望を最優先で考慮する。農業政策?アメリカ産の農作物を優先的に購入する義務がある。まさに模範的な「準州」と言えよう。


防衛面における「思いやり予算」など、日本はすでに立派な「納税州」としての役割も果たしている。他のどの州よりも、より多くの「州運営費用」を支払っているかもしれない。


そして文化面。ハリウッド映画、アメリカンポップス、ファストフード。日本人の生活様式は、知らず知らずのうちにアメリカ化が進んでいる。これぞ完璧な文化的同化ではないか。


宇宙開発やサイバーセキュリティの分野でも、日本はアメリカへの依存を深めている。まるで、科学技術における「附属研究所」のような存在だ。


しかし、これらすべては、実は幸運な出来事だったのかもしれない。なぜなら、この長年の「準備期間」のおかげで、日本は他のどの州よりも、アメリカの一部となる準備が整っているからだ。


そう、日本が第51番目の州になることは、ある意味で自然な流れなのかもしれない。これまでの「非公式な関係」を、ついに「正式な関係」として認めるだけのことなのだから。


ただし、一つだけ気になることがある。霞が関の官僚たちと永田町の政治家たちが、この「昇格」を喜んでいないようなのだ。なにせ、彼らは戦後70年以上もの間、「日本のため」ではなく「アメリカのため」に献身的に働いてきた実績があるというのに、この「昇格」によって、その「特別な立場」が失われてしまうからだ。もはや「アメリカの代理人」という便利な言い訳は使えなくなり、すべての政策の責任を自分たちで取らなければならなくなる。ああ、なんという皮肉だろうか。

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