034.クラブ設立

 と言うわけで100kも貰った俺たちはクラブについて議論をすることにする。


 まず設立資金が必要だった。ちょうど500kラリル。

 今回の討伐報酬を当てればちょうどいい。

 クラブ設立には最低2名の部長を含むクラブ員が必要だ。

 5人いるから大丈夫だ。

 本当は入りたくないと内心思っている子がいるかもしれないけど、そんな子はいないと信じてるぞ。


 冒険者ギルドの談話スペースで、議論をする。


「作るってことに異議はないね」

「「「はーい」」」

「よろしい。では名前を決めます。ルールとかも決めるのが普通だけど、それは後にしよう。まず名前、オム子から」

「はーい。あるあるクラブがいいです」

「師匠、私は思いつかないので、パス」

「ユマルは、アップアップがいい」

「ユマル、その意味は?」

「タカシタカシ、みたいな。ハイハイでもいいよ」


 ほら、俺のプレイヤー名が偽名のタカシまんまだってバレるからやめてくれ。


「じゃあ、ボクは男タカシのハーレム人生がいい」

「お前ら真面目に考える気あんのかよ」

「ぐぬぬ」

「お兄ちゃんは、何がいい?」

「俺は、ねーよ同盟がいい」

「なにその否定系、だっさ」

「ルルコ、そんなに酷かったか? ブラックユーモアじゃんかよ」

「お兄ちゃん、どうしようか。これまとめるの難しいよ」

「ねーよがダメなら、オム子の『あるあるクラブ』でいいよ俺は」

「では、あるあるクラブでいい人」

「「「はーい」」」


 ルルコ組が3人とも手を挙げたので、決定だろう。


「では、あるあるクラブでいいか。文字はあるあるはひらがな、クラブはカタカナでいいかい、オム子」

「はい」

「俺はオムライスうまいでもいいぞ」

「嫌ですよ。恥ずかしいです」

「俺のはいいのか。オム子よ」

「はい。だってタカシさんがリーダーですから」

「そう言われちゃうとな」


 俺だって照れる。

 ただちょっとMMOに興味があって、古い話とかを調べまくって知識があるだけなんだがな。

 全然たいしたことは、していない。

 ただの又聞き知識だ。価値なんてないよ。


「では作ってくるので、お金集金します」

「「「はーい」」」

「ネコババしちゃダメよ」


 んなことしないってルルコよ。

 垢転生もできないのに、リスク高すぎだろそれ。


「お兄ちゃん。私のを大切にしてね」


 なんか、微妙にロマンチックでいけない話みたいなこと言うのやめてくれユマル。

 顔が笑ってるじゃねえか、分かっててやってるな。小娘め。


「ボクのお金、男と男の友情だかんな」


 いやそのおっぱいで男の友情はないわセリナさん。


「タカシさん、はい100kですね。最初は10kだって大金だったのに、出世しましたね」

「RPGでは出世してお金持ちがあるあるだからな」


 俺をタカシさんと呼ぶのはオムイさんだけだ。


「あるあるですね」

「おお、みんな預かったから、手続きしてくる」


 俺はカウンターで手続きをする。

 すぐにできて、呆気なかった。


「副クラブ長はオム子でいいよな」

「「「はーい」」」


 満場一致でオムイさんだ。


「クラブ員の追加と削除権限つけておいたから」

「あ、はい。頑張ります」

「変な男は勧誘しないように。女目当てだから」

「き、気をつけます」

「女性アバターだからって、すぐ勧誘しないように」

「ええ? ダメなんですか?」

「身体スキャンならいいぞ。ほぼ女性だから。オム子みたいなテンプレ系は特に注意が必要だから」

「私要注意人物なんですか?」

「周りから見たらそうだよ。知らなかった?」

「はい。ショックです」

「まあ、いいよ。いきなりクラブに入れないで、パーティーとかで様子見るようにしてね」

「はい」


「ちなみに男でも本当に信頼できるなら、自分の判断で入れてもいいから」

「あれ? ハーレムクラブにしたいんじゃないんですか」

「断じて違う」

「そうだったんですか。タカシさんが好きそうな男の娘探しておきます」

「があぁぁああ、違うって言ってるでしょ」

「怒られちゃた。ちょっと嬉しいかも」

「なんで嬉しいのさ」

「だって少しは信頼されてる。本気の気持ちだと思うから、です。うふふ」

「まっまあな」

「あーあ、照れちゃった」

「……」


 俺はなんもいえねえよ。


 この話は俺視点なので、俺中心みたいに見えるかもしれないが、ルルコ組はオム子が連れてきただけあって、俺の知らない2日間にどんな絆、プレイをしてきたか、俺は知らない。

 でもなんとなく、信頼関係みたいのもある気がするので、心配はしていない。

 オム子が女の子かネカマちゃんかも俺は知らないが、ルルコ組はどうなんだろうか。


「ルルコ組さあ、オム子て、女の子かネカマか知ってる?」

「先輩がですか、考えたこともないですね。女の子だと思ってましたけど、確かに分からないですねぇ」


 ルルコがそういうと、オムイさんのオッパイを凝視した。

 オムイさんは、乳を隠すように両手を交差させる。


「うーん。女の子らしいけど、逆に怪しいです」


 ルルコにバッサリ言われていた。


「俺も同感なんだよな。たとえ、女の子ですと力説されても証拠がないしな。本体は百貫デブかもしれんし」

「それは、あんまりですよ。たとえ私が百貫だったとして、うまく動けると思います?」

「ごめん。それは冗談だから」

「冗談だったんですか。ぷんぷん」

「お姉さん、ぷんぷんとか言うとこが、わざとらしい」


 ユマルにも言われてやんの。


「わざとじゃないんです。こういうキャラなんです」

「キャラ作ってるの?」

「あっ、ええっと、あの。ちょっとだけ……」

「ちょっと作ってたんだ」

「みんな天然だと思ってたよな? 俺もそうだ」

「「「はい」」」

「先輩は天然ですね」

「お姉ちゃんは、天然だもん」

「お姉さまはボクから見ても天然だ」

「賛成3票入ったけど、オム子どう思う?」

「そんなことないんです。ぷんぷん」


 クラブのマスター「クラマス」は俺だけど、実際はオムイさん中心で回っている。

 そんなクラブは結構あると思う。

 いわゆる裏マスターというやつだ。


 仲良しこよしクラブは新規に冷たいとか、いろいろ言われているので、大きくするつもりがあるかはオムイさん次第ではあるが、新しい子に会っちゃったら、すぐにオムイさんマジックで連れてくる可能性は高いので、そのときはそのときだろう。


 クラブの雰囲気が悪くならないように、コミュ障だけど、全力でマスターとしてひっそり活動しようと思う。


「では、今から序列を発表します」

「「ぱちぱちぱち」」

「1位というかマスターなので俺」

「お願いします」

「2位オムイさん。というかサブマスなので必ず2位です」

「はいあーい。よろしくです」

「適当にサブマスよろ。3位ルルコ」

「ういっす。よろしくお願いします」

「ルルコは固いな。4位ユマル」

「はーい」

「可愛い可愛い。5位誰だっけおまえ」

「師匠さん、酷いぜそれは。男同志だろ。セリナだ。覚えてくれよ」

「そうだった。男同士ではないけど、あと志も同じくしていない」

「ちぇー。腐男子部しようぜ」

「絶対にしない。絶対にだ」

「セリナちゃん。腐男子ってなに?」

「セリナは答えなくていいから。俺が言う。ずばり、オムイさんは知らなくていいので今後も聞かないでください。お願いします」

「あっはいっ」

「素直な子は、もてるよ。よかったね」

「わーい」


 セリナの暴走はわりとわざとやってるから、別に問題ない。

 オムイさんが混ざって暴走すると困るのでこちらは抑えておこう。

 でもやっぱりオムイさん中心で回っているクラブになりそうだ。


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