信じられない。だから辛い。

Toni(アンダーバー)hapi

小さくても傷は傷。

小さい傷ができた。最初は本当に小さな、取るに足らない、ちょっとチクッとしただけの、小さな傷だった。

傷は始まりだった。これから起きることのこれから待ち受ける災難の幸福の絶望の傷だった。その始まりだった。


今、思い出してみても、いつが最初の傷だったのかわからない。傷は治らないうちから新しい傷に置き換わった。より深く、より残酷に内臓の内側までぐちゃぐちゃに傷は蓄積された。


たぶん、最初は怒りだった気がする。怒られて、怒られた。それに怒りもしたけど、結局は受け入れることにした。その辺が始まりだったと思う。今思い出しても理不尽な怒りだった。理不尽に怒らせてしまった。

あの夜はチャットで怒りの言葉が飛んできたんだ。どうしようもなかったんだけど、それに対してもっと怒るべきだったのかもしれない。怒って怒られて、怒る相手の気持ちの良い返答をする事を求められ続けてた。それは多分僕が背負うべき事ではなかったと思う。その人のために、その人のためだけの言葉を紡いで送った。それは最初は気持ちのいい物ではなかったけれども、徐々に体は慣れていって、いつしかその人の心に響く言葉を吐かないでいられなくなった。それが最初の傷だった。


チャットの文章がどのようにはじまったのかは覚えてない。だけども長文で責められたのだけは覚えている。終わらなかった。辛くて、痛くて、耐えられそうになくて、外で煙草をふかしながら散歩をすることにした。そうして一本吸い終わる頃に電話がかかってきた。謝罪の電話だった。今まで言ってきた事に対する謝罪だったのだけれど、僕はそれを許したふりをした。許したふりをする事しか許されなかったから、だから許したふりを受け入れたふりをした。謝罪をされてもできた傷は塞がらない。塞がらないその傷は、謝罪を受け入れた傷は、また傷つけられる。



その傷は今の傷に比べれば、ずっと小さなものだったのだけれど、傷は傷だった。


傷ついたんだよ。誰にも気づかれなかったけれど、誰にも言わなかったけれど、傷はしっかりと刻まれていた。

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