スーパーマン ー2025.7.30.
監督:ジェームズ・ガン
「隣人間の実に人間クサいわだかまり」
「グレートアメリカ、アゲイン」
トレーラーを見る限りどうしてもだぶってしまい、困ったなーと思っていたら、
信頼できるスジから良い映画だぞ、と入ったため偏見を解くべく鑑賞。
アメコミモノは初期のスパイダーマンを見ただけで、界隈のノリをよく知らないが、ヒーローにも普通の生活がある、という描かれ方が面白かった。
そういえば「スーパーマン」ってそういう設定だった、を思い出させてくれるエピソードもきっちり入っていて脚本に感心。
日本でいうなら大人の視聴にも耐える戦隊モノ的な解像度か。
しかし徹頭徹尾のエンタメではなく、今ある問題に、地に足ついた物語で、楽しさの中に過る切実さが絶妙だった。
ヨソから来て過ぎるほど清く働く者と、その姿に脅威を感じる地の者の妬み。善悪ではなく、巨悪でもなく、隣人間の実に人間クサいわだかまりを、おそらく米国にはびこる問題を、スーパーマンという世界に落とし込んだ。果てに導き出された結末は、悪が倒されることはなく、最後、己の不憫に震えて涙するなどと、あれだけボコスカ戦ったのになんて平和的幕切れなのか。
優しすぎるメッセージを、願いを、ストレートなほどに作品からかっ食らう。
僻地の紛争も、なにもかも、作中のようにあれ。
観に行って偏見が解けた。
良かった。
ガジェットやキャラがいちいち作り込まれていて、これっきりはどれももったいない。
犬のザツさ加減がツボった。でも伏線回収はお見事。
スーパーマンが純朴な青年という描かれ方で印象と違ったけれど、好印象。
のちに、監督ジェームズ・ガン氏が過去の差別的ツイートで一次、スタジオを追われていたことを知る。本作は過ちを反省したのちの復帰1本目らしく、これを知ると知らぬではかなり印象が変わってくるなとも痛感した。
全てはすったもんだの間に監督が経験した事に基づいているとしか思えず、侵略者とネットで騒がれハブられたスーパーマンは監督自身を投影しており、一方で異質なものを排除しようとする潜在的な弱さゆえに、ハラスメント体質極まるヴィランもまた過ちを犯した監督のおごりを現していたのではなかろうかと思える。
だからして心から自らを省みたヴィランは追放されるでなく己の弱さに涙する。これは素晴らしい自己開示ではなかろうか。
また間違いも犯すが、良くしようと頑張る同じ人間なんだ、と言うスーパーマンの台詞こそ監督の叫びのようにも聞こえ、背景を知らずとも伝わる画面の強さのワケを理解したような気にもなった。
このように作品が理屈抜きに説得力や凄味、迫力を放つとき、必ずその裏には切実なもの、作り手の真実と繋がっているものだと改めて思わされる。逆に言えばどれほど凝った緻密な設定だろうと、その仕組みになんら作り手の切実さが、ある意味、千切れるような思いが込められていなければ、迫り来るものはないのだろうとも。
人形作って魂入れず。
見る方もお気楽ではあるけれど、記憶には残りにくい。
そして人生、そうも切実な物事は何度も起きず。
一度のそれをモチーフとして繰り返し使うことは可能だが、量産した場合の質についても思い巡らせる。
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