ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング ー2025.6.4.

監督:クリストファー・マッカリー



「エブリタイム・背水の陣」


「デッドレコニング」編、後半パートということもあり、通常と構成が異なる。


いわゆる冒頭30分ほどの「掴みパート」が削られ、代りに前回のおさらいパートがあてがわれていた。

ハリウッドのアクションモノは「掴み」がミニハイライト、一気にドキドキとわくわくの世界へ引き込む構成だが、持たない本作、そこが一番苦戦した所のように感じている。

しかし3時間の鬼長丁場を全く感じさせない仕上がりにはもう、唸るほかない。

体感、2時間だった。

あと1時間、どこいった。


もうエブリタイム・背水の陣、トムのはちゃめちゃスタントには驚かない。

つもりだったが、ついにイーサン死すなのかと思わされてしまったあたり、やはりお見事である。個人的には沈没潜水艦内のシークエンスが好きだ。キューブリックやら「インセプション」のトム流というところか。最後のセスナシークエンス共に、上下が分からなくなるものの見ていて酔わない画面構成に惚れる。


「それ」は某国大統領が言う「フェイク」のメタファだと思えば、ラストは痛快さより謙虚な気持ちに見舞われる荘厳な終わり方だったように思う。

ルーサーの語りもモデルはルイアームストロングの「What a wonderful world」なのではなかろうか。重ね合わせつつ観ていた。


少々ややこしい話だ、と前評判で聞いていたが、登場人物が多いせいだと思える。

CIA、米軍、ロシア軍、IMF、ガブリエル、それ、アメリカ政府、皆それぞれの目的をもち行動しているため利害関係が複雑だ。

まあそこがスパイ映画の醍醐味でもあるのだけど。

そしてたとえ心地よく思わずとも、生存のためには時に譲り、協力し合うこと。その謙虚な気持ちを忘れることなかれがこの作品のメッセージだと思うのだから、この複雑さこそがそれを体現しているように思うのである。


しかし続編はあるのだろうか。

もうこうなったら一周回って、まるきりアクションのないMIも見てみたいものである。



「007 No Time to die」のアンサー作品になるかと挑むもそこまでではなかった。ただ伝わるのは映画産業への危機意識と、近頃なにかとお騒がせな自国の政権交代による色々な分断と変化への訴えだった。

勘繰り過ぎかもしれないが、本当の「古き良きアメリカ」を取り戻そうと、取り戻したいと願っているのではなかろうかと感じて止まない。


また本編、たった一人が世界の危機を救うのはやり過ぎ感が強い、という意見も多く見受けられたが、決して一人が救ったわけではないはずだ。

ルーサーがあの装置をこしらえなければ、グレースの手腕がなければ、ベンジーの手ほどきがなければ。パリスらも脇を固めて役目をはたしている。その中でイーサンはとりわけフィジカル担当だっただけで、チームが一丸とならなければあの事態を回避することはかなわなかっただろう。

たぶん、そういう人と人の絆、連携、そんな泥臭いところを「古き良きアメリカ」としてトムは一番、言いたかったのかもしれないと見ている。

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