極寒の地へ
俺達は先遣隊であるニシェルとノイアに合流するため、極寒の地にやってきた。
防寒着はイルミナティの技術力で作れる最高級の物を、それとエリーに周辺の気温を調整することで完璧な防寒としている。
…まあ、エリーがいるなら動きやすい軽装でもよかったのだが。念には念を、と言う奴だ。
今着ているこの防寒具だって、軽量で動きやすいように設計したものだし。
「…さて、もうそろそろ二人が合流してくる頃だと思うが…」
「あーっ!マスター!」
少し遠くからニシェルの元気いっぱいの声が聞こえてきた。こちらに走って向かってくる人影が一人、ニシェルだ。
ノイアは…後ろから歩いてきているな。
「マスター!」
「おっ…と」
雪まみれのニシェルが勢いよく俺の懐に飛び込んでくる。雪に足を取られて姿勢を崩し、俺はそのまま雪の中へダイブした。
「マスター!雪ってたのしいね!」
「…そ、そうか…それはよかった…」
「マスターは、雪嫌い?」
「嫌いじゃないんだけどな…?とりあえず俺の上から退いてくれると嬉しい…」
「やだ!」
「やだ、じゃなくてだな…」
「ニシェル、マスターを困らせないでください…」
「困ってない…よね?」
うっ…だからそんな泣きそうな表情をするのはやめてくれ……。
「わ、分かったよ…あとでいっぱい撫でてあげるから…今はちょっと我慢してくれ…」
「ほんと!?約束だよ!」
見た目相応の子供のように、表情をぱぁっと明るくしたニシェルが俺から離れる。
前世の記憶も、完全にじゃないが戻ってはいる。ニシェルは特に、
「マスター、立てますか?」
「ああ…ありがとう」
リスティアが差し出してくれた手を握り、引っ張り上げてもらいながら立ち上がる。
「この辺りはかなり雪が深いです。十分注意してください」
「ああ、分かってるよリスティア。…それじゃあ全員そろった事だし、ひとまずここに簡易的な拠点でも張るか」
「了解しました」
■
簡易的な拠点、とは言ったものの、その作りはその辺の家よりも良いものになっている。
断熱性も完璧で、外の寒さは全く感じられない。エリーの気温調節を切り、防寒具を脱いでも問題なく過ごせるくらいだ。窓が無いのが玉に瑕だが。
というかまあ、今は【
マスタボードに【
そんな簡易拠点にも俺の私室はあり、他の部屋よりも広い面積で壁に囲まれている。
やっぱりここにも窓はなく、
マスターボードをスタンドに立てかけ、回転式の椅子に腰掛ける。背もたれに身を委ね、天井をぼんやりと見つめていると扉からノックが3回、続いてシルヴィの声がした。
「マスター、よろしいでしょうか」
「…ああ、いいぞ」
俺の承認を認識して、マスターボードが扉を解錠する。
自動扉が横にスライドし、シルヴィが部屋の中へと入ってきた。
「先ほど周辺の地形探査を行ったのですが、一部に雪の深さが変化が見られました」
「雪の深さ?」
「はい。まるで何かが通過した痕のような…」
「周辺の捜索は?」
『現在トリノからのリアルタイム映像に、該当する通過痕に合致する物体はありません』
「……リアルタイム映像か…」
…………。
「アルニタク…」
「!」
「前世でそんなのを作った記憶があるけど」
「【
『照会終了、合致100%です、マスター』
アルニタク。【
「まさか回収されていたとは…」
「なんか面倒そうなことになってるな…」
アルニタクを含め【
この【
まあつまり、マスターボードを改修したおかげで【
「……仕方ないか…となるとミンタカとアルニラムも、だろうな」
となると、困った。【
恐らくミンタカも、スカルスで対物理要素結界を展開してるだろう。外部からの侵入が一気に厳しくなったな…。
「この拠点にも同様の技術が用いられていますので、発見、攻撃されることはまずないかと思われますが…」
「…というか、【
「…相手が私共の技術を解析して利用している……という可能背がございます」
「……となるとまあ…やることは一つか」
全力で、正面から叩き潰してやるだけだ。
――――――――
作者's つぶやき:相手がイルミティの技術を盗んだかもしれないみたいですね。一応起動にはマスターボードが必要ですが、起動したあとは自律するのでマスターボードでハッキングすることはそれなりに難しいです。
まあでも、正直イルミティの技術って盗んでも完全に使いこなす事って多分無理ですよね。
基本フェーンくんとマスターボードありきのものですし。
――――――――
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