第25話
「失礼する」
…はいはい
………………って、
はああああああああああああああ!?!
デクは脱衣所じゃなく、湯船のすぐ近くで服を脱いでた。
“常に危険に対処する方法を取る”をモットーに、慎重に行動しての行動だったのだろう。
ご丁寧に声をかけて来たと思って、チラッと彼を見た。
そしたら…
男の裸を見たことは何度かある。
見たって言っても、「上半身」だけなら。
上半身から下を見たことはない。
見る気もないし、見たいとも思わないだろう。
湯船でホッと一息つきながら、前足を組んでた。
濡らした前髪を後ろに掻き上げて、目を瞑ってたんだ。
頭を真っ白にして、何も考えないようにしてた。
体の芯からあったまっていく感覚を、そばに感じながら。
…象…さん……!?!?
目が点になった。
…いや
想像していなかったわけじゃない。
服を脱ぐということは、ズボンも脱ぐということだ。
湯船に浸かるんだから、そりゃ脱ぐもの脱ぐでしょって思うのが自然。
…でも
な、なな
思わず悲鳴を上げそうになった。
男の裸を見たくらいで叫び散らかすほど純情じゃない。
ただ、“見えた”ものが予想外すぎた。
予想外すぎたというか、“不意”を突かれた。
なんで隠そうともしてないの!?!
私だってバスタオル巻いてんのに、何堂々と露出してんのよ、コイツは!!!!!!
「…ちょ、ちょッ」
「ん?どうした?」
「ど、どうしたじゃなくて、少しは隠してよ、バカァ!!」
「隠す?隠すって何をだ?」
「…その、下にぶら下げてるもんよ!!!」
「ああ、これか。男だから仕方がないだろう」
「なんで平然としてられんのあんた!!」
「キミが入れと言ったのだろう。それに、見られて困るようなものでもない」
どっからどう見ても、“見られて困るようなもん”でしょーが!
パンツ履いたままとかにできなかったの!?
私が横にいることくらいわかってるでしょーに!
「ちょっと、いいから隠してッ!」
「隠せと言われても、どうやって」
「なんでも方法はあんでしょ!私のことも考えてよ!」
「…すまない。軽率だった。確かに、不快な思いをさせてしまうことも考えられたな。これでいいか?」
お尻をこっちに向け、「アレ」が視界に映らないように涙ぐましい努力をしていた。
隠したうちに入ってないんだけどね、それ。
あんたの尻だって見たくないんだけど!
いいからパンツ履いてくれない?!
「パンツ?しかし…」
「しかしもクソもない!それが嫌だったらタオルくらい巻いてくれる?!」
「わ、わかった。対処する」
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