水色髪の伯爵令嬢は魔法騎士に求婚される

まかろん

水色髪の追放令嬢

第1話 水色髪の伯爵令嬢

「マロン、紅茶が渋いわ!淹れなおしなさい!」

「申し訳ございません。お母様。」

わざわざ指名してくるなんて。

お母様―ウィリーシア伯爵夫人は、私のことを召使い同然に扱う。

「何ぼけっとしているの!さっさと淹れなおしなさい!」

あっ…そうだった。早く淹れなくちゃ。

台所まで行って、紅茶の濃さを調整しながら、お母様好みの味に仕上げる。

いつもお母様の紅茶を淹れているから、お母様の好みの味はばっちり覚えている。

「お待たせいたしました。紅茶です。」

「おっそいわねえ。リリーでさえちゃんと淹れられるのに。」

リリーとは、妹のことである。

「リリーは貴族令嬢なのにあんなに美味しい紅茶を淹れられるのに。」

「わーい!お母様、ありがとう~!」

そして、お母様はリリーのことを溺愛している。


「マロン、さっさと出ていけ。もう子供じゃないんだから。」

夕食の席。

お父様―ウィリーシア伯爵は、私に冷たい言葉をかける。

私、まだ12歳なのに。

お父様は、やっぱりリリーのことが大好きで、私のことが嫌いだ。

家族が私のことを嫌うのは、私がスカイブルーの髪で、紫色の瞳だからだと思う。

家族はみんな、金髪に青色の目だから、私だけ違うと、差別しているのだ。

「これにサインしろ。そして出てけ。」

そういわれて差し出されたのは―絶縁書?

「もうお前を使うことはやめた。少しだけ領地をやるからせいぜいがんばれ。」

「きゃ~!お父様、こわ~い!こんなお姉様に、領主なんて勤まるわけないじゃない!」

「そうよ、いくらなんでもそれは―」

「いえ、分かりました。では、明日の朝には出ていきます。」

やっぱり。いつかこうなる気がしたんだよね。だから、一応いつそうなっても大丈夫なように、こつこつ作ったマフラーや、アクセサリーなどを売ってお金を稼いでいたので、きっと大丈夫。と、自分に言い聞かせる。

―この時はまだ気づかなかった。自分のチカラに。


その日の夜。

「えっと、必要なものは―」

「マロンお嬢様、お手伝いいたします。」

そう言ったのは、私の侍女のアンジュ。

アンジュは私の乳母でもあり、赤ちゃんの頃から一緒にいるから、仲良しだ。

「マロン様~!私も手伝う!」

そうやって飛びついてきたのは、私の侍女で、幼馴染のミイリナだ。

アンジュの娘のミイリナは、私より一歳年上。でも、とても仲良しで、いつも一緒に遊んでいるのだ。

私が頼れるのは、この二人だけだった。でも、とても力強い仲間だった。

…きっと、大丈夫。私には、この二人の仲間がいる。



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