第2章 7話 幸せ…
岳と結婚した梓は、仕事を続けた。
岳は、家事にも積極的で分担をしてくれる。
本当に優しい人…
休みの日には、2人で過ごした。
ショッピングに行ったり、ドライブに行ったり…
家でまったりすることも…
梓の生活は、穏やかで…
岳と結婚して本当に良かったと思った。
梓は、岳のことを愛し始めていた…
元のことは気になるけど…
今は、岳との生活を守りたい…
岳は、私のことを本当に愛してくれている。
この、幸せがいつまでも続きますように…
そう、願っていた…
そんな時に、祖父の具合が悪いと聞いて…
梓は、祖父の見舞いに行った。
「お爺ちゃん…大丈夫?」
「梓、来てくれてありがとう。俺も歳を取ったからな…いつどうなってもおかしくない」
「そんな…お爺ちゃんには、いつまでも元気でいて欲しいの…」
「ありがとう。そうだな…長生きしなきゃな…」
「うん…頑張って元気になってよ」
「頑張るよ…梓、幸せか?」
「うん、すごく幸せだよ…」
「なら、いいんだ…父さんが無理やり結婚させたから、心配だったんだ…」
「お前は、好きな人とかいなかったのか?」
「会いたい人はいたけどね…もう、いいの…」
「そうか…梓が幸せならいいんだ…みんなには内緒だが、孫の中でも梓が一番可愛い…」
「もう、そんなこと言って…みんなに同じこと言ってるんでしょ?」
「ばれたか…」
そんな風に話したこの日が、祖父に会った最後となった…
祖父が危篤だと聞いて、会いに行ったけど、間に合わなかった…
―――前世のお父さん…また見送ることになっちゃったね…
梓は、お通夜でもずっと祖父のそばにいた。
祖父はいつも、私に優しくて…
あまりに厳しい父のことも、時々注意してくれていたようだった。
そんなお爺ちゃんが大好きだった…
叔母は、泣き崩れていた。
久しぶりに会った駿は、大学生になっていて…
立派な青年になっていた。
駿は、しっかりと叔母を支えてくれていた。
―――私の長男は、いい男になったな…
あの…しっかりした兄も泣いていた。
梓は、匠を抱かせて貰った…
―――やっぱり可愛いな…前世の二男…
祖父の葬儀は、大々的に行われた…
葬儀には、多くの人は参列した。
その参列者の中に、輝いている人を見つけた…
祖父の焼香を順番にしていく中に…その人はいた。
その輝いている人は…元だった…
―――元、ここにいたんだね…やっと会えた…
その人は、岳の会社の人みたいで…
葬儀の手伝いを、色々してくれている。
葬儀も済み…
落ち着いた頃に、岳に聞いてみた。
「あの…背の高い人は誰なの?」
「ん?あれは…うちの会社の部下だよ…梓のお父さんの会社の担当の高木だよ」
「どうして?」
「いえ、なんか見たことがある顔だなって思ったんだけど…人違いだったみたい…」
「そうなんだ…」
梓は、祖父の葬儀なのに…しかも岳がそばにいるのに…
胸のときめきを抑えることが出来なかった…
元は、岳の会社にいたんだ…
こんな近くにいるけど…
話をすることも出来ないし…
遠い存在だな…
それに、今は岳を裏切るわけにはいかない。
最初の人生では、渉がクズ男だったから離婚できた。
でも、岳には何も悪いことなどない…
むしろ…岳は、いい夫だ…
私は、元と愛し合うために二度も生まれ変わったのに…
どうしたらいいんだろう…
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