第2章 3話 梓の将来

高校生活も、それなりに楽しかった。

正直、普通の高校生みたいに帰りに何処かに遊びに行ったりも出来ない…

帰りは迎えが来るし…

高校の中という狭い世界だけで

バイトなんてできるわけもない…



たまにはカラオケに行ったりしたいよ…



一度だけ、律と友達とカラオケに行ったことがある。

文化祭の後の打ち上げに行きたいと母に頼んだ…

母は父に内緒よって…

行かせてくれた。

すごく楽しかった…



律に



「大学どうするの?」



って聞いたら、律は…



「俺は、経営の勉強をして父さんの会社を継ぐよ」



「梓は、どうするんだ?」



「私は、どうしようかな…出版社とか…勤めてみたいなって思ってる」



「じゃ、大学は別々になりそうだな…」



「そうかもね…」







ある日、父が…



「梓、大学はどうするんだ?」



と聞いてきた。



「どうしようか迷っている…私、将来何になりたいか、まだ分からないけど…普通にお勤めしたいな…」



「梓は、勤めには出なくていい」



「え?なんで?私、仕事してみたい」



「梓は、大学を出たら…結婚しなさい」



「え?誰と?」



「お父さんの知り合いの息子さんとだ。そうすれば会社も、もっと大きくできる」



「……嫌だよ。私は好きな人と結婚したい」



「これは、決まっていることなんだ…我儘言うんじゃない」



梓は、泣いて頼んだけど…

父は、ダメだと言い張った。



なんでなの?

このままいけば、元と会えたって…

結婚していることになってしまう。



私は、まだ高校生なのに…



大学を卒業するころには、状況も変わっているかもしれない…

それにかけるしかない…



そして…

大学は、無難な大学に行かされた。



兄は、大学を卒業してから、父の会社に入った。



叔母が来た時に、相談してみた。



「お父さんが、大学を卒業したら結婚しろって言うんだけど…」



「やっぱり?私も、そう言われたんだけど…私は逃げた。それに父は、分かってくれたんだ…」



「そうか…やっぱお爺ちゃんは、優しいもんね。でもうちの父は強情だから…」



「父が許してくれたから、今こうして幸せだよ…好きな人と結婚して、駿しゅんも生まれて…」



駿は、中学生になっていた。



―――私の可愛い長男…叔母さんの所に生まれて良かったね。



「私の人生どうなるんだろう?不安しかないよ」



「ま、またいつでも相談に乗るから…」



「うん…」



とりあえず、大学生活では就職できるように色々な資格を取った。



梓は、アルバイトをしたことがない…

それも、どうかと思ったから、夏休みにゼミがあるからと

嘘をついて本屋さんでアルバイトをした。



律とは、ちょこちょこ連絡を取って会っている。

相変わらず…彼女は定着しないみたいだけど…



律にも相談してみた。



「お父さんがさ、大学出たら知り合いの息子さんと結婚しろって言うんだけど…」



「マジか…俺も、政略結婚させられると思うよ…」



「そうなの?」



「親が、そんな話をしてるの聞いちゃったんだ…だから遊びまくってるってわけ…」



「そうか…。でも、あんたが遊びまくってるのは前からでしょ?」



「はははっ、そうだったけ?」



律は、割り切っているんだろうな…



でも、私には元に会うという目標がある。

なんとか…逃げるしかない…


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