第62話 ぼっち、帰りの校門にて


何とか、今日も学校での長い1日が終わった。


ぼっちにとって、休み明けはやはり一段と、身体というか心にドシっと重いものが来てしまう...。


そう言えば、今日は山本さん。休みだったな...。

もしかして体調不良とか? 大丈夫かな。


とりあえず、今週の俺は、掃除当番であることもあって、いつもの様にスタートダッシュ帰宅ができず、周りよりはかなり遅れて今、昇降口を出たところだ。


「.....」 


ただ、何だろう。

若干の曇り模様であることを覗いて、いつもとは、ここから見える風景が若干違って見えている気がする。


今日は、ここで何かがあったりするのだろうか?


まぁ、俺には関係ないことではあるが、何故か校門の前にはそれなりの数の女子。


しかも、見る限りではそれぞれ来ている制服が違う。ということは学校が違う女子たちが集まっている...?


え? 出待ち的な?


もしかして、あれか?


もう、ハニ様がここに来るとかいう情報が他校にも回ったとかそういうことか?

だとしたら、色々と早すぎるし、それにだ。


あらためて凄いな...。ハニ様の影響力。


妹もそうだが、もし、これが本当にそうであれば、やはり女子からの支持率がとんでもないということになる。


それに、さすがカリスマのファンといったところだろうか、個人的な感覚では、オシャレな感じのクラスでも目立つようなタイプの女子がかなり多い気がする。


まぁ、どちらにせよ。俺には関係ないが、あらためて凄いと思わざるを得ない。


そんなことを考えながら、俺はその校門前の女子たちの間を潜り抜けていく。


「えー、イケメンくん出てくるの遅くないー?」

「本当にこの学校なのかな?」

「私、絶対に連絡先だけでもまずは交換してもらうもん」


ん?


なんだ? そんな状況の中、俺の耳にはその女子たちの言葉がまばらに入ってくるが、イケメンくん...?



「......」



え? 嘘だろ。 もしかしてこれ...



の出待ち?



確かに、あいつ。

何かよくわからないイケメンコンテストの関東代表に選ばれたとか言ってた...。


マジか。あいつにも、こんなレベルの影響力があるのか?


いや、まぁ、俺が言ってもただの僻みとしかとられないだろうから口には出さないが...


だとしたら、世も末だな...。


やっぱり、この世はああいうのがモテる世の中だ。


現に、彼女達の間をすり抜ける俺には誰も視線すら向けてこない。まるで透明人間にでもなっている気分だ。


「....」


まぁ、学校でもある意味では常に透明人間なものか...。


とりあえず、俺には学校で起こる何もかもが関係ないことだ。



「ん、間宮」

「え?」


そんなことを考えながら、その女子たちの群れを抜けたと思うやいなや、唐突に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。


そして、顔をあげると、そこには


隣のクラスの渋谷...さん?


そう。この女子たちの中からぴょこっと、いきなり彼女が俺の目の前には現れる。


「一緒に帰ろ」

「え?」


一緒に...帰ろ?


「一緒に...?」

「そ、一緒に帰ろ」


一緒に帰る...まぁ、断る理由なんて別に俺にはないけど


「あ、はい...」

「ん。フフッ、それにしても騒がしいね」


それは本当にそう。


「はい。本当に...。でも、渋谷さんは何か知ってます?この原因」


一応、同じ女子として彼女も何か知ってそうだし、せっかくだ。俺の予想が当たっているか答え合わせ...。


「ん。知ってるよ」

「やっぱり知ってるんですね。教えてください」


やっぱり、悔しくも榊の出待ちで正解なのだろうか...


「フフ、内緒」


内緒...。何で。


「....」


あと、何か今日の渋谷さん、かなり上機嫌?

いつにもまして、笑顔がすごい気が...。



「おい!!渋谷!!!お前今日も無断遅刻したって聞いてるぞ!!!!しかもまだ反省文書いてないだろ!!!戻ってこい!!!!」



って、今度は校舎の方から大きな聞いたことがあるような声が聞こえてくると思ったら、とある教師がいきなり、こっちに向かって走ってくる光景...



あぁ、生徒指導の剛田だ...。



「あーあ、バレちゃったか。残念。ん、ごめんね。間宮、また明日」



そして、渋谷さんも相変わらずの自由さ加減だな。

あらためて凄い...。



「って、おい!!!君たちは一体なんだ!!!!校門にそんなずらーっと!!!!どこの学校の生徒たちだ!!!!」



で、仕事とは言え、剛田は剛田で忙しいな...。

本当に、どこから来るんだそのエネルギー。


「そうだ。あと、間宮...」


え? 何だ。渋谷さん。



「フフッ、次からはでいいから」



ん...?


「ん。じゃ、また」


とりあえず、俺の目にはそう言って、また制服のポケットに両手を入れながら校舎の方にゆっくりと戻って行く渋谷さんの後ろ姿...。


えっと...


次からは....ありさで、いいから?


「......」


ま、まぁ、俺はとりあえず帰るか...。


うん。電車もあるしな...。


「......」


それにしても...もう外も割と暑くなってきたな。


そう。あつく...


「.....」


まぁ、帰ろう...。

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