第5章 決戦
第35話 決意
朝、結局夢の中では、すぐに寝たようで、現実では、目覚ましのアラームより、30分程早く目覚める。
ぼーっとしながら朝食を食べ、学校へ向かう。
教室へ着くと、委員長と理瑚が既に集まっている。
「おはよう舞!」
「おはようございます緋影さん」
2人の顔を見ると安心する。
「おはよう、理瑚が先に来てるなんて珍しいね」
「だね、今日は早起きしちゃったよ。それよりも、あれ見てみなよ」
理瑚が指を指す方を見ると、西園寺と東翔宮が虚ろな表情で席に座っている。
「うわっ」
思わず声を出してしまった。いつもクイーンと一緒に始業時間間際にやってくる2人が、既に着席しているのだ。もう、クイーンと行動を共にすることは無いってわけか。
「アタシはあれを見て、やっつけたんだっていう、実感が湧いたよ」
理瑚は、嬉しそうに両手を胸の前で握りしめる。
「確かに。これでクイーンの影響力もだいぶ削がれたって感じだね。まぁ、影響力と言っても、クラスのほとんどが無気力人間になっちゃってるんだけど」
「そうですね、もっと別の方法で、そうしたかったですね」
委員長が教室を見回しながら、寂しそうに呟く。
クラスで何か決める時は、必ずクイーンの意見が通り、従わざるを得なかった。委員長は公平なやり方を模索してたけど、結局クラスのみんなが同調圧力に負けていたから、苦労していたんだ。そう言う私も、目立ちたくなくて、言いなりになってたんだけどね。
始業のチャイムが鳴る中、クイーンと北薗、南曇の3人が教室に入って来た。
東翔宮らが、座っているのを見て北薗が声を上げる。
「まさかと思ったけど、東翔宮もやられてんじゃん!」
南曇も驚いた表情をみせ、こちらを睨みつける。
しかし、クイーンは、「凛さんも調子悪いのかな、そういう事もあるわ」と、冷静に言うと、焦っている2人をしり目に、顔色ひとつ変えずに席に着いた。
なんという余裕だ。自分さえいれば、問題無いって感じだな。
休み時間、私の席に理瑚と委員長が集まる。いよいよ校舎に乗り込むんだ。今日の放課後も図書室に集まることに決めた。クイーンの方も3人で集まっているが、アッチはいつもの様にクイーンが自慢話をしているだけみたい。本当に余裕だね。
あとは、
クイーン達と私達は、あたらず触らずで1日を過ごした。現実世界で争うことは無いからね。全ては夢の中で決着をつけるんだ。
しかし、クラスの殆どが無気力人間なので、非常に静かだ。授業もサクサク進むが、聞いてるのか何なのか、わからない人たちに向けてやる授業なんて、橋田先生はどう思ってるんだろう?明らかに異様なのにね。橋田先生自体が無気力だから、丁度いいのか。
放課後の図書室、前回同様、端の席に陣取る。理瑚が小声で話を進める。
「いや〜、昨日の山羊頭はビックリしたね。現実には存在しない怪物が動いてるってのはビビるわ。でも、見た目のインパクトだけで、西園寺の蛇みたいにデカいわけでもないし、動きが速そうでもない。ましてや、東翔宮みたいに飛べるわけでもない。舞なら問題無く倒せると思うんだけど、どうかな?」
委員長も続ける。
「私もそう思います。何か技を隠し持っている可能性もありますが、油断さえしなければ、百戦錬磨の緋影さんなら何とかなるでしょう」
「2人共相変わらず、私に絶大な信頼を置いてくれちゃってるようだけど、まぁ、いいや。正直、あの怪物は私もイケると思う。見た目通りなら、力はあるけど動きは遅そうだから、剣のリーチもあるし、スピードで翻弄できるかな。気をつけるのは、他の奴と同時に責められた場合だね。だから、アイツが単独で校庭にいる時に仕留めたいと思う」
2人に乗せられて、結構余裕がある気がしてきた。委員長が口を挟む。
「でも、問題は校舎に入ってからだと思います。もう一人の能力が不明ですから、狭い場所で襲われたら、どうしようもないかもしれません」
「そ、そうだね、気を引き締めよう」
うん、校舎に入ってからが本番だな。その為に、怪物をサッサと倒してやろう。
「……それで校舎に入ったらさ、どこまで行くんだい?」
理瑚が私の顔色を伺うように尋ねる。
「うん、一度入って、また出直すっていうのも大変だよね。だったら四天王2人倒して、出来れば一気にクイーンまで行けたらと思う。時を止めるらしいから、少なくとも攻略のヒントでも掴みたいな」
「そうですね、少し考えてたのですが、もしかして能力発動に際して、何か叫ぶみたいな事があれば、私の能力が役に立つかもしれません」
委員長がそう言うと理瑚が身を乗り出す。
「だよね!絶対『時よ止まれ!』とか言うよ!何だか行けそうな気がしてきた!」
私達3人でかかれば何とかなるかも。そんな気がする。
「今日の夜が最後の戦いになるかもねー、な~んつって」
「また、理瑚はすぐ調子に乗るんだから。油断しないで行くよ!」
私達3人は、また寝る時間を約束して、学校を後にした。
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