第30話 久住 朋佳
授業中、先生の話なんてまったく耳に入らない。今後の、夢の中での戦略を考える。
さしあたり、一番の脅威は東翔宮だろう。攻撃は単発なので、不意打ちじゃなければ、理瑚の盾で防げると思うけど、問題は10メートルぐらい上空にいる相手にどうやって攻撃するのかだ。何か飛び道具があればいいのだけど。モデルガンか何かの店とかあったかな?でも、そんな玩具じゃ駄目か。委員長達にも良い案が無いか聞いてみよう。
次は、西園寺。頭だけになっても、壁を壊すほどの大蛇の体当たりは脅威だ。でも、長い尻尾が無い分、対処出来ない相手じゃなくなった。沢山いたペットも、もう出尽くしたみたいだし。ただ、また買ってきたら夢の中にも追加されるのだろうか?夢の世界に覚醒したばかりみたいだから、それに気付いて爬虫類軍団とか作られたらヤバイぞ。出来ればその前にやっつけたい。
そして、気になってるのが、東翔宮が時を止めると言っていたクイーン能力だ。あの東翔宮が敵わないとか言うんだから、本物なんだろう。そんなの、出くわしたら、為す術がない
よね。暗殺でもしない限り勝ち目が無いのかも。
でも、前線に出てこないとこを見ると、本拠地に立てこもってんだろうな。恐らくここ、美樹丸女学園にだ。
前に見た、学校を貫く禍々しい高い塔は、正にクイーンの影響だろう。そして、残りの四天王2人は、クイーンを守ってるのかもしれない。う〜ん、攻略出来るイメージが沸かないな〜。
1限目が終わり、理瑚と委員長の3人で集まる。やはり、2人共夢の事を考えていたようだ。
理瑚が話を切り出す。
「あのさぁ、東翔宮に対抗する方法なんだけど、やっぱりアタシ達の力だけじゃ厳しいって思うんだよね。だから協力をしてもらおうと思うんだ」
「エッ、協力って?」
「クイーン達以外で、あと1人だけ生き残ってるでしょ?
そうだ、夢の中では、未だ出会っていない、オンラインゲームが趣味という
「ちょっとアタシ頼んでくるよ!」
「あっ、ちょっと待って……」
軽いな〜。理瑚は話も聞かず、久住 朋佳の席に向かうので、私と委員長は慌てて追いかけた。
「朋佳ちゃん!アタシ達の仲間になってよ!」
理瑚が久住 朋佳の机にバンと手をつき、身を乗り出して話しかける。いきなり声をかけられ久住 朋佳は驚いているようだ。すかさず委員長がフォローする。
「急にごめんなさい。久住さん夢の世界の事は知ってますよね?」
「……えっ、何の事?私にはわからないな」
「あれ?毎日夢で見るでしょ?現実と同じ世界でさぁ。私達、クイーンを倒したいんだ、協力してくれないかな?」理瑚がグイグイといく。
しかし久住は冷めた目で、突き放すように言う。
「私はゲームで忙しいからさ、夢なんか見てる暇ないよ。ちょっと、変な事言ってないで戻ってくれる?クラスの争い事とか興味無いんだわ」
「おっ?おう……」
取り憑く島もない久住の態度に、私達はスゴスゴと引き下がり、また私の席に集まる。
「何だよ久住の奴、夢の事覚えてないのかな?それとも奴は参加してないとか?」
理瑚が頬杖をついて不満げに話す。
「いや、あの態度は、知ってて隠してるように見えたな」
「えぇ、私もそう見えました。争いに巻き込まれたくないのかもしれません」
委員長は下を向いて、眼鏡の真ん中を指で上げる。
「ええ〜、最悪じゃん!逃れることなんかできないのにー」
「うん、もしかして漁夫の利を狙ってたりしてね」
「ん〜?なんだい漁夫の利って?」
「棚加さん、高校生にもなってそんな事も知らないのですか?両者が争ってる隙に第三者が利益を横取りする事。つまり私達とクイーン達が争った後、楽して全員を倒そうと考えてるのかもしれません」
「ええー!酷すぎる、ちょっと文句言ってくる」
「ちょ、ちょっと!」
久住を睨む理瑚の腕を掴んで止める。
「例えばの話だって、最悪そんな可能性もあるって事!本人が知らないと言ってるんだから、ここは様子を見るしかないよね」
理瑚の言う通り、遠距離攻撃が出来る仲間が増えれば対抗出来たんだけど……取り敢えず保留だ、また考えよう。
昼食の時間、理瑚と委員長の3人で机を並べてお弁当を食べる。1週間前は1人で食べてたんだよな。友達と一緒っていいもんだな。
私は密かにそんな当たり前の事を噛み締めていた。
私たちの周りで、生気のない生徒達は机など移動せず、各自が黙々とお弁当を食べている。
こんなだけど、ご飯はそれなりに食べるんだよな。まぁ、食べなきゃ本当に死んじゃうしね。家族は一体どう思ってんだろう?
その中でポツンと1人で食べる久住朋佳。委員長が一緒にと誘ったんだけど、断られたみたい。こうなる前は誰と食べていたか覚えていないけど、1人で寂しくないのかな?今まで1人だった私が言うのも変だけど。
因みに、クイーンと四天王は、一緒に食べている。クイーンのお弁当の中身を、大袈裟に褒めたりしてるのが、いつも聞こえてくるんだ。
あー、くだらない。言う方も言われる方も、よく飽きないなって思う。
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