こちら王立冒険者【再就職】支援ギルド!!~無能冒険者さんいらっしゃいませ!中堅冒険者のオレが究極ダメ冒険者といっしょに社会復帰をサポートします!?~
第九話 『傭兵ブーム到来!?』 その64/玉虫色にかがやいた!
第九話 『傭兵ブーム到来!?』 その64/玉虫色にかがやいた!
王都からの援軍が来て、傭兵たちは引き渡された。全員ではなかったけれどな。オレが斬ってしまった重傷者は、療養のために残るコトになってしまった。
ヤツにとって、ここはかなり居心地悪いものだろう。自分が襲撃してしまった『国境警備騎士団』の団員たちが周りに集まっているのだから。
書類をたくさん書いた。
契約書だな。一応は貴族として。そして、もちろん当然ながら王立冒険者【再就職】支援ギルドのギルド長としても。サインをたくさん書いたから、上手になってしまったかもしれない。
「『玉虫色の決着』などと言われるかもしれんな」
「玉虫は、と、とってもキレイだよね」
「たとえだ」
「知ってるよ。そ、そこまでアホじゃないもん!」
ローズはとっても賢い。マリからたくさんムズカシイ本をあたえられているのに、それをすべて読んでしまっているのだから。魔法使いだとか、僧侶だとか、もちろんネクロマンサーもそうだけど。魔法の専門職の方々は、基本的に、とってもアタマがいいものさ。
魔法戦士は、ちょっと違うけれどね。実践的で、器用な、賢さではなく『応用力』の触手だった。
「シンプルな解決よりも、たくさんの連中を救えた気がするぜ」
「少なくとも、今この瞬間に限りはな。後々の憂いを残したという考えも、忘れないようにしろ。ではな」
「シデン? ど、どこにいくの?」
「おい。王都には帰らないのか?」
「しばらく、あちこち探るとする。この地域についても、偵察しておきたいだろ?」
「まあな。だが、オレからの依頼のせいで、単独行動で危険な目に遭わすわけには」
「単独でもない。やや離れた場所にだが、私にも『連れ』がいる」
「仲間が、い、いるんだね。よかった」
「シデンさんは、社交性とか低めですもんねー」
「だが、有能な魔法使いだ。賢くて、調査能力も高いと来ている。色々と、知っておきたい情報も、王都への立ち寄りで得られたからな」
「ロンドリに何か調べさせていたが……」
「伝書鳩で、暗号文を使ったやりとりなど。連絡手段は多いよ。あいつは文筆家でもあるんだ。インテリ界隈のネットワークは、かなり遠くまで届く。国境なども、軽々と飛び越えて」
意味を探ってもらいたいつもりだとすれば、シデン・ボニャスキーの次なる冒険はファーガルになるようだ。この国境の土地を探るのであれば、当然か。その冒険の『仲間』というのも、ちょっと気にはなる。
「どっちの国の冒険者だろう」
「どちらでもないし、冒険者でもないかもな」
「謎かけのつもりか」
不思議なコトに。
一瞬だけ、鳥肌が立ったんだ。
「危険なヤツと、組んでそうだ」
「そういう力強い面子もいる。国境は、なかなかにややこしい。王都は、任せたぞ。何かあれば、可能な限り早く戻ってやろう」
「ちゃんと連絡を密に取り合おうぜ」
「ああ。報酬は、銀行に振り込んでおけ」
「現ナマのほうが好きなシデンさんにしては、珍しいっすね」
「重たくなるのは、好ましくない」
「なるほど。し、シデンは、プロっぽい」
「プロだぞ。お前も、なかなかに期待されているのだ。努力を惜しまないように。才ある者ほど、時間を有効に活用しろ。そして……」
「そして、な、なに?」
「傲慢でいろ」
風に紫色の髪をなびかせながら、騎士団から借りた……というか、たぶん一生返さないつもりのロバにまたがり、シデン・ボニャスキーは旅立った。ローズと、シェルフィーが、はずむように体を伸ばして、ぶんぶんと両腕を振り回している。
「あいかわらず、オレの心に刺さる言葉を使うヤツだよな。賢いって、得してる」
才能ある者は、傲慢でいろ。
オレの脳みそからはしぼり出せそうにないセリフだった。
「傲慢に……わ、私は、もっと、あれだね。え、偉そうにしないといけないみたいだ」
「そ、そうっすか。でも、まあ。謙虚すぎて消極的になるのも、あまり良くないかもしれませんっすからね」
「色々と、ちゃ、チャレンジしてみようと思うの」
「ああ。お兄ちゃんは、全面的かつ全力で応援するからなー」
「ありがとう。お、おかげで、がんばれそう。い、いひひ!」
賢い者たちの交流は、きっと何かを生み出すのだろう。オレみたいな『アホたち』と違ってね。
「さあて。王都に戻るとしよう。あまり王都を長く空けておくと、不安になっちまうからな!」
「冒険者さんたちが、何かしらトラブルを起こしちゃいそうっすよね」
「『トライアウト』も開催されるわけだから、腕自慢があつまってくれているハズだ。ああ、なんというか。酒場が、儲かりそうだし、かわいそうな目にも遭うだろう」
「酔っぱらって魔法とか使う方もいるっすからね。殺し合いレベルのケンカで『遊ぶ』方々も……『木漏れ日亭』を守るためにも、さっさと戻るべきっすね!」
こうして、オレたちもこの国境の山城を離れるコトになった。玉虫色とはよく言ったもので、状況はかつてよりややこしくはなったし、男爵の肩書きのせいで……もしかしたら、王さまの狙いのとおりに、オレが背負うべき仕事が増えてしまった。
でもね。
傭兵たちを斬りつけていたときより、ずっといい気分だ。
王さまに報告をするのが楽しみになる。叱られる点もあるだろうが、ほめてもらえそうな点もあった。今回の騒ぎで、死人がまったく出てないってのは、ちょっとした奇跡だろ。
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