こちら王立冒険者【再就職】支援ギルド!!~無能冒険者さんいらっしゃいませ!中堅冒険者のオレが究極ダメ冒険者といっしょに社会復帰をサポートします!?~
第七話 『雷竜の棲む森』 その50/ドラゴン退治と政治的な緊張!?
第七話 『雷竜の棲む森』 その50/ドラゴン退治と政治的な緊張!?
我々がいるのは、あの遺跡だ。夜になったからね。『フィーガロ大森林』を、これだけのテロリストを引き連れて移動するのは、ちょっと骨が折れた。
だから。
敵の基地を乗っ取るような形で、夜を明かすコトを選んだわけだ。野宿よりは、屋根があった方がいいし、くだんの洞穴よりは、こっちの方が100倍マシだった。「さすがは、私を讃えた神殿よね!」、お帰り、ルメ。「ただいま」。
ドラゴンと戦っていたんだぜ?
殺されかねない敵と戦うときは、魔神としていっしょにいてやるべきだとは思わないかな? 「ドラゴンなんて、別に問題ないでしょう?」、いや、めちゃくちゃ強かったんだけど。「あれは『竜』でもないし、『龍』でもないもの」。
ときどき、それをルメは口にする。ドラゴンというモンスターが、『本物』ではないかのように……「実際、そうよ。人語を話して、人の知性を凌駕していてこそ、それは『竜』や『龍』なのよ。今この世界に残っているのは、そういう大いなる存在たちではない。神々さえ殺せるような、脅威とは呼び難い動物よ」。
ちょっと。
へそを曲げたくなる。「あら、可愛い。もっとほめて欲しいのね。最強格のモンスターを、魔神の加護ナシにあっさりと倒せたコトに」。まあね。だって、すごいコトだからね。
三十分前まで、めちゃくちゃ自画自賛していたのが、オレたちだ。ほめあった。お互いのスゴイところをね。お互いの筋肉の出来をほめあうボディビルダー同士みたいにな。「気持ち悪い」。それは言いすぎだ。
みんな、ドラゴンと戦えるなんて、思っていなかったんだよ。「私は、知っていたけれどね」。そうか。そりゃ、そうか。お前、この遺跡に祀られている神さまなんだし! 「そうよ。でも、言えなかったの。このアホな信者たちの願いだから」。
アホって言うな。
けっこう、政治的な主張をしっかりと持っているテロリストだった。「テロリストは、だいたいそんなものでしょう」。そうだった気もする。
「王国自由騎士サマ、記事については、大丈夫だったですかね!?」
「大丈夫だよ。あのままの記事なら、文句は……いや、まあ。理由を先に聞かされたから、言い難いんだが。冒険者を、もっとほめて欲しくはある」
「しょうがないですよ! 保守ってないと、新聞がおとりつぶしにされるかも? 密偵が、いつでも、狙っているんです! メディアを抹殺しようと!」
「陰謀論に聞こえなくなってきたのが、ヤバいところだな!」
「笑いごとじゃありませんよ。冒険者ギルドだって、政治利用されないとは限りません。ドラゴンの存在が、明らかになった以上……また、議論が生まれるますので」
「ドラゴン対策……いや、強力なモンスター対策を、誰が担うべきか」
「本来なら、冒険者さんたちでしたが……すでに、王立冒険者【再就職】支援ギルドの名のとおりに、冒険者から、新たな職業に就職しろと、王家は主張しているわけです。仕事として、成り立つのが困難な状況ですから」
「まあ、ね」
「魔王軍対策のための組織でした。でも、それはいない。しかし、強大なモンスターが王都を攻められる距離に眠っていたりする事実が、明らかになったんです」
「……騎士団が、担当すると?」
「もっと、科学的な組織かもしれませんね。古き時代には、よくありましたが、常備軍」
「軍隊ね。『私設軍』どころの、規模じゃなさそうだ」
「それを作り上げようと、どこぞのタカ派の伯爵あたりは、明日の朝一で新聞に寄稿するでしょうし、演説を始めるかも。ドラゴンがいたというニュースにおびえるのは、王都の人たちよりも、深い森や荒野や、未踏の大地や未探検の洞窟がある辺境や田舎ですから」
「ベクトラ伯爵のお仲間さんたちか」
「王国軍を、彼らは創設したいと述べてもいましたからね。きっと、この記事も、利用される。ですが……いなかったコトには、できません。新聞記者としての、ガチ本音です!」
「演技じゃないほうか」
「そうです。だって、ドラゴンは危険だから。議論すべき価値のあるニュースです」
「だが……」
「ええ。書くべきだったかもしれない情報は、載せませんでしたね。カルトがドラゴンを使役しようとしていたなんて。魔神の契約者の能力で……私は、この隠蔽のせいで、後悔する日が来ないように祈るばかり」
「こんな遺跡が、そうどこにでも転がっているわけがない。ルメと契約できるような者も、多くはないんだ」
「でも、いましたよね」
「……そうだな」
「しかし、あの子を監獄送りにしたり、まして、危険だからと処刑台送りにするのは、どうかとも思いまして」
「ありえんな。ガキだから」
「はい。彼女は、利用されているだけ。まだ、自分なんてものが、心のなかにいない年齢ですよ。ジジ・バスラに、影響されて、彼のために行動している。社会の構造だとか、世の中の人々の関係性まで、見極められている年齢じゃないから」
「そうだな。悪いオトナが多いのが、問題だよ。退治するのは、そっちの方だな!」
「ええ。まあ、これでまたひとつ。カルトが消えるのは事実です」
「一歩前進ってことで、いいんじゃないかね」
「王国自由騎士サマが、そうおっしゃられるのであれば。保守のウザ記者は、まったくもって気にしません。とりあえず、ドラゴン・ハント達成、おめでとうございます」
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