こちら王立冒険者【再就職】支援ギルド!!~無能冒険者さんいらっしゃいませ!中堅冒険者のオレが究極ダメ冒険者といっしょに社会復帰をサポートします!?~
第四話 『国崩しの令嬢』 その2/宝探しをする者たち
第四話 『国崩しの令嬢』 その2/宝探しをする者たち
ボクはエロ小説家を卒業するんだ。そう決めたんです、ボニャスキー先生。原稿料安いし、そもそも不名誉ですから。ちゃんとした文学の世界に飛び込むために。勉強あるのみ。姉さんたちも応援してくれています。ふたりとも、すごい変化というか。
シスター服みたいなものまで着ていますね。孤児院の伝統的な制服みたいです。公式なときは、それを着ているだけで、普段は今まで通りというか……ああ、もちろん。プラナ姉さんについては、大きすぎる変化でした。
今まで馬鹿みたいにデカい鎧女だった姉さんが、普通に美少女フーレンになったから。何というか、印象が変わり過ぎて落ち着かない。これが、ギャップに対しての感情の揺れでしょうか。上手くエロ小説の文脈に落とし込めば、一本……いやいや、邪念を持ってはいけません。こんなコトではいけない。
筋トレして、素振りもしています。
鎧は王都なので、着ていませんけれどね。心を鍛えたら、文学の力もつくような気がしているんです。小説を書くって、そもそも知的労働じゃありませんから。間違いなく、これはただの肉体労働と根性の産物ですからね。
とにかく、今は自分に知識をあたえるために。
図書館に通っています。ギルド長からは、「ルクレート・トリビューン/王国日刊新聞で記者として働いてみれば?」と言われましたが、採用試験のためにもまずは勉強。
ギルド長には、新聞社にコネがあるのでしょうか?
だとすれば。
プラナ姉さんが彼に対してガチ惚れ状態になっている今、もしもギルド長がボクの就職のために、姉さんの肉体を要求してくれば、どんな展開になるか……むしろ、意外性を考えればシオン姉さんがボクのために一肌脱いでしまう展開の方が……金になるのか。
いや、いけない。純文学主義者になったボクは、恋愛の肉体方面のネタではなく、純愛のぶつかり合いみたいなモノを考えないと。ぶつかり合い? 相撲とかレスリング……。
……文学って、何でしたっけ?
ああ、わからなくなってくる!!
……とにかく、今のボクは王都図書館で資料を漁っています。ボニャスキー先生の探しておられた、『王国財宝目録』についても調べてみました。
すぐに見つかるのではないかと思っていたんですが、どうやら、先客がいたようです。
誰が借りているかは、最初はわからなかったんです。教えてもらえなくて。
だから、こっそりと盗賊としてのスキルを駆使しました。
言い過ぎたかもしれません。司書さんがコーヒー・ブレイクしているときに、ちょっと貸し出し記録をのぞき見したんです。
あの『王国財宝目録』を借りていた人物は、なんと王子さまでした。マクシミリアン王子殿下。
ちょっと興味深いというか。意外な気もしたんです。彼は多くの論文を発表している勉強家なんですが、どれも政治や法律についてのものばかり。
考古学的なものには興味が薄い印象でした。芸術については、それなりに興味がありそうですが、『王国財宝目録』に載っているものは、ストラウス三世の王位継承にまつわる戦乱と魔王戦争のあいだに失われたものが多い。金目のものは多いんですが、それほど芸術的な価値はないというか。
ルクレート王国は、あまり芸術活動に積極的ではありませんからね。『王国財宝目録』に記載されている品々も、美しさというよりは、どこの貴族やどの世代の王が持っていた財宝なのか……といった博物的でつまらない記載がメインとのコトですし。
芸術的な価値はない本です。
あれに、価値があるとすれば。ボニャスキー先生と同様に、貴族の血筋の調査のため、でしょうか。王子さまは、ご自身の出自を疑っておられるのか、あるいは、政治的に利用すべき『ライバル』でも脅迫したがっているのかも……。
何やら、陰謀の気配がいたしますね。
まあ、調べてはみたものの。これといって成果もなかったのですが。
王子さまはマジメな方ですから、たんに見識を広めるために読まれたのかもしれない。本を読むコトは知的好奇心を満たしますから。
ただ……先の『山賊砦』で、ベクトラ伯爵の手下から勧誘されたとき。ボクの目からは、王子さまは敵の主張に惹かれているように思えました。
彼は、とても合理的で、現実的な人物です。
勤勉で、向上心があって。
国際情勢をよく理解しています。国境の視察が多い最大の理由は、魔王戦争で疲弊した隣国の併合を考えているからじゃないかと。以前、ボニャスキー先生が訪ねて来られたときも、あの種の陰謀論めいたテーマで討論させていただいたわけですが。
彼の態度を、すぐ近くで見ていたボクは、確信を深めてもいます。
王子さまは、おそらく父王ガリア・エルデ・フォン・ストラウス三世とは異なる政治観を持っているのではないかと。
端的に言ってしまえば。
彼は、ルクレート王国が世界の支配者になるべきであり、他国に侵略を始めるべきではないかと考えているんじゃないでしょうか。ベクトラ伯爵たち、いわゆるタカ派の方々は、侵略戦争を求めているようにも見える。
……王さまがかつての冒険者ギルドを閉鎖したのも、王子さまの提言からだったそうです。ボクたち冒険者は、軍隊に入れなかった、制御し切れない戦力です。
いない方がいいと、考えたのかも。
冒険者ギルドがあれば、戦争が起きようとしたとき、情報をいち早く察知するでしょうし、レオンハルトさんみたいに、侵略戦争嫌いもいますので。
一枚岩にはなれない。
だから、騎士団だけに戦力を統一して、侵略戦争の邪魔をしかねない冒険者とギルドを排除しようとしたのかも。
……戦争がない時代の方が、珍しいわけですから。魔王戦争のおかげで、人類同士の戦争はほとんどなかった。まあ、小規模なのはやっていたわけですけれど。それほど、人類は戦争が好きな生き物です。
ボクたちは、用心した方がいいのかも。
もしも、この予想が当たってしまったとき、ボクたちは戦争を回避に動くべきでしょうから。レオンハルトさんは、間違いなく。そういう思想です。『渡り鳥の大剣』を掲げて、敵を罵っていましたから。
彼には、見えるんですね。戦いで死んでいった方々が。モンスターに食い殺されようが、敵国の兵士に殺されようが、死者からすれば大差がない。敵と楽しそうに戦うくせに、戦争は嫌いなんだ。『盗賊王』に似た気質だから、姉さんたちも惹かれるのかも……。
ボニャスキー先生。
先生なら、最悪の事態を回避するために、どんな行動を選びますか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます