お笑い表現ガイドライン

あーく

0.はじめに

0-1.お笑い分析をするにあたって

きっかけは、社会人二年目の出来事だった。

私が使っていた社内のノートパソコンが動かなくなってしまい、担当の部署の人に見てもらった。

するとノートパソコンを見て一言。

「これは始末書だな。」

私は軽くショックを受けた。

わざと壊したのではないとはいえ、動かなくなったのは事実だ。社会人経験も浅かったので、「弁償」という言葉が脳裏によぎった。

数秒経つとその人は「冗談だよ。」と鼻で笑った。

「冗談か。よかった。」そう思ったのも束の間

「笑えないんだよ、お前のその冗談は。」

そう思った。


なぜ笑えないのかはすぐに分かった。

私は社会人のルールを熟知していない。会社の物は会社が買わなければならないということを知ったのはかなり後だった。

パソコンを壊したときの手続きを理解していない人に対していきなり「始末書だ。」と言っても、本当に始末書を書かなければならないかのように誤解してしまう。

せめて「逆立ちで町内一周な。」とか「鼻でスパゲッティ食べろよな。」とでも言われれば嘘だという事はすぐに分かるのに。

このように、自分に不利益を被る、あるいはその可能性がある場合は笑いにはならない。


きっかけはもう一つある。

社内の飲み会に行った時だった。事前に「現金しか受け付けない」ということを知っており、受付の人に「ポイントカードでいいですか?」とボケてみた。

すると

「ダメ。現金じゃないと。」

と、普通に注意されてしまった。

私は小さい頃から笑い文化に触れてきたので、このようにボケをあしらわれる経験の方が珍しかった。

あるとすれば、ギャグを分かった上で無視する、鼻で笑う、くらいの対応は経験がある。

しかし、受付の人にはギャグが伝わってすらいないように感じた。

しばらくすると、関西の大学祭に行く機会があった。

大学祭ではいろんなお店があり、もちろん現金でないと受け付けない。

お店で「ポイントカードでいいですか?」とボケてみた。

すると学生の店員は「いやー、うちポイントカード扱ってないんですよー。」とニコニコして対応した。さすが関西である。


この差は一体なんなのだろうか。

似たようなシチュエーションで、同じような言葉を発したとしても笑う人と笑わない人がいる。

また、笑えないような言葉を発する人がいる。

バイトテロやセクハラのように、本人たちにとっては面白いが、客観的に見るとただの迷惑行為という現象も見られる。

その基準はなんなのだろうか。

大げさに言えば、科学が発達した今ではこれらが起こるメカニズムの探求もできるのではないだろうか。


笑いの分類に関しての文献をいくつか読んでみたが、脳科学的に扱ったものは見つからなかった。

笑いには「不一致理論(ズレの理論)」とか「優越理論」というのがあるが、これらの説に対して科学的根拠、例えば「不一致理論では脳のこの部分が活性しているが、優越理論ではこっちが活性している」などという論文は見つからなかった。

本当に「不一致理論」なるものが存在しているかも不明である。(存在しそうではあるが、実験で確かめたという論文はなさそう)

また、私が提唱する「連想の笑い」の位置づけも不明だ。これも実は「不一致理論」と同じということもあり得るが、脳の反応を見ないと証明できない。


と、ここまで情熱を語ってきたのだが、私は全く研究者でもなんでもなく、ただのボケ事例を集めるのが趣味の一般人だ。

私にできるのは、本やネットなどで笑いの事例を収集し、それを分類することである。

抜け漏れがあったり、偏見があったり、科学的根拠がなかったり、MECEでもなく、不完全であるが、少しでも参考になればと思って書くことにする。

事例から帰納的に考え、共通する笑いの要素を分類してみた。

これらの事例を活用し、周りを笑いで満たす人物が生まれることを願う。

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