幽霊屋
@dasuton
募集 ボシュウ
そこは山の中にある廃墟の神社だった。
修学旅行最終日、僕は皆と一緒に肝試しに向かい、気味の悪い御神木を見てすぐ帰ろうと思った時、そこに
友達に言われて試しにそれを吹いたけど、特に何も起きなかった。しらけ気味になって旅館へ帰ろうとしたら・・・黒い狐に襲われて・・・それで・・・
皆死んだ。一緒に参加した友達も、好きだった女の子も、旅館に居た先生や他の生徒も、旅館の従業員全員・・・僕だけが生き残った。
あの日に何があったのか・・・今でも分からない。だけど時々その夢を見て、恐怖と後悔が頭に響く・・・あんな神社に行かなければ・・・笛を吹かなければと・・・
僕の名前は
自分で言うのもなんだが、僕は人とは違う能力を持っている。
その能力は・・・幽霊が見えるという能力だ。
だけど正直、こんな能力を持ってしまった自分が嫌になる。この能力のせいで、僕の人生が変わってしまったと言ってもいい・・・
どこへ行こうにも必ず幽霊が見えてしまう。白目をむき、うっすらと見える霊の姿が・・・・でもそれだけじゃない。気味の悪い姿をした化物だって見える事もある。
腕や目が何本もあるような化物、マンガみたいなドス黒く大きな化物、悪霊の存在を・・・
そのせいかどこのバイトをしても、霊が周りにいるせいで仕事に集中出来ず、長くは続けられない・・・
はっきり言ってうんざりする能力だ。どうしてこんな事になってしまうのか、何で僕だけ幽霊が見えるのか・・・
事の始まりは・・・中学3年最後の修学旅行。最初は楽しかったけど、友達が提案した肝試しに行って、あの事件が起きて・・・僕は幽霊が見えるようになった。
目撃者はなし、監視カメラすら犯人を特定出来ず、60人以上もの人間がバラバラになって惨殺された事件・・・
地元の人は祟りだと言うけど、何の事か分からないし、ネットや本で調べても、何も出て来なかった。
あの事件で全てが変わった。生き残って、幽霊が見えて・・・今もこうしてのうのうと生きてる。
僕は一生このままなのか・・・溜め息を吐いて家に帰ろうとした時ふと、
「助手求む (1人~2人募集)
ガチで幽霊が見える人のみ。それ以外は却下。
電話連絡後、履歴書(写真貼)を持って下の住所へお越しください(面接あり)
お問い合わせはこちら↓
075-XXX-XXXX 京都市南区西九条XXX町XX
幽霊屋?何だこれ?助手を募集してるって事だけど、いかにも
それだけじゃない。書いてある住所が僕の家から近い!徒歩で1、2分ぐらいの所だ。
助手の条件が、幽霊が見える人のみ・・・この言葉が僕の心に突き刺さった。確かに僕は幽霊が見える。
でも何をするのだろうか?仕事内容とかそんなの書いてないし・・・・不安と好奇心が混ざり合って、やるかやらないかを悩んでしまう。
とりあえず、場所の確認って意味で幽霊屋って所に行ってみるか・・・
それで行ってみたら・・・ホントにあった。
「
幽霊屋
完全電話予約制!!
(ネット予約などは受け付けておりません)
霊や怪奇現象にお困りの方はお問い合せください。
075-XXX-XXXX
追伸、助手1人か2人募集中!
」
間違いない・・・ここだ。家の近くにこんな場所があったなんて・・・とにかく場所は分かった。後はやるかやらないかだが・・・
家に帰って、散々悩みに悩んだ結果、とりあえずやってみる事にした。
もし詐欺だとか宗教関連だと分かったら辞めればいいだけの話だし、早速履歴書を書いて電話してみると・・・
『・・・・もしもし、幽霊屋です』
女の人の声だ。テレビの音もところどころ聞こえるが・・・
「あ、あのぉすいません・・・助手を募集してるって紙を見てお電話したんですけど・・・」
『え?紙?・・・あぁあれね。じゃあ面接するから、5分以内に履歴書持って事務所に来て』
「えっ!?い、今から5分・・・ですか!?」
『そうよ、住所知ってんでしょ?』
「え・・・・まぁはい・・・」
『なら来て・・・』
ブチィ!っと電話を切られた。感じ悪すぎて行きたくならない。でもそれはそれで相手に失礼だし・・・行くか・・・
走って3分もたたず到着。下見した時に気づくべきだったが、玄関にはインターホンがなかった。こうなったら仕方ない・・・呼吸を整えて中へ入ろう。
ドアを開けると、そこは廊下のような場所。少し上の方には柵があって、右には階段が数段ある。静か過ぎるその場所に、僕は誰かいないか声をかけてみると・・・
「あ、あの・・・・失礼します!」
「あれ?もう来たの?こっちよ!上がって上がって!」
上から女性の声が聞こえる・・・僕はすぐ階段を上がると、広々とした空間がそこにあった。
大きい窓ガラスから日が差し込み、広い台所にソファーに机やテレビ・・・・事務所と言うより、リビングに近い。
「意外に早かったわね・・・」
そして大きいソファーには、一人の女性が座っていた。
ショートヘアーの白い髪型、白い
そう、これが・・・この日から・・・僕が自分の過去と向き合うきっかけの始まりだった。
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