異世界乱世
たらんどらん
プロローグ
困惑?不思議なバースデイプレゼント
20〇〇年9月1日。とあるショッピングモールで子供がとぼとぼと歩いている。
「ママ?ママ?どこにいるの?」
今にも泣きだしそうな不安の混ざった声でそういった。
「大丈夫かボク。そっかママとはぐれちゃったか、じゃあいっしょに探そう」
と元気な声で子供に声をかける青年の姿があった。
「俺は
こどもは少し間をおいてから少しずつ話した。
「
少し安心した表情で総助は言った。
「秀っていうのか。よく頑張ったなこれからお兄ちゃんも一緒に探すからな」
その言葉が嬉しかったのか秀の顔に少しばかり笑顔が生まれた。
総助はショッピングモールの全体に響き渡るような大きな声で、秀の母を呼んだ。
「おかーさん、秀君のお母さん。秀君迷子ですよー。はぐれてますよー。」
10分ほど経つと遠くから焦ったように、秀の名を呼ぶ声が聞こえてきた。秀の母だ。
「秀。秀ごめんなさいお母さんが目を離したばっかりに」
「おかあさん」
秀は母に抱き着き我慢してたであろう大粒の涙を流した。
総助は何も言わずに立ち去ろうとすると、秀の母が総助を呼び止め深くお辞儀をした。
「本当にありがとうございました。」
「いえ、一番秀が頑張ったんです。これは秀の戦果みたいなものですよ」
そう残し総助はその場を去った。
秀は母親の腕の中から出て、総助の背中に向かって言った。
「お兄ちゃんありがとう」
秀の目からは、涙はもうなくなっていた。
~~~
俺は角居
家は貧乏でも金持ちでもない普通の家庭で、5つ上の姉がいる。
ショッピングモールを出たあと、俺は帰路の歩道橋からこの町を見上げた。
歩道橋から見えるこの町は、ほかの町とは違い異質である。何故ならばこの町の中心には、85階のオフィスビルが建っていた。
そのオフィスビルは高さだけではなく、単純な横幅もすさまじく団地が丸々入るほどの大きさだ。そしてその建物の側面には『MalmCorporation』とでかでかと書かれていた。
俺の父と母が務めている会社でもあるマルムコーポレーションはかなり大手の研究機関で、日々様々な実験とその成果を出している。
そんなことをじっと見ながら考えていると空がすっかり暗くなったことに気づき、急いで帰るのであった。
「ただいま」
と俺が言うと
「おかえり、総助」
と姉が優しい声で言う
そんな当たり前のことが今日はすごくうれしかった。なぜなら今日は俺の誕生日なのだ。
リビングには ささやかな飾りと、笑顔の父と母がいた。
「ただいま父さん、それから母さん」
「待ってたぞ総助。もう六時を越えてるじゃないか、父さん心配したぞ」
「そうよ連絡の一つもないと、お母さんもちょっと心配したわよ」
「ちょっとトラブって...にしても最近の子って我慢強いなあ」
「ほらお父さんもお母さんも総助は帰ってきたんだから、もういいでしょ?総助も急に変なこと言わないの」
そんな姉の軽い叱責を受けた後、俺は席に着いた。
テーブルにはケーキだけが置いてあり、少し疑問に思いつつも祝ってもらえるということに嬉しくなってそわそわとした。
すると父と母と姉は小さく、せーのと声を合わせて言った。
「総助誕生日おめで‐‐」
俺が今一番欲しい言葉を聞ききる前に周りが真っ暗になり、プツンっと何かが切れたような音がして俺は意識を失った。
目を開けるとそこはまるで空の上のような場所だった、周りには何もなく誰もいない。俺はどうにか家に帰れないかとあたりを見渡しても、叫んでも変わらない。
しばらくして出口がないことを悟り、あきらめてうつむいているとどこからか男の声が聞こえた。
「めでたい日に悪かったな、お前を新天地へ案内するぜ」
俺は姿の見えない声の主に疑問を問いかけた。
「ここはどこであんたは誰だ、俺をどこに連れてこうっていうんだ?」
「お前は今、あの世界から追い出されたのさ」
「世界?どういうことだ、俺に何をやってほしいんだ?」
「さっきから質問が多いなあ。俺は...そうだな一旦
蛇と名乗る男の声が話す内容は、全貌をつかめない非常にふわっとした言葉ばかりであった。
「角居総助。家族の代わりにお前が欲した言葉を言ってやるよ、ハッピーバースデイ総助。お前が選び取る道を俺達は見ているぜ」
と蛇が言ったのを最後に、俺は意識を失った。
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