第2話 雨の中の出会い




そう言われた。当時、社会人になってからの付き合いで同棲もしてて、結婚も視野に入れていた彼女。家事が出来ないと言う理由なら捨てられた、でも、当然だ。家事の全部を彼女に任せ、俺は仕事をしていた。

勿論、彼女にだって仕事がある。俺が全て悪いんだ。


それに、俺は、、、、


「別れてから色んな女性を取っ替え引っ替えの様に付き合い続けて、別れる時はクズ男って言われたしな、、笑」


それにあの秘密を抱えているんだ。結婚なんて出来る訳がない。


何て、過去の辛い思いを思い出しながらキッチンに向かう。


「あれ、カップラーメン、ない。そうだ、昨日でなくなってだんだっけ」

「しょうがないか、近くのコンビニに行くとするか」


いざ決行と思い、すぐにスーツのまま家を出ようと、外を見たら小雨が降っていた。


「一応、傘持っていくか。まぁ、酷くはならないと思うが」


なんて思いながら、家にある傘を取り家を出て、瞬時にマンションに歩いて約5分あるコンビニに入る。


ウィーン


「「いらっしゃいませ〜」」


「(今日はおにぎりも買おうか。そうだ、カップラーメンも一応買おう)」


「店長、あのサラリーマン、良く来ますよね〜、てか、本当イケメンですよねぇ(小声)」


「だな、美形って本当に居るんだな。良く来てくれるから俺は眼福だがな(小声)」


「狡いんですけど、(小声)」


後方から店員さん達の会話がかすかに聞こえ、覚えられていると言う恥ずかしさもありながら、商品にカゴを入れるのが早くなる。と言うか、覚えられているぐらい来すぎな俺にも問題があるんだろうか。何て、思いながら会計をする。


「お箸を付けますか?」


「はい。お願いします」


「袋はどうしますか?」


「2袋お願いします」


「了解しました」


「合計で、3.862円です」


「4.000円で」


「はい、138円のお釣りです」


「ありがとうございます」


「またのお越しをお待ちしております」


ウィーン


「結構買ったな。まぁ、土日はこれで凌げるしな」

「、、、、でも、家にある卵とかどーすれば良いんだよ。料理出来ないのに」

「てか、雨結構降ってきたな」


コンビニを出ると大雨が降っており、すぐに置いてあった傘をさし、急いでマンションに帰って行ったら、マンションの玄関近くに人影があった。


「(?制服、高校生か?あの制服はこの近くにあるけど、うちのマンション、高校生居たっけな?)」


何て、横目に見ながら素通りしていたら、ある事に気づいた。


「!!、、、、」


何故か、ずぶ濡れだったんだ。それに高校生の顔は見覚えがあったし何故か疲れ切っていた。その顔は会社帰りに入り口で居た男子高校生だったからだ。


「、、、、(俺には関係ない。俺はクズなんだから、)」


俺はそう思いながらマンションに入り家に戻る。

が、、、、


「、、、、あの子、風邪引くかもしれないし、、まだ雨は降り続けそうだし」


『貴方は優しくて素敵な人だよ!』


「、、、、、はぁ」


家に戻ったが、まだあの子の表情が過去の俺を見ているかの様で何でか見過ごせなかった。それに、脳裏に大切な人の声が聞こえて来た。俺は家を出て1階に降りて、玄関に行くと、まだ高校生が立っており、俺は高校生に声をかけた。


「君、この家の住人ではないよね?」


「えっ?ぁ、はい。傘持ってなくて、それに家も電車乗らないといけないし」


声をかけられて驚きの表情をしたがすぐに真顔になった。電車を乗らないと帰れないのか、だが、現在の時刻は6時過ぎで乗れる電車も少なくなっていっている。俺の現在の部屋はゴミ屋敷だし、それの方が迷惑なんじゃないか、だけど濡れたままなんて寒いんじゃないか何て、それに声をかけたんだ最後まで面倒を見るんが大人の対応だと、感じで葛藤もありながら、すぐにある提案をした。


「、、、、良かったら、俺の家に上がるか?」


「嫌、大丈夫ですよ。迷惑ですし」


「君、お風呂入らないと風邪ひくし、それにこのまま引いて風邪ひかれたら、俺だって後味が悪いんだよ」

「後、今日は泊まりなさい。事情は分からないけどそんな顔してたら、俺が後で後悔する」


「、、、、わ、分かりました、、、、クシュッ」


少し大人な意見を伝えたら、怯えながらも考え込みながらもすぐに了解をしてくれた。ちょっと大人がなかったのかなって思ったが、くしゃみをしたりしたし、やっぱりこの時期はもう寒いんだなって感じる。


「良かった。さ、早く家に入るよ。すぐにお風呂してあげるから」(手を掴む)


「!は、はい」


少し強引だけど手を掴んでエレベーターに乗り、家路に着いた。少年は俺より10cm以上低い事もあり歩幅が合わなくて駆け足だったから、ゆっくり歩けば良かったと申し訳なく思い始めた。そんな思いもありながら家の扉を開けばそこは________________
























「、、、、あ、あの、これって?」


「、、、、、、、、き、気にしないでくれ」

「さ、お風呂入れてくるから、タオルでとりあえず濡れている部分拭き取りなさい」


「ぁ、は、はい、、、、」


少し引き気味で聞いてくるので少し焦りながらも答えて気まずくならない様に話を変える。タオルを渡してお風呂を入れ、買った物を素早くキッチンに置く。


「(やっぱり、引くよな!?こんな汚い場所に自分より一回り年上の大人に手を引かれたりするのだって怖いのに、俺ヤバすぎんだろ!!)」

「(はぁ〜、やっぱりクズ男が慣れてない事をやらなかったら良かった。、、、、でも、貴女の声が聞こえて来たんだ。無視は出来ないな)」


「、、、、、、、、」


「(それに、あの子は髪の毛を拭きながら、何故か俯いて考えたりしてるし、どーやって逃げ出そうとか、考えてそうだ、な ハハッ)」


「、、、、ヨシッ!」


なるべく、少年の顔を見ずにしていたら、先ほどから考え事をしていた少年がこちらに向かって来て俺の両手を包み込む様に握り背伸びをし俺の顔を見ながら、、、、


「あ、あの!お兄さん、良かったら、僕、掃除しても良いでしょうか?」


「えっ?、、、、、、、、え?」


急な事で「え?」としか言えず、困惑していたら少年は考えさせる隙を与えずに。


「この家に入ってから見させていただきましたが、正直に言って半ゴミ屋敷状態だと思いました。家に入らせて貰った身で言うのも本当に失礼ですが」

「ですから、僕が家に入れて貰ったお礼として掃除させて貰っても良いですかね?」


そう真剣な目と先程俺がやった様な正論な圧力で言われ、断る事も出来たが、今の状態のまま暮らし続けるより、誰かにやって貰った方が良いんじゃないかと思い、少年の両手を俺が握り返し了承する事にした。


「分かった。それなら、宜しくお願いしようかな?」


「はい。分かりました!」


「だけど、その前にお風呂に入って暖まってからにしようか?」


張り切っているが髪も服も濡れてるし、本格的に風邪引いたらヤバいので沸き終わったお風呂に入らせる事にした。綺麗なタオル、Yシャツ、パンツを渡してお風呂場に行かせた。


「にしてもあの子、何で疲れ切ってたんだろ。うちの会社の人間を待ってたんだろうけど、何かあったのだろうか?」


最初に見た印象、玄関先で見た印象、先ほどの少年の印象は全く違う感じがする。最初の少年は楽しそうで元気な顔、玄関先では疲れ切って少々大人びている顔、そして先ほどの顔は嬉しそうと言うか、何か「この人は僕が居なきゃダメな人だって」て思ってる顔をしていた。

、、、、ちょっと待て、最後は俺の事、ダメな人って思ってね!


まぁ、俺、家事一切が出来ないポンコツダメクズ人間だし、この性格と仕事がそつなくこなせるせいで勘違いをずっとされてるけど!


何て色々考えては落ち込んだりしながらも、少年に迷惑がかからない様に少し掃除をしていたら、背後に気配がした。


「、、、、!ビュッン(素早く後ろを振り返る)」


「お兄さん、お風呂いただきました」


「そ、そっか。良かった。ちょっと、服大きかったかな?」


「そう見たいですね。僕小柄だから、袖とか長いですね」


「ごめんね。それしかなくて」


「いえいえ、貸してくれるだけで嬉しいので」


「そっか、なら良いけど。あ、ドライヤーあった気がしたんだけど」


「そうですか。ならお借りします」


そう言ってドライヤーを取りにテトテトと効果音で小走りで洗面台に行く少年。その頃、俺の脳内は、、、、


「(何だあの小動物は!ちゃんと顔を見れば、分かる!可愛らしく少し綺麗も入った顔で童顔、と言うか女の子みたいな顔立ちで、さらに小柄な体格も相まってさらに小動物感がある!それに萌え袖でパンツもギリギリ見えないのがまた良い!それに髪の毛も少し濡れているのも良い!あの子、多分モテるな)」


何て考えていた変態である。、、、、ヤバいな。元から小動物が好きなのに、何故か人にも反応するのはそろそろヤバい。そんな思いからか頭を抱える事が何回あったか、数知れず。何て考えていたら、髪を乾かし終えた少年が戻って来た。


「あの、お兄さん、僕掃除し始めるので、お風呂入ったらどうでしょう?」


「えっ、、、、そうだな。俺が居た方が邪魔だろうし、じゃ、入ってからね」


「はい、頑張って掃除しますので、ごゆっくりお入り下さい!(超笑顔)」


「フハッ 分かったよ。何か、そんな風に言われるの結構恥ずいな笑 ナデナデ」

「(右手で口元を隠し、左手で少年の頭を撫でる)


何か、久しぶりに心から笑えた気がする。何故かこの子の表情を見ると、ほっとけないし、あの人の顔を思い浮かぶ。


「///// 僕はこうされるのが恥ずかしいです」


「そうか?」


「そうですよ!早くお入り下さい!」


頭を撫でただけで顔を赤らめる少年はすぐに俺をお風呂場に向かわせるかの様に背中を押す。だけど、少年の顔は恥ずかしさより嬉しいと言う感情が分かる表情をしていて俺は少しほっとする。

そして、俺は少年がゆっくり掃除が出来る様に、なるべく長くお風呂に入ろうと思う。


「そう言えば、自己紹介まだしてなかったな。後でしとかなきゃ。少年少年って言うのもヤバいしな」

「あの子も俺の事、お兄さんって呼んでるし」


浴槽につかり疲れをとっていたらふと、思い出した。まだ、少年の名前を知らない事と、名前を言っていない事に。


「あの子、何処となく誰かに似てるんだよな、、、、誰だ?誰かに似てるんだよ」


少年の顔を見ていると何処か似ている人間を思い出すが、中々思い出せない。雰囲気は少し、うんあの人にそっくりだ。何だか懐かしいし、落ち着く感じだ。


「まぁ、いつか、分かるか!さっ、髪の毛洗おう」


楽観的に考えてはいるが、別に焦る事ではないなと思い、浴槽から上がり、髪の毛を洗った。


「そーいや、来週の土曜日開催の企画課でのホームパーティどーするんだろ?」

「確か、部長宅で行われるって言ってたよな」


シャンプーをしながらふと、来週の土曜日に開催されるホームパーティをの事を思い出した。俺の会社では半年に1回、所属する部ごとにホームパーティをし、仲を深めたりする会なんだよ。開催場所は毎回、部の部長宅か課長宅で行われる事が多い。

うちの部は毎回、部長宅だからマジで助かっているのが事実だ。


「、、、、てか、何で俺の本当の姿バレないのか不思議でならない。普通気づくだろ!」

「なんでなんだ。やっぱり外見のせいか!これは両親譲りだからしょうがないだろ!仕事が出来るのだって頑張ってるだけで!」


何て、誰にも聞かれないのに愚痴を吐いている俺は見窄らしいとしか言えない。


昔からそうだ。家柄、容姿、勉強、運動、何でも出来るから完璧に思われ続けられる。毎回、否定しようとしても何故か謙遜や謙虚と言われ続けられる始末。ここ最近はもう、諦めている領域にある。


だけど、事実俺の本心を知られたくない部分もある。本当は家事一切出来ないや可愛い物が好きやポンコツな部分を曝け出すのが怖いんだろう。受け入れられるか分からないからなのかも知れないが。

クズ、なんて呼ばれるなんて、、、、女性を取っ替え引っ替えするのは、、愛されたいから、でもあの人みたいに愛してくれる人は居ない。あの人以外を愛せない。俺を心から愛してくれる人は居るのだろうか。


「はぁ、こんな悩み人に言ったところで贅沢な悩みだって言われそうだな笑」

「こんな俺を受け入れてくれる人が何処かに居ないかな〜、、、、何て、居るわけないのにな笑」


何て、独り言を喋りながら浴槽に浸かりながら時間を確認しようと時間を見れば、既に40分もお風呂に入っていた。


「結構入ってたな。そろそろ上がらないと、伸ばせそうだしな」


そう思いながら浴槽から上がり、お風呂場から出て、綺麗なタオルで体を拭き、用意していたパンツとスエットを着る。綺麗なのがこれぐらいしかないからな。そして、ドライヤーで髪の毛を乾かし終えた。


「少年は何処まで、掃除出来たかな?まぁ、あの状態を綺麗に出来るのなんて1時間以上はかかるけど」


そう予想をしながら扉を開けたその先に広がっていた光景は_________
























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