『九重重蔵』の場合

俺の名前は九重重蔵ここのえじゅうぞう

友愛中学の2年だ。

身長175センチ、体重は秘密。

趣味は筋トレと鏡に映る自分を視ることだ。

うむ、今日も俺は漢として勇ましい。


俺は男だ。

父はボディビルダーで活躍している。

母はレスリングの日本チャンピオンだ。

叔父はボクシングの世界チャンピオン。

叔母は空手八段の腕前だ。

そう、俺はその全てを兼ね備える血筋の漢だ。

俺に隙はない!


と思っていたのだが、あるはずのない隙を突いてきた男がいる。

それが十方涼とおかたりょうという漢だ。


十方は熱い男だ。

勇ましい漢だ。

この俺との運動能力は雲泥の差だが、それでも負けじと追いつこうとする気合はまさに漢の鏡。

俺にとってはいつしか好敵手ライバルとなったわけだ。


去年のダンス会では、一緒の組にもなった。

ワルツを踊ったのだ。

漢と漢がリズムを刻み、熱い抱擁を交わす。

胸が高ならないわけがない!


おっと、熱くなってしまったな、いや失敬失敬。

つまり、俺が言いたいことは1つ。



「十方、今度、都合がつけば、お茶、しないか?」


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