04_06_異国の王女様は、男の娘にも目覚められました。

【Side:スーリヤ】


その瞬間、部屋に連れ込むことばかりを考えてたあたしの頭は、真っ白になった。


「ちょっと、ごめんね」

「へ? って、きゃあっ!?」


あたしはほとんど衝動的に、手をエレンちゃんのスカートの中に。

そして。


 もみもみもみもみっ!


「ひゃあああああ!?」

「……あるね。膨らみ」


 下着越しでも確かにわかる、このふにふにでぷにぷにな感触。


 もみもみもみもみっ。


「や、ちょ、スーリヤさ、はぁあぁんっ!? い、いつまで、やぁんっ!」

「あ、ごめん。驚きのあまり」


 手を離すと、エレンちゃん、真っ赤になってお股を抑えてうずくまっちゃった。


「ごめんごめん。つい、びっくりしちゃって」


 びっくりしたっていうのはホント。

 特に、自分自身に対して。


(今あたし、男の子のだってわかってからも、みしだいてた……)


 なんの迷いも、なんの抵抗感も持ってなかった。

 ひょっとしたら、感触を楽しんでたまである。

 これまでずっと、女の子専門だったのに。

 男なんて、微塵みじんも興味なかったのに。


 ・

 ・

 ・


 エレンちゃんが落ち着くのを待ってから、あたしは、詳しい事情を教えてもらった。


「じゃあ、女の子として育てられたけど、ほんとは男の子?」

「は、はい……」


 エレンちゃんは、申し訳無さそうに目をそらしちゃう。


「ですから、ごめんなさい。スーリヤさんのお願いには、私では、応えることができません」

「……いや、ありかな?」


 他方、あたしは依然、食べる気だった。


「で、でも、初めてが、結局、男の子じゃ……」

「まあ、未体験は未体験かな。今まで食べてきたの、全員女の子だったし」

「……へ?」


 エレンちゃん、おめめをパチクリ。

 うん、やっぱり可愛いね、この子。


「あ、あの、『食べてきた』というのは……?」

「うん。さっきまでの話、実は嘘」

「ふえっ!?」

「あたしの国、ほんとは完全に女尊男卑の社会なんだ。特に王族は」

「ふえええええっ!?」


 ***



 スーリヤさんのお話しによれば、かつてのベルタ王国には、偉大な女王様が君臨していた時代があったそうです。

 男性の王様では内乱が起こってしまう国を、完璧にまとめ上げていた……そんな歴史があるそうです。


「ただ、その女王様、歴史書に書かれちゃうほどの色情魔ドスケベでね」


 若くて美しい男の子を見つけるや、すぐさまねやに招いて快楽におぼれる、性欲の権化のような女王様。

 近親相姦もいとわなかったり、男の子の年齢が一桁なんてことまで、あったとか、なかったとか。


「以来、近隣各国には悪い風評が拡がった。ベルタ王国の王族の女は、男を食い漁る淫乱だって」

「じゃ、じゃあ、スーリヤさんも、そういう悪い噂を立てられて……?」

「うーん、まんざら間違ってもいないんだけどね。あたし、女の子ならいっぱい味見してきたし」

「あ、味見!?」

「この学園に来たのも、まあ、王国の都合ではあったけど。でも、帝国の貴族子女たちを自由につまみ食いできるからってのが本音だし」

「つ、つまみ食い!?」


 私は赤面してしまいました。

 スーリヤさんから飛び出てくるのは、恥ずかしくて赤裸々なお言葉ばかり。

 とても王族の方の口から聞こえたものとは思えません。


「でもさ。男の子とそういうことした経験ってのは、ホントにないんだ。正直、男は怖い。だから、エレンちゃんみたいに可愛い、どう見ても女の子にしか見えない男の子がいるなんて、想像したこともなかった」

「わ、私のことが大丈夫なら、きっと、他の男性だって大丈夫ですよ!」


 この話題から逃れたい一心で、私は、いい加減な励まし方をしてしまいます。

 これが裏目に出ました。


「どうかな。自分でもわかんない。だから……試してみたいんだ。あたしもちゃんと、男の子とえっちな関係になれるのか」


 ああ……よくない流れですよこれは……


「てことで、今からちょっと試していい?」

「な、なに言ってるんですかスーリヤさんっ!?」


 ご自分のお立場、わかってるんですか!?


「本番までは求めないから。ただ、お互いに、ちょっと気持ちよく……」

「だ、だだだ、だめですっ! 一国の王女様が、そんな、火遊びみたいなっ!」

「エレンちゃん、隠してるんでしょ? 男の子だってこと」

「はうぅ!?」


***


【Side:スーリヤ】


「だ、だだだ、だめですっ! 一国の王女様が、そんな、火遊びみたいなっ!」


 むむむ。

 エレンちゃん、やっぱりガード固いな。

 でも、今ならこじ開けられるんだよね。

 便利な武器を、さっき拾ったから。


「エレンちゃん、隠してるんでしょ? 男の子だってこと」

「はうぅ!?」


 エレンちゃん、ビクって震え上がっちゃった。


「ごめんね。脅かしたくて言ってるんじゃないんだ」


 もちろん脅迫。

 食べちゃいたい子の弱みを握って、使わない手はないからね。


「エレンちゃんの秘密をさ、ふたりの秘密にしちゃえばいいって、思わない?」


 だからさ、まずはヤッてみよ?


「エレンちゃんは秘密を守ることができて、あたしは男の子を好きになることができるのか試せる。どちらにもメリットでしょ?」


 とにかくさ、ヤッてみよ?


「ほ、本当に、内緒にしてて、くださいますか?」

「約束するよ。エレンちゃんは男の子だけど女の子だし。あたし、女の子との約束は、一度も破ったことないんだ」


 よっし、きた。

 どう見ても女の子な男の子との初えっち。

 エレンちゃんの性知識がどのくらいかは知らないけど、とりあえず純潔、いただいちゃおう。


(でも、男の子の純潔をもらうって、どこまでやればいいかな?)


 本番行為……は、さすがにマズい?

 ひとまずイかせる?

 男の子のイかせ方……まあ、知らないわけじゃない。


(よし。流れと気分に身をゆだねよう。最悪、身籠みごもっちゃってもそれはそれ)


 今ここにある桃色の青春を謳歌おうかしない者に、王女を名乗る資格はない。

 うん、あたし今、後世に残る名言を作った。


「で、では、スーリヤさんのお部屋に――」

「ううん。ここでしたいな」

「――ふえっ?」


 もう待てないし。

 いずれはこの教室でも、記念に誰かをヤッちゃうつもりだったし。

 ……うん、だめだ。

 今のあたし、もう、自分でも止められないや。


***


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