03_10_皇女様、お背中お流しいたします⑤ 〜皇女殿下の事件簿、解決編〜

「エレンも限界みたいだし、このくらいでいいかしら」


 ああ、なんということでしょう。

 散々にエレンさんをもてあそんでいたミゼリアは、ひとりで満足されてしまい、手技を終わらせてしまったのです。


「そんなっ!」


 いけません!

 この事件、解決するにはまだまだ証拠不十分ですわっ!

 わたくしは、思わず後ろを振り向いていました。

 そして――


 つるっ。


「あら?」

「ふえ?」


 わたくしは滑って転んで、エレンさんに覆いかぶさって、彼女の男の子おっぱいに顔をうずめてしまいました。


(うう……はっ! い、今私の頬に当たっている、小さなボッチのようなこれは……!?)


 こんなところにプチ桃源郷が!?

 わたくしは思わず、すりすりと頬ずりしたい衝動に襲われました。


「だ、大丈夫ですか、アルメリア様?」

「ううむ、逆なら面白かったのに」


 逆……逆っ!?

 つつつつまり、わたくしのこの豊満な胸に、エレンさんのお顔をイン!?

 そ、そんな!?

 男の子のお顔が、む、胸に、おっぱいにうずまるだなんて、今度はいったい、どんな未知なる感触が……ではありませんわ!


「ご、ごめんなさいね、エレンさん。今、離れま……ひゃあっ!?」


 起き上がろうとした私のお腹に、ぞくぞくっとしたものが走りました。


(こ、これは……!? この、お腹に感じる、むにむにな感触は……!?)


 わたくしのおへそのあたりに……いえ、まさにおへそに、柔らかい突起のようなものが密着しているのです。

 いえ、これは、突起のようなではなく、完全に突起。

 と、いいますより、エレンさんのこの位置に、この場所にある柔らかい突起物なんて、ひとつしか――


(だ、大事件! 第二の犯行ですわ! わ、わたくしのおへその穴に、ポロンがインしておりますわー!?)


 いえ、この表現はちょっと大袈裟でしたわね。

 さすがにインということにまではなっていません。

 この穴は、しくも浅い穴のほうですから。

 ですが、エレンさんのちっちゃなポロンの先端は、わたくしのおへそのくぼみの形にシンデレラフィットしているのです!


(な、なんということでしょう。わたくしのおへそは、わたくしのおへそは……シン◯レラのためのガラスの靴だったのですわ!)


「は、離れませんと……あぁん!?」

「ア、アルメリア様っ!?」

「ご、ごめんなさ……あぁん……エレンさ……ひゃぁん!」


 起き上がろうとすれば必然、エレンさんのシ◯デレラが、わたくしのガラスの靴とこすれ合うことに。


「わ、わたくし……はぁんっ……実は、おへそが……んんっ……弱、弱く、て……あぁっ!?」


 だ、だめですわ。

 立ち上がろうと、エレンさんの上からどいてあげようと、何度も何度も試みますが、刺激で力が抜けてしまいます。

 そのたびに、わたくしの体はエレンさんに覆いかぶさり直してしまい、シンデ◯ラはガラスの靴に収まり直して、新たな刺激を生んでしまうのです。


(こ、こんな……これが……シンデレ◯に魔女がかけた、プリンセスの魔法……!)


 ああ、ミゼリア。

 あなたは……あなたは魔女だったのですね。

 何度シンデレラの魔法が解けてしまおうと、魔法をかけ直し続けてくださる親切な魔女。

 かぼちゃの馬車で学園まで連れてきて、わたくしをエレンさん◯ンデレラに巡り合わせてくださった、優しい優しいみだらな魔女!


(ああ、おへそでもこんなにだなんて……これがもしも、もしも……ああもう、何にも考えられませんわ! やっぱり、事件は迷宮入り――)


 息も絶え絶えな私の体のその下で、エレンさんもまた、息絶え絶えになっていました。


「お、お嬢様、助けてくださいぃ……」

「はぁっ、ミゼ、ひゃあっ! 手を貸し、あぁんっ!?」

「うっわ。おっぱいがエロすっごいことになってる」

「そ、それどころじゃないんですお嬢様ぁ! アルメリア様だって、湯船に行かないと、風邪をひいてしまわれます!」


 そ、そうですわ、そろそろ湯船に行きませんと、行きませんと……


「ああ、行きます、行きますわっ! 行って、行ってしまいますわぁぁぁぁぁっ!」


 浴場に、わたくしのひときわ大きな嬌声きょうせいが響きました。

 わたくしの体はビクンビクンと震えてしまって、起き上がることができません。

 ですが、これを苦しいとは思いませんでした。


「我が生涯に、一片の悔い無し……ですわ……」


 わたくしは、心身ともにスッキリとした、晴れ晴れとした境地に達していたのです。



===============


※作者注

 作中に出てきた『シン◯レラ』は、あくまでエレンちゃんの世界に存在する女の子向けの童話であり、現実の某テーマパークのお城で玉の輿に乗ってるプリンセスとは一切関係がありません。

 ありませんったら、ありません。


 まあでも、ここの世界には何があっても、ちっとも不思議はないんですけどね。

 なんたって、『ヘソ行き皇女様』まで存在しちゃう世界なんですよ?

 おっと、イッたのはもちろん湯船の中にだよ?

 他意は無いよ。無いんだよ?


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